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無能姫はショボいバリアで無双する。  作者: だんち。
エピソード1 元姫、森でイケオジと出会う。
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五体満足

「そうですわね。エドガー先生が青の陣営のスパイでない限りは。」と、泣きぼくろが印象的なメイドが、感情の読めない笑顔で言った。

エドガーの顔に緊張が走る。

「ーー何が望みっすか」

泣きぼくろが印象的なメイドはエドガーの喉元から心臓へと服の上から指を滑らせ、言った。

「ここ、見せてくださらない?」

「胸っすか? 何もないっすけど……」

「何もないことを証明してくださればいいんです。王族直属の暗部組織は忠誠の証として、心臓がある辺り(ここ)に魔章紋を刻みますから。

何もやましいことがなければ見せられるはずですわ」

エドガーの胸元をトンと軽く指先で突いたあと、泣きぼくろが印象的なメイドはエドガーの手から懐中時計を奪った。

「ーーあ」

取り返そうとするエドガーの手を掴むと、泣きぼくろが印象的なメイドは自身の方へ引き寄せ、耳元で囁いた。

「私が脱がしてさしあげましょうか?」

その瞬間、エドガーの顔に熱が溜まり、沸騰したように爆発した。

「じじじじ、自分で脱げるっす……!」

顔を背けるエドガーに、泣きぼくろが印象的なメイドがくすりと笑う。

「そう……なら早く見せて?」

エドガーの耳元で囁く、泣きぼくろが印象的なメイド。

「ちょちょちょちょっと!!

なんなんすか、さっきから!!」

片耳を押さえ、エドガーは慌てて泣きぼくろが印象的なメイドから距離をとった。

「あら、せっかく脱ぎやすいムードを作って差し上げたのに。」

ふふふといたずらっぽい笑顔を向ける、泣きぼくろが印象的なメイド。その姿に、エドガーは自身が彼女にからかわれていたことを悟る。

「そんなムード要らないっすよ……」

少し照れながらも、シャツのボタンを上から外していくエドガー。

「とはいえ禍根は残さない主義なんで、なーんにもやましいことないから見せるっすよ。ほれ」

そう言ってエドガーは泣きぼくろが印象的なメイドに胸元をさらした。

泣きぼくろが印象的なメイドは少しだけ緊張した表情でエドガーの胸元に懐中時計を近づけ、何も反応がないことを確かめると、小さくふぅと息を吐いた。

「これでお互い、身の潔白を証明できたっすよね?」

言いながらエドガーは泣きぼくろが印象的なメイドの手から懐中時計を奪い返した。

「そのようですわね。別の場所に魔章紋を彫っていなければ、の話ですけど。」

「そんなこと言ったら、お互い裸にならないと確かめようがないっすよ?

いいんすか? それでも」

「良くはないので、とりあえずはエドガー先生を信用することにしますわ」

「それはよかった。

俺も流石に、見知った異性の前で裸になるのはちょっと……というかだいぶ、恥ずかしいっすからねぇ。

信用してくれて何よりです。

あ、もちろん俺もアンさんのことを信頼するっすよ? 能力がゴリラ的な意味でも。」

その瞬間、エドガーの腹に泣きぼくろが印象的なメイドの拳がめり込んだ。

「ぐはぁ!!」

どさりと力なく地面に転がるエドガー。

腹を押さえてピクピクと体を震わせている。

そんなエドガーを黒い笑顔で見下ろし、泣きぼくろが印象的なメイドが言った。

「私、ゴリラじゃありません。」

「どのあたりをもってして、ゴリラじゃないと言えるんすか……」

青白い顔で泣きぼくろが印象的なメイドを見上げるエドガー。

「もう一発、いっとく?」

にっこり笑顔を浮かべ、げんこつを顔の横で構える泣きぼくろが印象的なメイド。

エドガーの顔色はますます悪くなり、絞り出すようにこううめいた。

「……命が惜しいので遠慮するっす」

「懸命ね。さ、お互いの誤解もとけたことだし、さっきの場所に転移ゲート、出してくださらない? お嬢様が心配だわ」

エドガーは地面に転がったまま片手でお腹を押さえ、弱々しく反対の手を地面にかざすと転移ゲートを出現させた。

「お嬢様の事、よろしく頼むっすよ……」

「任せてください。五体満足で連れ帰りますわ」

言うやいなや、泣きぼくろが印象的なメイドは転移ゲートの中へ入っていく。

エドガーは地面に転がったまま、弱々しく親指をたてて泣きぼくろが印象的なメイドを見送った。

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