バッチィ
一方その頃、城の庭では。
腹の痛みを抱えて地面に転がりつつ、ルクソニアの帰りを待つエドガーの姿があった。
エドガーの目の前には、先ほど泣きぼくろが印象的なメイドに頼まれて出した転移ゲートがある。
転移ゲートが光を放ち、ブウンと音をたてると、ゲートの中からルクソニアが姿を表した。
「お嬢様!」
ルクソニアの姿を確認したエドガーはガバッと勢いよく起き上がり、転移ゲートから出てくるルクソニアに向かって叫ぶ。
それを聞いたルクソニアは少しビクッと肩を上げた後、抱きつこうとするエドガーを華麗な動きでかわした。
「お嬢様。なんで俺の事をさけるんすか……!」
ルクソニアは、涙ながらに見つめてくる半身はネバネバ、残り半身は土まみれのエドガーと一定の距離を保ちながら言った。
「ごめんなさい、エドガー。エドガーを嫌いな訳じゃないの。
だけど、とってもエドガーをハグ出来るような状態じゃないわ。エドガー、今とってもバッチィもの……!」
「バッチィ言われた!」
「なんだかネバネバしてるもの!」
「ネバネバ言われた!
これはシトリンの粘液っすから無害っすよ!
というわけで、さぁ!」
ばっと両腕を広げ、ルクソニアを待ち構えるエドガー。その背後にある転移ゲートから、泣きぼくろが印象的なメイドがブウンと音をたてて現れ、エドガーの背中を蹴飛ばした。
「なにやってるんですか、エドガー先生!」
「そっちこそ不意打ちで背中蹴るの、卑怯っすよ、アンさん。」
地面に顔面を滑らせ、天高く尻だけニョッキリ突き上げた間抜けな格好でエドガーは言った。
「エドガー、大丈夫?」
ルクソニアは心配そうにエドガーの側に近づき、そわそわと落ち着きなくエドガーの周りをうろついた。
「お嬢様……!」
感動したエドガーは、地面から起き上がると再び懲りずに腕を広げた。
それをみて、ルクソニアは無言で顔を横に振り、じりじりと後ずさる。
「セクハラですよ、エドガー先生」
そして再びエドガーは、泣きぼくろが印象的なメイドに容赦なく背中を蹴られるのだった。
「ぎゃふん!」




