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無能姫はショボいバリアで無双する。  作者: だんち。
エピソード1 元姫、森でイケオジと出会う。
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報われない三角関係

「……」

泣きぼくろが印象的なメイドは少し考えたあと、スカートの裾を軽く持ち上げ、ヨドに向かって深々と丁寧に頭を下げた。

「ーーヨド様。ご挨拶が遅れてしまい、申し訳ございません。私はメイドのアンと申します。お嬢様の話を聞く限り、ヨド様には大変お世話になったご様子。

城主に代わり、心より御礼申し上げます」

ルクソニアはそれを見て、慌てて自分も真似をし、頭を下げた。

「わたしも改めてお礼をいうわ、ヨド。

助けてくれて、本当にありがとう。

あなたみたいな素敵な人とお友達になれたこと、とても幸運なことだと思っているわ」

頭を下げる二人に、ヨドは穏やかな声で言った。

「私は、大したことをしたつもりはない。

どうか二人とも、頭をあげてはくれないだろうか」

二人が頭をあげると、少し困ったように微笑むヨドと目があった。

ヨドの人となりを見極めるため、泣きぼくろが印象的なメイドは穏やかな微笑みを浮かべたまま、さりげなく探りをいれる。

「それにしても、ヨド様はとてもお強いんですね。魔獣の群れを一網打尽になさるなんて、なかなか出来る事ではありませんわ。

見たところ魔法を使った形跡もありませんし、なにか武術の心得でも……?」

質問の意図を察したヨドは、ふわりと微笑みながら、短くそれに答えた。

「護身術として、多少武術のたしなみがある程度だ。大したことはない」

それを聞いたルクソニアが、得意気な顔をして二人の会話に割り込んだ。

「ヨドはね、魔獣に効く毒を使ってワンちゃんを倒したのよ……!」

ふんすと鼻息を荒くして言う、ルクソニア。

泣きぼくろが印象的なメイドは毒と言う言葉に内心動揺したが、それを悟られないよう穏やかな笑顔を顔に張り付けたまま、ヨドに聞いた。

「魔獣に効く毒、ですか?」

ヨドも優しげな微笑みを浮かべながら、それに答えた。

「私は魔法が使えぬ身。

森を抜けるにあたり、魔獣対策として特別に薬を調合し、持ち歩いていただけだ」

「なるほど、ヨド様はお薬にも造形が深くていらっしゃるのね」

表面上はとても和やかな雰囲気で笑う、ヨドとメイド。そんな二人の様子を見て、なんとか会話に割って入ろうとする、ルクソニア。

森の中で、報われない三角関係が完成した。

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