要注意人物
「アン……大丈夫?」
心配げに見つめるルクソニアに、泣きぼくろが印象的なメイドは、安心させるために微笑んだ。ルクソニアの頭を優しく撫でながら尋ねる。
「怪我は……どこか痛いところとか、ありませんか?」
ルクソニアは首を横に振ると、満面の笑顔で言った。
「大丈夫よ、アン。
怪我をする前に、ヨドが全部倒してくれたもの!」
「全部……?
その……ヨド、さんが、ですか……?」
周囲を見渡すと、口から泡を吹いて倒れているウォーウルフの死体が多数転がっていた。
生半端な腕では、こんなことは出来ない。
泣きぼくろが印象的なメイドの表情に、緊張が走る。
ルクソニアは無邪気に言った。
「そう、ヨドよ!」
鼻息荒く、得意気な笑みを浮かべるルクソニア。
少し離れた位置から二人のようすを窺っていたヨドは、泣きぼくろが印象的なメイドと目が合うとふわりと微笑んだ。
「私はヨド。以後お見知りおきを」
日の光に照らされ、キラキラと光る銀髪。
白い肌に映える、虹色に輝く瞳。
ヨドが佇んでいる場所が、まるで切り取ったかのようにぼんやりと光って見える。それほどまでに、ヨドは神々しいオーラを放っていた。
そんな彼と目があった泣きぼくろが印象的なメイドは、一瞬、意識を手放した。
「アン……?」
目をぱちくりさせ、泣きぼくろが印象的なメイドの顔を覗き込むルクソニア。
その呼び掛けで正気に戻った彼女は、ヨドには聞こえないように、こそっとルクソニアに耳打ちした。
「お嬢様……あの森の妖精みたいな殿方は、一体……?」
「ヨドよ?」
ルクソニアはくもりなき眼差しで、泣きぼくろが印象的なメイドをみた。
「……それは先程、お聞きしましたわ。
私が気になっているのは、どのような立場の方なのかということです」
ルクソニアはくもりなき眼差しで、泣きぼくろが印象的なメイドをみて、言った。
「青の王子さまの陣営の人だって、言っていたわ。王立選で、パパに協力をしてほしいそうよ」
ルクソニアの言葉を聞いた瞬間、泣きぼくろが印象的なメイドの頭に、ある言葉が浮かんだ。
ーー例えば、なんすけど。
……青の王子の陣営……とかだと、うちみたいな辺境貴族の支持でも、喉から手が出るほどほしいんじゃないっすかね。ーーそれこそ、誘拐を企ててでも。
エドガーの言葉が泣きぼくろが印象的なメイドの頭のなかで、何度もリピートされていく。
仮定の話だった事が、にわかに信憑性をおびてきた。
泣きぼくろが印象的なメイドは、ごくりと唾を飲み込んだ。




