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手引きしたのは誰?
「嫌っすよ? 誤魔化す気満々でしょ? アンさん」
にこやかに返すエドガーに、泣きぼくろが印象的なメイドの笑顔がひきつった。
「何を勘違いされているのかわかりませんが……お嬢様を魔獣が出る森の中に、青の王子の使者様とふたりきりで待たせているんです。
長時間お待たせするのも危険ですし、わがままを言わず転移ゲートを出してくださらないかしら」
それを聞いたエドガーのこめかみがひきつった。
「その本物かどうかわからない青の王子の使者殿とお嬢様を魔獣が出る森に放置して、我先に安全地帯に逃げ込むその根性が、俺からしたら理解できないっすよ、アンさん。
まず最初にお嬢様をゲートに通さないっすか? 普通。」
「それは気が動転して」
「随分と冷静に対応しているように見えたっすよ? 俺には。」
「ーー何が言いたいのかしら?」
泣きぼくろが印象的なメイドが笑顔のまま、エドガーに無言の圧力をかける。
エドガーは眼鏡のレンズを光らせて、確信をもった声で言い放った。
「今回の誘拐騒ぎ、手引きしたのはアンさんっすね?」
どや顔で言うエドガーに、泣きぼくろが印象的なメイドは少し目を見開き、ポツリと言った。
「どこをどう捉えたら、そういう結論に至るんです?
というか、誘拐騒ぎを手引きしたのはあなたでしょう? エドガー先生」




