祈り
ルクソニアはヨドの瞳を見つめた。優しい眼差しが、ルクソニアに向けられている。
「ヨド。わたし、お城にもどるわ。
そしてたくさん勉強をする。
胸を張って、お城のみんなと暮らすために」
強い決意を秘めたルクソニアのまなざしをみて、ヨドは微笑んだ。
「それはとても素敵な考えだね、ルクソニア嬢。
あなたならきっと、自身の数奇な運命をも、乗り越えられるだろう」
ルクソニアはそっと、ヨドの頬に触れた。
「それは、あなたの預言?
ヨドにはわたしの未来がみえているんでしょう?」
ヨドは静かに、頬に触れているルクソニアの手に自分の手を重ねた。
「これは預言ではないよ、ルクソニア嬢。
ただそうあってほしいという、私の祈りだ」
「祈り?」
「そう、祈り。
未来というのはうつろいやすく、夢のように儚い。決まっているものなんて、本当は何一つありはしないのかもしれない。
ルクソニア嬢。
あなたがあなたらしく、気高さを忘れずに歩いていけるように。素敵な出会いと、学びと、ささやな喜びに満ちた未来をその手で掴めるように、私は祈るよ」
「ありがとう、ヨド。
わたしもあなたの未来が、喜びと愛に溢れたものになるように、ともに祈るわ」
「ありがとう、ルクソニア嬢」
あたたかな木漏れ日が射し込む森のなか、ふたりは穏やかに微笑んだ。近くにいた小鳥が、ふたりを祝福するかのように軽やかにさえずる。




