休憩
エドガーが、みぞおちに重い一発を食らっている頃。ルクソニアは、森の中をヨドと並んで歩いていた。
山歩きに不向きな革靴を履き、不馴れな砂利道を長時間歩いていたルクソニア。
体力はとうに限界を越え、気力だけで歩いていた。ヨドに置いていかれないよう、必死に隣を歩く。
「ルクソニア嬢、顔色が悪いな。
そろそろ休憩にしようか」
ヨドの提案に飛び付きたい気持ちをおさえ、ルクソニアは首を横に振った。
「大丈夫よ、ヨド。わたし、まだ歩けるわ」
大人ぶりたいルクソニアは、強がってヨドに笑顔を向けた。子供だからこそ、ヨドの足を引っ張りたくはなかったのだ。ルクソニアは、大人と同じくらい自分はできるのだと、彼に示したかった。
「ルクソニア嬢。
少し、大切な話をしようか」
そんな彼女の強がりを見抜いていたヨドは、ルクソニアの肩に手を置き、歩を止めた。
つられて歩みを止めるルクソニア。ヨドはルクソニアの前に移動すると、視線を合わせるようにその場にしゃがんだ。
「ルクソニア嬢。
頑張るということは、無謀なことや、無理をすることではないんだよ。
この森は魔獣も沢山いるし、休めるときに休んでおかないと、いざというときに困ることになる。賢い君なら、それがわかるね?」
ルクソニアは静かに頷いた。
「とても賢明な判断だ、ルクソニア嬢。
……それにね、私も歩き通しで、少し疲れてしまったんだ。
休憩を入れてくれると、大いに助かる」
そう言ってヨドはふわりと笑った。
ルクソニアは目をパチパチした後、声をあげて笑った。大人が素直に、子供である自分に弱味を見せてくれたことが嬉しかったのだ。
ひとしきり二人で笑った後、そばにあった木の根本に腰を掛け、ふたりは休憩をすることにした。




