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無能姫はショボいバリアで無双する。  作者: だんち。
エピソード1 元姫、森でイケオジと出会う。
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応接室にて

その頃、城の中にある応接間では、領主であるリーゼンベルクがキセルを片手にチェスをしていた。ソファの上に着流し姿であぐらをかき、キセルを吸って口から煙を吐き出す。

「どうやら落ち着いたァみてぇだな」

盤上にあるポーンを動かし、チェックをかけるリーゼンベルク。

チェスの相手は、赤の王子の右腕と言われる魔法騎士のジュドーである。

「そのようですね。風のざわめきがやんだ」

キングを守るためにナイトを動かし、取られるジュドー。

「まァたなんか、やらかしたみてぇだなァ。うちの娘は。

おしとやかに育てるよう、重々言い聞かせてるんだがなァ」

風の精霊から得た情報を知り、眉を寄せるリーゼンベルク。

ジュドーがクイーンを動かし、ポーンをとる。

「今、おいくつでしたっけ」

キングを動かすリーゼンベルク。

「今年で5才だ」

ジュドーがポーンを動かす。

「なら、今が一番手を焼く時期ですね。

口が達者になってくるし、背伸びしたい年頃だ」

リーゼンベルクはキセルをふかしながら、クイーンを動かし、チェックをかける。

「知った口だなァ。おまえさんとこも子供がいるのか」

少し悩んだあと、クイーンでクイーンを取るジュドー。

「ええ。うちは3人、全員息子です。

下から0才、3才、6才になります」

キングを動かし、クイーンを取るリーゼンベルク。

「そりゃあ賑やかなもんだな。剣の修行をつけたりすんのか」

「一応それなりに、基礎は叩き込んでますがね。まだ子供なもんで、剣の握りが甘い。」

ジュドーは盤面をみつつ、次の手を考えている。

「そりゃあそうだ。まだ手もちぃせぇもんなァ」

ジュドーは悩みつつ、キングを後退させた。

「もう詰みだ。悪あがきはよかねェな」

リーゼンベルクはキングを動かし、チェックをかけた。

「……。なかなか大胆な手を使いなさる。

さすがは無敗のリーゼンベルク。

盤上でも手厳しい。」

「昔の話をすんじゃねェよ」

キセルを吹かしながら、ジュドーに不敵な笑みを向けるリーゼンベルク。

「もう戦場へは戻られないのですか」

ジュドーはキングを後退させる。

「チェックだ。

もうそういうのは止めたんだよ。

年寄りに無茶いっちゃいけねェ」

ジュドーはキングを横に動かす。

「逃げ回ってちゃ勝てねぇよ。

これで終わりだ、観念しな」

リーゼンベルクがキングを動かし、ジュドーのキングをとった。

「潮時なのはわかってたんですがね。

ここで負けを認めると交渉自体が破談になるでしょう。

赤の王子(うちの大将)はそういうの許さない質なんで、退くに退けなかったんですよ。やっぱり俺には、こういう頭を使うゲームは向いてない。

慈悲をくれるなら、今度は手合わせで願いたい。」

リーゼンベルクの目が光った。

「勝てる気なのかい?」

「そっちの方が俺らしい、と言うだけですよ。慣れているので」

「なるほどなァ。流石は赤の王子の右腕だ。脳筋で困るねぇ」

「そういう頭脳労働系は全部、赤の王子(うちの大将)と軍師の仕事ですから」

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