第七話《一人の少女》
私はいつも夢を見る。それがいい夢だといいんだけれどいつも悪夢しか見ない。その夢の中の私は強いはずなのに弱くていつも泣いていた。だけど私が泣いていたらどこからともなくやって来て慰めてくれる私の中の王子様がいた。そんな人にいつか現実世界でも会えるかなと淡い恋心も抱いたものだ。だけど現実は非情で私は魔物に襲われてしまった。襲われた私は魔法で対処したけどその間はとても怖くて泣き叫んでしまっていた。そんな時だある男女が近づいてきたのは。女の子も綺麗で美しかったけど私は男の子から目が離せなかった。何故かって?それは―――夢に出てきた私の王子様にそっくりだったら。
「ちょっといいかしら?」
そう言ってマリアは少女に近づいていった。・・・やっぱりあいつは距離のつめ方異常だよ。よくまあ警戒しまくってる人にズカズカいけるよな。俺は絶対無理だなぁ・・・。
「あなた名前は?」
「・・・・・・・・」
ほら見ろ警戒しまって黙っちゃったじゃねぇか。仕方ねぇ
「おいマリアそんなんじゃダメだって」
「あら、私のどこがダメなのかしら?」
「警戒してる相手に軽々しく接触しすぎだってことだよ。まぁ見とけ」
そう言い放って俺は未だに怯えてる少女の前にしゃがみ
「・・・怖かったな。だけどもう大丈夫だ。俺たちがいるからな」
頭を撫でた。何故か少女の顔が赤い気がするが気のせいだよな
「いきなり現れた俺たちを信じろってのも無理な話だが名前は教えてくれねぇか?仲間や家族のもとに帰しずらくなるからよ」
そして俺は少女の答えを待った。こんな森の中にいるんだ。訳ありなのは確かなことだ。だから少女が落ち着くのを待ったのだ。すると
「・・・ルナリア・フェンベル」
「お?」
「それが私の名前」
そう言ってルナリアは顔を上げた。短く切られた黒髪に吸い込まれそうな黒い目。そしてあどけなさが残る幼い顔というのが第一印象だ。そしてルナリアは言葉を紡ぐ。
「私にはもう家族も仲間もいない。皆に見捨てられたから」
幼い顔に似合わない深刻そうな事実を言ってきた
なんか面倒なことに巻き込まれたか?