青の王子の使者
「地ならしって、何の?
アンさん……ゴリラ的な所を見込まれて、森の神にでも見初められたんすか?」
キリッとした表情で、眼鏡を光らせながら言うエドガー。
背筋も凍るような冷たいオーラを背負いながら、泣きぼくろが印象的なメイドが微笑みを浮かべて言った。
「うふふ、エドガー先生、違いますわ。
お嬢様をみつけたんです。」
そのセリフに、お団子頭のメイドが嬉しそうに食いついた。
「お嬢様、見つかったんですか!?」
パアッと笑顔になる、お団子頭のメイドと筋肉もりもりの庭師(粘液濡れ)。渋い顔をしているエドガーの後ろで、二人は両手でハイタッチをしている。
エドガーは静かに息を吐くと、泣きぼくろが印象的なメイドの眼をまっすぐに見つめて聞いた。
「アンさん……それって俺の心の準備がいる系の話っすよね?」
それを聞き、エドガーの後ろではしゃいでいたお団子頭のメイドと筋肉もりもりの庭師の動きが固まった。
「ど……どういう意味ですか? エドガー先生ぇ……。
お嬢様が見つかったなら、良かったじゃないですかぁ~……」
不安そうな表情で、恐る恐るエドガーに質問をする、お団子頭のメイド。
泣きぼくろが印象的なメイドがエドガーを見てごくりと唾を飲み、次の言葉を待つ。
「そのまんまの意味っすよ。
アンさんが向かった場所は、集団で狩りをするウォーウルフの縄張りっす。
普通に考えたら、魔獣と戦う能力がないお嬢様が五体満足で生き残ってる可能性は極めて低い。肉片的な再会か……良くて欠損っすかね、ーーほんと残念っすよ」
地面に視線を落とし、悔しそうにエドガーがポツリと言った。
お団子頭のメイドと筋肉もりもりの庭師もエドガーの言葉を聞いて、無言で表情を曇らせる。
「シリアスな所、申し訳ないですけれど、お嬢様は普通に五体満足で見つかりましたので血生臭い再会はありませんよ?」
3人の視線が、泣きぼくろが印象的なメイドに集まった。
「えっ、でも……ウォーウルフはわりあい好戦的で俊敏な魔獣っすよ?
しかも集団で狩りをするんすよ?
子供が一人でどうこうできるわけーーあ。」
「お気づきですか? エドガー先生」
泣きぼくろが印象的なメイドがにこりと微笑んだ。
エドガーはごくりと唾を飲むと、緊張した面持ちで泣きぼくろが印象的なメイドに言った。
「他に誰か……お嬢様の側にいたんすね?」
泣きぼくろが印象的なメイドは、エドガーの言葉に無言で頷く。
「青の王子の使者と名乗る方が、お嬢様の側にーー」




