内情
「それに関しては異議アリですわ!
私たち従業員の食卓に魔獣を出すことで、安全性を確認しているってことですよね? それ!」
エドガーは無言で顔を横にそらし、泣きぼくろが印象的なメイドから目をそらした。
「ちょっと、エドガー先生?」
こめかみをひきつらせながら怒りの笑顔を浮かべ、じりじりとエドガーへ迫る泣きぼくろが印象的なメイド。その迫力に圧されて、両手で壁を作りながら、半笑いでじりじりとエドガーは後ずさる。
「い、一応、魔獣肉特有の毒性は抜いてるんで、人体に悪影響はないはずっすよ?
何かあったときはメイド長の魔法で回復してもらえばいいっすし。
ただまあ毒性と共に魔獣に宿ってた魔力まで消えちゃったみたいなんで、魔力を捕食で補うっていう当初のプランも暗礁に乗りつつあるんすけど……。どうやら魔獣の魔力と毒性に、因果関係があるみたいっす」
それを聞いた泣きぼくろが印象的なメイドの動きが止まる。
「その話を鵜呑みにするなら、魔獣を捕食し魔力を外部から取り入れる、という当初のプランそのものに問題が出てきますわね。
そもそもどうしてそんな研究を?
お嬢様のためだと言っていたけれど。
ーーエドガー先生、あなたどこまで内情をご存じなの?」
「内情って。
俺はただ国の情勢上、お嬢様の魔力の低さが生活する上でネックになってるから、それを克服するすべを一緒に探してほしいって旦那様に言われただけっすよ。
まあ、他にも細かい諸々の約束もあるっすけど」
「約束って?」
「アンさん、質問は交互の約束っすよ。
つぎは俺の番。」
泣きぼくろが印象的なメイドはプイッとそっぽを向いて言った。
「もう、細かいわね!」
「約束は約束っすから。
で、俺が知らない内情ってなんっすか?」
泣きぼくろが印象的なメイドの体から、汗がぶわっと出た。
「私、そんなこと言ったかしら」
顔をそらしたまま冷や汗を流す泣きぼくろが印象的なメイドに、今度はエドガーが詰め寄っていく。
「言ったっすよ?
|どこまで内情を知ってるか《・・・・・・・・・・・・》って、さっき聞いたじゃないっすか、俺に。」
にっこり笑顔で言うエドガー。




