ヌメヌメ
泣きぼくろが印象的なメイドがエドガーを見て、小さく舌打ちをする。
「舌打ち、聞こえてますよアンさん。
視界が遮られてるので、音がよく聞こえるっす」
「うふふ。エドガー先生、きっとそれは気のせいです」
泣きぼくろが印象的なメイドが、黒い微笑みを浮かべて言った。
「それよりもエドガー先生。
先程と同じ場所に、転移ゲート、出していただけないかしら。」
「その前におたくの部下、しつけてもらっていいっすか?
俺いますっごく可哀想なことになってるんですけど。」
エドガーはお団子頭のメイドに地面に押し倒されアイアンクローを受けながらも、両手を大きく横に動かしながら彼女を指差し、自身の悲痛な現状を泣きぼくろが印象的なメイドに訴えた。
「しょうがないわね。
何があったのかは知らないけれど、エドガー先生から降りてあげて」
「はぁい」
お団子頭のメイドはしぶしぶエドガーの顔面から手を離し、立ち上がった。
エドガーとお団子頭のメイドの右手に、粘液の糸がびろーんとのびる。
「エドガー先生、大丈夫か?」
筋肉もりもりな庭師が、顔面をヌメヌメにしながら地面に仰向けになって倒れているエドガーの上半身を起こした。ーー粘液で全身をねばつかせたままで。
「あ、はい。どうも……って、あ!」
エドガーは右半身に嫌なぬめりを感じ、叫んだ。
それは筋肉もりもりな庭師がみせた、善意の行動だった。
そう、善意なのである。
その結果エドガーは、顔面だけでなく右半身もヌメヌメになってしまったのだった。
「あの……助けてもらってあれなんすけど……。二人とも……俺から一旦離れてほしいーっす!」
エドガーの悲痛な叫びが、城の庭にこだまする。
エドガーに怒られ、しょんもりしながら筋肉もりもりな庭師とお団子頭のメイドが、エドガーから距離をとった。
エドガーから面白いほどに、ヌメヌメとした糸がのびる。
それを見て、泣きぼくろが印象的なメイドが顔を歪めて言った。
「うわぁ……。エドガー先生……ヌメヌメのところ申し訳ないのだけれど。うちの品性を疑われかねない状況なので、一度森に戻って地ならししておきたいんで、転移ゲート、出していただけませんか?」




