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娘へ語った物語

アイスの国のお姫様

作者: メバ

アイスの国のお姫様(プリンセス)は、ストロベリー味の甘いアイスの女の子。


アイスの国のお姫様は、いつも甘い笑顔で、とっても酸っぱい我儘を言っていました。


「アレが欲しい!」

「これ嫌い!」


アイスの国のお王様も家来たちも、そんなお姫様にはいつも困っていました。


ある日お姫様は言いました。


「あの人と結婚したい!」


お姫様の指す先には、キラキラと光る太陽がありました。


それは太陽の国の、王子様でした。


お姫様は、いつも空から見守ってくれる太陽の国の王子様に、恋をしたのでした。


でも、アイスの国の王様達はとてもびっくりしました。


「アイスの国のお姫様が太陽の国の王子様と結婚するなんて、とんでもない!」


アイスの国の王様は、初めてアイスの国のお姫様を叱りつけました。


「私の恋を応援してくれないお父様なんて、大嫌い!」


アイスの国のお姫様は、アイスの国を飛び出してしまいました。


「どうしてパパは、あの人との結婚を許してくれないの」

アイスの国のお姫様が1人そう言って泣いていると、魔女がやってきました。


魔女は言いました。


「お前はアイスだろう?そのまま太陽の国の王子と結婚しても、すぐに溶けてしまうのさ」


「だったら私は、あの人と結婚することはできないの?」


「そんなことはないさ。私の魔法で、お前を溶けない体にしてあげることができるよ」


「だったらお願い!私を溶けない体にしてちょうだい!」


「いいだろう。ただし、1つ条件があるよ。お前の国の、アイスの国民達を作っている工場の鍵を、私におくれ」


「わかったわ!すぐに取ってくるわ!」

アイスの国のお姫様は、魔女にそう言うと一目散にお城へと戻り、アイスの工場の鍵を盗み出しました。


「はい、これでいいでしょ?早く私を溶けない体にしてちょうだい!」


「イッヒッヒ。いいだろう」

魔女はニタリと笑って、アイスの国のお姫様に魔法をかけました。


「これで、私は溶けない体になったのね!」

アイスの国のお姫様はそう言うと、魔女にお礼も言わずに太陽の国の王子のもとへと駆け出しました。


アイスの国のお姫様からアイスの工場の鍵を受け取った魔女は、工場へと入り、たくさんのアイスの国民を作り出しました。


そして、その国民達をたくさんの人々に売りつけ、大儲けを始めました。


その様子を、太陽の国の王子様はお空の上から悲しそうに眺めていました。


そこへ、アイスの国のお姫様がやって来ました。


「太陽の国の王子様!私と結婚してください!」

アイスの国のお姫様は言いました。


しかし、太陽の国の王子様は小さく首を振りました。


「あなたは、自分の国の国民達を、あなたの我儘のために他人の手に渡しました。太陽の国の王子として、そんな人とは結婚できません」


太陽の国の王子様の言葉に、アイスの国のお姫様は涙を浮かべました。


「それならば、私を食べてください!あなたの一部になれるのならば、私はもう、何もいりません」


「・・・・いいでしょう」

太陽の国の王子様はそう言うと、ペロリとアイスの国のお姫様を食べました。


しかし、アイスの国のお姫様の体は、魔女の魔法で溶けることはありませんでした。


太陽の国の王子様の炎と、心に灯る恋の炎に焼かれながら、アイスの国のお姫様は、永遠に、太陽の国の王子様の中で、生き続けるのでした。

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