ディナーの話
「お二人とも、森の中を進むのは大変でしたでしょう?
この先に、城の庭に出る転移ゲートがございますので、ご案内致しますわ」
泣きぼくろが印象的なメイドが先導し、3人は転移ゲートの入り口へと向かうことになった。
森の中を歩きながら、泣きぼくろが印象的なメイドが後ろを歩くヨドに向かって言った。
「ヨド様はお嬢様の命の恩人。
城に着きましたら、心を込めておもてなしいたしますね」
泣きぼくろが印象的なメイドの言葉に、ヨドの隣を歩いていたルクソニアが反応した。
「その事なのだけれど、ねえ、アン。
折角だから、ヨドには泊まってもらったらどうかしらって、わたしは思っているの。
それでね、夕食には|東の滝にいる魚のような魔獣を出して欲しいの!」
無邪気に笑いながら、本来食べる習慣のない魔獣を大切な客人の食卓に出せと言うルクソニアに、泣きぼくろが印象的なメイドの笑顔がひきつった。
「お嬢様……食用に品種改良されているとはいえ、大切なお客様に魔獣をお出しするのは
ちょっと……」
泣きぼくろが印象的なメイドの言葉に、しゅるしゅると元気をなくていくルクソニア。潤んだ瞳で、泣きぼくろが印象的なメイドを見る。
「どうしても、ダメ?」
泣きぼくろが印象的なメイドは、瞳を伏せた。
「……私は賛成いたしかねます」
ルクソニアは不満げに頬を膨らませた。
「ギャタピー、焼いたら美味しいのに……。
ヨドだって食べてみたいと思うでしょう?」
ヨドは熱いまなざしで、ルクソニアを見つめながら言った。
「ルクソニア嬢。
過剰な好奇心は身を滅ぼす、というだろう?」
ルクソニアは澄んだ瞳でヨドを見て言った。
「こわいの?」
「恐くはないさ」
ヨドはルクソニアに、ふわりと微笑んでみせた。所詮、痩せ我慢である。
それを察する事ができなかったルクソニアは、満面の笑顔でこう言った。
「じゃあ、今晩のディナーは魔獣で決まりね!」
ヨドの目が驚きで見開かれる。所詮、痩せ我慢だったのである。
「お、お嬢様……! 無理強いはいけませんよ!」
泣きぼくろが印象的なメイドが、慌ててルクソニアをたしなめる。
ルクソニアはキョトンとした顔で、泣きぼくろが印象的なメイドをみた。
「無理強いはしていないわよ、アン。
ヨドも食べたいって言ってるわ」
それを聞き、さりげなくヨドは抵抗の意思を見せる。
「食べたいとは言っていないぞ、ルクソニア嬢」
ルクソニアは澄んだ瞳でヨドを見て言った。
「こわいの?」
「恐くはないさ」
こうして、今晩のディナーが魔獣に決まった。




