かみあわないふたり
「そーですよぉ、エドガー先生にアンさん!
ケンカはしちゃいけませんよー?」
状況を理解できていないお団子頭のメイドが片手をあげ、呑気に言った。ねろんと粘液が手首にまで垂れている。
その様子に毒気を抜かれたエドガーが、ふうっとため息をはき、わかってるっすよ、と返した。
「今ここで第四勢力作るのは得策ではないっすからね。
うまいこと取り込む方向で動くっす」
「取り込むって、誘拐犯を?」
こてんと頭を傾けて言うお団子頭のメイドに、エドガーはふと笑みを浮かべた。
「そっちはアンさん次第っすね」
そう言うとエドガーは、泣きぼくろが印象的なメイドの方へと視線を移した。
無言で見つめあう二人。
二人の間にヒヤリとした空気が漂う。
そんな二人をおろおろしながら見る、筋肉もりもりな庭師。
「勢力は4つじゃなくて3つだろ?
俺ら、魔獣、誘拐犯……」
なっ、なっ?と必死に繕う筋肉もりもりな庭師。その努力もむなしく、お団子頭のメイドが無邪気に聞いた。
「はいはーい、どうしてアンさん次第なんですか~?」
「浮いた駒を味方にするのが、いつもの俺のセオリーなんで。」
レンズを光らせながら、眼鏡の位置を中指で直すエドガー。その返答に疑問を呈するお団子頭のメイド。
「それ答えになってないですよー!
浮いた駒?って誰のことですか~?」
筋肉もりもりな庭師が、慌ててお団子頭のメイドの口を塞ごうとしたが遅かった。
その疑問に対し、ほぼ同時に二人は答えた。
「エドガー先生のことです。」
「アンさんのことっすよ?」
目をぱちくりさせる、お団子頭のメイド。
その口を塞ぎながら、筋肉もりもりな庭師はしまったと顔を歪めていたが、時、すでに遅しである。




