外道な男
3分後。
「はあっ、はあっ。
なんだか少しだけスッキリしました!」
やり遂げた感満載の爽やかな笑顔で、額の汗を拭うお団子頭のメイド。
「それは良かった。
今度叩くときは肩にしてほしいっすね」
にっこり笑っていうエドガーに、お団子頭のメイドが曇りなき眼で言った。
「え? 嫌です。」
エドガーの笑顔が崩れた。
「言い切ったな……?
一応俺は直属ではないにしろ、君たちの上司に当たる立場の人間なんすよ?
アンさんといい君といい、気軽に俺をサンドバッグ扱いしすぎっす!
もっとこう、敬いの精神をもって接してほしいっすね! じょ・う・し・なんだし!」
お団子頭のメイドが、ビシッと手を上げて聞いた。
「はい! 敬いの心って、なんですか!」
エドガーは菩薩のような笑顔を浮かべて言った。
「俺をサンドバッグにしないという、清い心がけのことです。」
お団子頭のメイドが、眉をハの字にして言った。
「エドガー先生~、いい大人なんだから無理難題押し付けないでくださいよお~!」
握りこぶしをぶんぶん振りながら、お団子頭のメイドは言う。
それをみて、エドガーは悟りの境地を開いた。言っても無駄なことには、労力は使わない主義である。
「ーーところで。
まあ十中八九ギャタピーだったとは思うんすけど、念のため。
結果はどうだったんすか?」
光のない目で、お団子頭のメイドが答えた。
「お察しの通り、水をバシャバシャぶっかけてくる巨大魚以外、いませんでした。」
「だろうね。」
お団子頭のメイドから視線を外したエドガーは、少し離れた位置にある縮小ゲートから武骨な手で作られたピースサインがブンブン振られていることに気づき、ゲートの幅を広げた。
ゲートの中から出てきたのは、筋肉もりもりな庭師だ。なぜか全身粘液まみれになっており、心なしか表情も暗い。粘液にまみれた彼はエドガーの姿を確認すると、叫んだ。
「この外道が!」
「なんなんすか、いきなり!」
筋肉もりもりな庭師の唐突な暴言に、エドガーは反射的にツッコミを入れた。理不尽な言動には抗議する男である。




