疑わしいのは
「例えば、なんすけど。
……青の王子の陣営……とかだと、うちみたいな辺境貴族の支持でも、喉から手が出るほどほしいんじゃないっすかね。ーーそれこそ、誘拐を企ててでも。」
エドガーの衝撃的な発言に、皆、言葉を失う。
沈黙を破ったのは、おだんご頭のメイドだった。青い顔をして、震える声で叫ぶ。
「そ……そんなっ!
青の王子の陣営が、お嬢様をさらったって事ですか!?」
エドガーはおだんご頭のメイドをまっすぐに見据えて、落ち着いた声で言った。
「ーーあくまで可能性の話っすよ」
動揺しまくりながら、おだんご頭のメイドがひっくり返った声を出して言う。
「かっ、可能性があるってことはー、そうかもしれないって事ですよね!?」
「誘拐の可能性が高くなれば、あるいは、という話っすよ。確証があるわけでもないし、話半分以下で聞いてほしいっすね」
泣きぼくろが印象的なメイドが、胸元に手を当て、真剣な面持ちでエドガーに言う。
「でも……、その可能性もゼロじゃないと考えておいた方が良いということですよね?」
エドガーは地面に視線を落とすと、ポツリと言った。
「ーーそうでないことを、祈るしかないっすねぇ」
エドガーの言葉に、皆が沈黙した。
「まあでも!
まずはお嬢様が、魔獣にしゃぶられてないか確認するところからっすね!」
エドガーは努めて明るくそう言うと、重い空気を払うようにパンッと軽く手を叩いた。
「そ、そうですよねー!
まずは残りの確認作業を終えてから考えたらいいですよねー?」
おだんご頭のメイドが、ぎくしゃくしながらもそう言った。
「お、おう。まずはさっき言ってた場所を確認しないとだな!」
筋肉もりもりな庭師が、ひきつった笑みを浮かべながらそれに同意する。
「そ、そうよね、まずは魔獣よね!」
泣きぼくろが印象的なメイドも、両手を合わせて、それに乗っかる。
「じゃー転移ゲート出すんで、皆さん、キリキリ無駄足踏んできてくださーい」
エドガーは前に手をつきだし、複数の転移ゲートをそれぞれの背後に、同時に出現させた。エドガー以外のメンバーが、無言で目配せをして頷く。それぞれが静かに、決意を胸に抱き、転移ゲートの中へと入っていった。




