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無能姫はショボいバリアで無双する。  作者: だんち。
エピソード1 元姫、森でイケオジと出会う。
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含みのある言い方

「それって、田舎で前向きに頑張っているってこと? とても素敵なことだわ!」

満面の笑顔でルクソニアは言った。

「前向き……というと語弊(ごへい)はあるが、青の王子が虎視眈々と、未来に向けて準備をしてきたのは確かだ」

それを聞き、ルクソニアは眉間にシワを寄せて不満げに言った。

「……なんだか含みのある言い方をするのね、ヨド」

ぷくーっと頬を膨らませて、ジーっと物言いたげにヨドを見るルクソニア。ヨドは少し困ったように微笑んだ。

「ルクソニア嬢。

夢を見ているところ申し訳ないが、彼は3人いる王子の中でも抜群に性格が悪い。

一部の人間が彼を救世主だと崇めてはいるが、それがとんでもない誤解であることを、私はよく知っている」

ルクソニアはキョトンとした顔でヨドを見た。

「どういうこと?」

「彼は自身の陣営に、この国では卑しい身分とされている無能力者や獣人、奴隷の中から有能な人材を拾い上げ、積極的に起用をしている。それは人間らしい生活を奪われ、隷属(れいぞく)するしかなかった彼らにとって、願ってもない奇跡ともいえる行いだ。

しかし実際のところは、悪評のせいで人が集まらず苦肉の策として起用したに過ぎない」

ルクソニアは目をパチパチした後、少しすねた。

「たとえ事実がそうだったとしても、実際に感謝している人がいるんでしょう?

なら、結果オーライじゃないかしら」

ヨドは儚げに微笑むと、ルクソニアを諭すように言った。

「ルクソニア嬢。

毎回無理難題を突きつけては、部下を酷使するような人間でも、同じことが言えるだろうか」

「えっ?」

「労働環境としては、青の陣営は最悪だといえる。人手がないのはもちろんだが、労働環境を悪化させている一番の原因は、魔法が使えないのに魔法が使える者と同じだけの成果を、青の王子が部下に求めるからだ。

かくいう私も、長旅の果てに森を歩かされた挙げ句、事前連絡なしであなたのお父上と会い、交渉しなければならない。

……我々の苦労を察してくれるだろうか、ルクソニア嬢」

ルクソニアはぽかんとした顔で、ヨドを見た。ヨドは遠い目をしていた。

「……ヨドは青の王子さまの部下なの?」

「意外だろうか?」

「意外というか……その、中立だと思っていたの」

ヨドは寂しげに微笑んだ。

「幼い王子をひとりで、王宮から去らせるわけにはいかないだろう?」

ルクソニアははっとした顔をして、ヨドを見た。まだ見ぬ青の王子の幼い背中を想像し、ルクソニアは胸を痛める。

「ヨドは優しいのね。

きっと青の王子さまも、あなたがついてきてくれて感謝していると思うわ」

そう言ってルクソニアはニコッと笑う。それを見たヨドも、つられてクスッと笑った。

「彼はそんな殊勝な性格ではないよ、ルクソニア嬢。

賢いがわがままで、人を困らせるのが何よりも好きな、困った方だ」

ヨドはふわりと微笑んだ。

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