説明する義務
一方その頃、森の中では。
転移ゲートが出現し、ブウンと音をたてて、泣きぼくろが印象的なメイドが転移ゲートから出てきた。
その視界の先には、木の根に腰を掛けてなにやら真剣な表情でヨドと話をしているルクソニアの姿がある。
「お待たせしてすみません!
お嬢様、ヨド様」
泣きぼくろが印象的なメイドがふたりに声をかけると、ルクソニアが慌てた様子で両手を使い、自身の口を塞ぐ。
ルクソニアとヨドはアイコンタクトを交わすと静かに頷いた。それを合図に、二人とも木の根から静かに立ち上がる。
そんな二人の様子に違和感をもった泣きぼくろが印象的なメイドは、自身の嫌な想像を払拭すべく、ひとつ咳払いをした。
「改めて謝罪をいたします、お待たせして申し訳ありませんでした、お二人共。
待っている間、何か困ったことなどございませんでしたか?」
ルクソニアが眉毛をハの字にして言った。
「大丈夫よ、アン。
急にゲートが消えてしまったから驚いたけれど、それ以外はまったくなにも問題はなかったわ、なにもなかったのよ?」
泣きぼくろが印象的なメイドの中の違和感がさらに増した。
「その言い方だと、何かあったように聞こえますよ、お嬢様。
先程、ヨド様となにやら真剣な様子でお話をされていらしたみたいですが、どんなことを話していらっしゃったのか、私にも教えてくださいませんか?」
ルクソニアは下を向いたまま、ポツリと言った。
「それはみんながいる前で話すわ。
あまり楽しい話ではないけれど、心配をかけてしまったもの。説明する義務があるってヨドから言われてしまったし、待ってる間に怒られる覚悟も出来たのよ」
泣いたのだろうか。ルクソニアの目元が少し腫れている事に泣きぼくろが印象的なメイドは気づく。
「お嬢様の姿が見当たらないと気づいたとき、私は本当に心配いたしました。ーーそれこそ、誘拐にでもあったのかと思ったほどに。お嬢様の身に何があったのか、お城にお戻りになられたら、お話ししてくださいますね?」
それを聞いて、ルクソニアは力強く頷いた。
「わかったわ。アン」




