魔章紋
「でも、あれっすよね。
今の話がすべて本当だったと仮定しても、
アンさんが青の陣営の関係者ではないって証明にはなってないっすよね」
エドガーの言葉を聞き、泣きぼくろが印象的なメイドが再び片眉を上げた。
「どういう意味ですか?」
「王族に連なるものを守護する役割を与えたのが青の妃だった、だから青の陣営にとって有利になるよう根回ししている……という流れでもおかしくないと思ったんすよねぇ、今の話聞いてて」
「嘘は言わないお約束で、誠意をもってお話したつもりでしたが。
エドガー先生はこれだけお話ししてもまだ不服なんですね」
「そうっすね、不服っす。
今、ここでーー違うって証明できるっすか?」
「どうやって?」
エドガーは懐からチェーンのついた懐中時計を取り出すと、泣きぼくろが印象的なメイドに懐中時計の底の部分をみせた。
「ここには魔法で彫った刺青ーー魔章紋を浮かび上がらせる魔石が埋め込まれてるっす。
こうやって左手に近づけると……」
エドガーは左手の甲へ懐中時計を近づけた。
すると手の甲が淡い光を放ち、複雑な紋章を形作っていく。
「魔章紋が浮かび上がるシステムっす。で、これが黄の宮殿に出入りしている人間が身分証代わりとして左手に彫る魔章紋っす。
俺は解雇されたから上から×がついてるっすけど。
王族に遣える人間なら、左手に魔章紋が彫られているはずなんでーーやましいことがないなら、左手、見せられるっすよね? アンさん」




