ロボット
「わ、わかったわ。行ってくるのよ!」
ルクソニアは手と足をロボットのようにぎこちなく動かしながら転移ゲートに向かった。
「お嬢様。もしかしなくても、緊張しています?」
ルクソニアがギギギと首を動かし、泣きぼくろが印象的なメイドの方を向いた。
「大人だから平気なのよ。
大丈夫、はじめてだから怖いって駄々をこねたりしないわ!」
泣きぼくろが印象的なメイドは内心冷や汗をかきながらも笑顔をつくって言った。
「それは頼もしい限りです、お嬢様。
心配しなくても転移ゲートを通るのは、少しだけピリッとするだけでなにも怖くはありませんよ」
それを聞き、ルクソニアは眉をハの字にした。
「ピリッと痛いのね」
「ほんの少しだけですよ、お嬢様。
私も一緒に通ることができればよかったんですが。エドガー先生の転移ゲートは一度に一人しか転移できない仕様のようなので、我慢してくださいませ」
「どうして一人用なのかしら。みんなで一度に移動できたら怖くないのに……」
不安げにルクソニアが下を向く。
「恐らくですが、それは魔力をコントロールする上での問題じゃないかと思いますわ。きっと人数が増えれば増えただけ、魔力コントロールが難しくなるのだと推測できます。ですからお嬢様。心苦しいですが、ひとりで転移ゲートを通れますね?」
泣きぼくろが印象的なメイドはまっすぐにルクソニアを見つめて聞いた。
ルクソニアはそれを聞いて、ゆっくりと頷く。
「大丈夫よ、アン。私、もう5歳だもの!
一人で何だって出来るんだって所を見せてあげるわ!」
ふんす、と鼻息荒く言う、ルクソニアの姿に、泣きぼくろが印象的なメイドは微笑んだ。
「では、いってらっしゃいませ」
ルクソニアは泣きぼくろが印象的なメイドに促されるまま、転移ゲートの中に入っていく。
「ヨドとアンも、後で転移ゲートを通ってくるのよね?」
転移ゲートの中でルクソニアが不安げに聞く。
「はい、もちろん」
笑顔で頷く、泣きぼくろが印象的なメイド。
「こちらのことは心配しなくていいぞ、ルクソニア嬢」
優しい目でルクソニアの問いに答えるヨド。
ルクソニアは決意のこもった目で言った。
「じゃあ行ってくるわね、二人とも。
また後で会いましょうね」
「お嬢様、お気をつけて」
「また会おう、ルクソニア嬢」
ふたりに見送られながら、ルクソニアはブウンと音をたてて転移ゲートの中から姿を消した。




