顔面格差
「ヨド!」
嬉しそうにヨドの方へ駆け寄るルクソニアの姿に、エドガーが突っ込んだ。
「ほらやっぱりイケメンか!!
……って、おいおい。
お嬢様、アンさん、下がって!
その独特の瞳と髪の色、東の部族特有のモノじゃないっすか!?
それなら交渉の余地なく帰ってもらうっすよ、うちも危ない橋はわたりたくないんで!」
「どういう事?」
ルクソニアはヨドに抱きついたまま、首をかしげた。
「東の部族だとなぜいけないの?
ヨドはとっても物知りだし優しいのよ」
キョトンとするルクソニアにエドガーが神妙な面持ちで言った。
「東の部族って言えば、昔、王族に遣えていた神官の一族っすよ。未来が見えるとかなんとかで。
でもある時、王族を怒らせてしまう予言をして反感を買い、破滅した一族だって聞いてるっす。女子供関係なく、一族根絶やしにされたって!
銀の髪に虹色の瞳、白い肌、まんま東の部族の特徴そのままじゃないっすか!
匿ったとなったら一大事になるっすよ、交渉の余地なしっす!
お帰りはあちら!」
言ってエドガーは、ヨドの近くに転移ゲートを新たに出現させ、入るように手で促す。
「そんなの偏見だわ!
ヨドの事をよく知らないで、東の部族の生き残りだから帰すなんてあんまりよ。
エドガーのばかっ!」
「お嬢様にバカって言われた!」
ルクソニアの拒絶に、エドガーの心が折れた。
「大体アンさんもアンさんっすよ!
東の部族の生き残りだとわかった時点でお嬢様つれて逃げてきてくれたっていいじゃないっすか!
そしたら俺も悪者にならなくてすんだのに……!」
涙目で訴えるエドガーに、泣きぼくろが印象的なメイドは頬に手を当て、困ったように返した。
「でもお嬢様の命の恩人ですし……」
「そうだとしても争いの種にしかならないっすよ!?」
「でもそれって、人としてどうかと思いません……?」
「確かにそうっすけど、それはそれ、これはこれっす。虹の王に目をつけられたら後がめんどいっすよ!
っていうか、イケメンだから判定が甘くなってません? 二人とも!」
ルクソニアと泣きぼくろが印象的なメイドはキョトンとした顔でエドガーを見た。
「エドガー、嫉妬はいけないと思うの」
「そうですよ、エドガー先生。
モテない男のひがみはみっともないですよ?」
泣きぼくろが印象的なメイドはヨドの側に寄り、ルクソニアと共にヨドを擁護した。
所詮この世は顔である。
「顔面格差あああ!」
エドガーは空に向かって叫ぶと、膝を折って地面に手をついた。
身も心もボロボロである。




