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転生エラー

継承

作者: みももも
掲載日:2022/11/27

【注意】「転生システムに致命的エラーを発見してしまったのだが」のスピンオフです。

「ねえおじいちゃん、それ、どうやってるの?」

 一枚のカードから剣を取り出し、華麗な技で魔獣を討伐した老人を見て、アウラは無垢な瞳で質問した。

 老人は剣をカードに戻しながら、優しくアウラの頭をなでる。

「おや、アウラは剣の技に興味があるのかい?」

「そうじゃないの。おじいちゃんは、何もないとこから『びゅわーっ』って!」

「ああこっちか。これは私の固有魔術だよ。『剣を内包したカード』を精錬してるんだ」

「こゆー? ないほー?」

「アウラにはまだ早いかもしれないね。もうちょっと大人になったら、ちゃんと教えて……」

「や〜だ〜! 私もおじいちゃんみたいに『こゆーまじゅつ』使いたい!」

「そうかい、でもじいちゃんの魔術(これ)は、とっても難しいからね……もうちょっと簡単な……」

「おじいちゃんのが良い! わたし、おじいちゃんのが良い!!」


 アウラにせがまれる老人は、悩むような顔をした。

 老人の弟子になりたいという人は今までに何人も、何十人もいた。

 そしてそれらのすべてが、技を習得することなく旅立った。

 ある者は「実家の手伝いをするために」と言い訳を残して。

 ある者は「俺にはあなたの技を継ぐ才能がない」と言い残して。

 何も言わずに、忽然と姿を消す者もいた。

 老人に罵声を浴びせて立ち去る者は、まだマシだった。

 中には明らかに自信を失って、冒険者を引退する者までいた。


 老人は、そんな彼らにこそ心を痛め、後悔を募らせていた。


 やんわりと断ろうとする老人の気持ちを知らず、アウラは期待に輝く目をじっと老人に向ける。

 最終的に、老人は、困ったような笑顔で考えを変えた。

「そうだね……じゃあちょっとだけ、試してみようか?」

「うん! わたし、やってみる!」

 元気よく返事をするアウラに、老人は笑顔を浮かべ、何度も教え、何度も諦めた説明を語り出す。


「いいかい、私のこの魔術の本質は『現実に存在しない物を想像する』ことにある。カードと対象物を別々に生み出すのではなく、最強の、無敵の装備を内包したカードを錬成する。時間制限を設けることでカードの中の幻想武具を召喚し、この世ならざる力を振るう……」

「う〜んと……こゆこと?」

 老人の言葉を遮って、アウラは器を作るように小さな手のひらを広げ、そこに魔力を集めていく。

 老人はその様子を見て、呆れ混じりの小さな笑い声を上げた。

「いや、そうじゃないよアウラ。これじゃあ……」

 しかしその言葉は、最後まで話されることはなかった。

 それより前に、アウラの手のひらにカード(けっか)が現れたからだ。

「おじいちゃん、できたこれ! 見て!」

「あ……ああ、すごいねえ」

「ほら! カードから、でっかい剣が出る!」

 アウラがカードを放り投げると、ポンッという音と共にカードは消滅し、代わりにいびつな形の剣が現れ、重力に引かれて地に突き刺さる。


 それは、明らかに質の低い剣だった。

 老人のカードから生み出される幻想剣であれば、軽く振るだけで真っ二つにすることさえできるほどの。

 だが、老人の教えを受けて、まがいなりにも剣の召喚に至った者は、他ならぬアウラが初めてのことだった。


「アウラは……すごいねえ。さすがは私の孫だ」

 複雑な心境の老人に優しくなでられるアウラは、純真無垢に喜んだ。

「うん! だってわたしは、おじいちゃんの孫だもん!」


 その後、アウラは老人の教えを受けることなく固有魔術を極めていく。


 後に老人は、アウラの生み出した固有魔術を参考に、一人の弟子を育成するのだが、それはまた別の話。

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