主
泣きぼくろが印象的なメイドは緊張した表情で言った。
「エドガー先生。
見せてもいいんですけど、私の場合、|表向き雇われてはいない事になっている《・・・・・・・・・・・・・・・・・・》ので、左手には彫られていませんわ。
どうしても見たいというなら、仕方なく見せますがーー」
エドガーは食いぎみに言った。
「どうしても見たいっす!」
その様子に、泣きぼくろが印象的なメイドは少しあきれた。
「……。わかりました。少しお待ちを」
泣きぼくろが印象的なメイドはつけていたエプロンをはずすと、前開きのワンピースになっているメイド服のボタンを外し、胸元を少しはだけさせた。
「ちょっ! ちょっと何してるんすか、アンさん!?」
慌てたエドガーは手で壁を作りながらも、真っ赤になった顔を横へと背ける。
「あら、見たいのでしょう?」
そんなカチコチになった童貞エドガーの元へ、一歩、また一歩と忍び寄る泣きぼくろが印象的なメイド。エドガーの真正面に来ると、胸元をチラ見せしつつ、耳元で囁いた。
「私の、魔・章・紋……」
ふぅっと耳元へ息を吹きかける、泣きぼくろが印象的なメイド。
エドガーの肩が動揺して揺れた。
「み、耳になんかすんのは卑怯っすよ!」
へっぴり腰になりながらも片耳を押さえ、泣きぼくろが印象的なメイドから距離をとるエドガー。
「だって、誰かさんが色々知りたいって言うから……私、困ってしまって」
胸元に手を当てながら、流し目で言う泣きぼくろが印象的なメイドの姿に、エドガーがつっこんだ。
「とりあえずその物騒なもの、しまってください! お・ば・さ・ん!」
「誰がおばさんですか!
私まだ、たったの27歳です!
ーーたかだか5歳ばかり若いからって、調子に乗らないでくださいね? エドガー先生」
どす黒いオーラを背中にまとい、泣きぼくろが印象的なメイドは笑顔を顔に張り付けて言った。
「その笑顔が怖いっす」
ドン引きするエドガー。
泣きぼくろが印象的なメイドはエドガーの手を静かにとると、懐中時計を胸元にかざした。
「とはいえ、誤解されたままはしゃくなので。
ほらぼうや、ちゃんと心臓の辺り、見てくださいね?」
ぽぅと淡い光が胸元を照らし、魔章紋を形作っていく。
エドガーは真っ赤になりながらも横目でちらりと胸元に目をやり、その紋様を確認すると目を大きく見開いた。
「これはーー虹の王の紋様っすね……」
「私の主です。この事を知っているのは、旦那様とエドガー先生を含めた上役3人のみ。ーー内緒ですよ?」
泣きぼくろが印象的なメイドは再びエドガーの耳元へ唇を寄せると囁いた。
「他にばらしたら、命はありませんから……」
エドガーの頬に一筋、汗が落ちた。
「……ちょっと俺、今、すっごくパニクってるんすけど。もしかしなくてもお嬢様って……」
泣きぼくろが印象的なメイドはそっとエドガーの唇に人差し指をおいた。
「それ以上はおっしゃらないで。ますますあなたを縛り付けてしまいますから。」
エドガーは静かに頷いた。
泣きぼくろが印象的なメイドはエドガーから身を離すと、胸元をただし、外していたエプロンをつけた。
「これで私の身の潔白を証明できたかしら」
「十二分に。もうお腹いっぱいっすよ、俺は。
ということなら、俺らが今、争う理由はないっすね」




