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吹替家族  作者: ハルユキ
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アフタートーク:「また会いたいな」

引き続きお読みいただき、誠にありがとうございます。


主人公・早瀬弘美はある日夫の声が大好きな声優赤山秋の声で再生できることに気づく。さらに最近では、好きなときに、好きな声が、好きなシチュエーションで聴こえ、BGMまで流せたりと、弘美は試行錯誤の中で色んなことができるようになってきた。


 その能力を使って、疲れた日常をときに荒ぶりときに癒されながら乗り越えていく物語ーー


いつもお世話になっております。


最終話の、そのまた後のお話。

アフタートークです。

最後の最後まで楽しんでいただけたら幸いです!


それでは、どうぞ!


 赤山さん こんにちは。


 ばんぐみ 見ました!


 このまえ うちにきてくれて ありがとうございました。


 全国中学生ふくし作文コンテストで しょうを もらって


 ドキュメントばんぐみを 作ることになって、


 赤山さんがナレーションと インタビューをしてくれたこと


 本当にうれしかったです。


 ありがとうございました。



 ぼくは いろいろ できないことがあって


 毎日 がんばってるけど うまくいかないこともあります。


 でも がんばってかいた 作文が


 ぼくと いろんな人を つなげてくれました。


 そして 赤山さんにまで とどきました。



 うちのかぞくは 赤山さんの 大ファンです。


 うちでは 毎週土よう日に 赤山さんのラジオを きいています。


 さいしょは 母が好きだったんですが


 ぼくも 弟も 父も みんな好きになりました。



 赤山さんが うちに くると 知ったときの


 母の反応は すごくて 赤山さんに 見せたかったです。


 当日は しっかりした感じに してましたが


 さつえいが終わり みなさんが 帰ると


 キャーキャー 言って うるさかったです。


 面白いので そこも 見てほしかったな。



 父は 平気そうに 赤山さんと しゃべっていましたが


 かぞくだけになると 赤山さんが 書いてくれた サインを


 わー!と 大こうふんで かかげ


 うちの 家宝にすると 言いました。



 弟は はずかしそうに していましたが


 あくしゅしてもらった手を 洗わないと


 しばらく 言っていて


 母も わかる! もう一生洗いたくないと 言っていたので


 洗わなくちゃダメだよと 言っておきました。



 ばんぐみは かぞく全員で見ました。


 感動して 泣きました。


 ぼくの大好きなかぞくを 紹介してくれて、


 ありがとうございました。



 へこたれる日も あるけど、


 こうやって信じられないようなことも あるから


 これからも 生きていけます。



 ばんぐみを 見たあと 母が 言っていました。


 かぞくで 歩んできたねと。


 一つ一つ 自分にできることを やってきて よかったねと。


 そのあとに つづく言葉が いんしょう的でした。


 何かミスでも起こらなきゃ こんな夢のような話はなかったかもしれないと 言うのです。


 今も どうしたって ミスをするけど


 一つ一つ重ねたものと 今までのミスが


 全部合わさって この幸せが あるのだとしたら


 ミスばかりの日々も 愛おしい


 母はそう言って 笑っていました。


 ぼくががんばった けっかなんだから


 ミスとか言うなよと 思いましたが


 ふりかえってみると そのとおりで


 母は ミスをくりかえす自分や うまくいかない日常に へこたれるとちゅうで 赤山さんを知り 元気をもらい めぐりめぐって かみしばいを つくるようになったと 言っていました。


 ぼくが 作文を かくのが 楽しいのは


 きっと 母が むかしから ものがたりとか かみしばいとか きかせてくれていたからだと 思います。


 だからぼくの作品も 母の コツコツ つみあげてきたものと 数え切れないほどの ミスが なければ 生まれなかったかもしれない。


 そう思うと ぼくも 笑っていました。


 赤山さん


 毎日 お仕事 お疲れさまです。


 大変なことも ミスすることも あると思います。


 でも うちのかぞくは それ全部ふくめて


 赤山さんのことが 好きです


 いつも 楽しませてくれて ありがとうございます!


 ぼくは 耳のかんかくが びんかんなので


 げきじょうには まだ行けていません。


 でも はいしんや ラジオ アニメ いろんな手段で 赤山さんを 見て 応援しています。


 「また会いたいな」


 これからも お体に気をつけて がんばってください。


 手紙 読んでくれて ありがとうございました!


                   早瀬 優太



 赤山は優太からの手紙を読み終えた。


 手紙に温かい雫が落ちる。


 なんて愛がこもった手紙だろう。


 赤山はもう一度手紙を読み返す。



 ありがとう、優太くん。


 優太くんの家族に会えるの、俺も楽しみにしてたんだ。

 ロミさんからやまラジに送られてくるメールにときどき出てくる、俺にとっては物語の登場人物みたいな存在で、どんな人たちかなって気になってた。



「また会いたいな」



 失敗しても好きですと言ってくれることにどれだけの勇気をもらえるのだろうか。


 打ちのめされているとき、


 一つ、聞こえる声が変われば、


 一つ、かけられる言葉が変われば。


 それは暗がりの空に浮かぶ一番星のように、

 暗闇の中を照らしてくれる一筋の光になる。


 一番星を見つけられたら周りにも星があることに気づけたりする。

 そうやって、見える星を、一つ、また一つと増やして、人は立ち上がれる気がするんだ。


 赤山は自身のアルバムの一曲を思い出す。『prima(プリーマ) stella(ステッラ)』イタリア語で一番星という意味だ。聴いてくれる人が元気になれますように、上を向いて希望を探せますようにと、願いを込めて歌った曲。


 赤山はおぼろげだけれど覚えていた。


 最初に優太くんのことをロミさんから聞いたのはこの曲を歌ってくれたというメールだったのではないか。自分はそれで、自分の表現の原点に気づいたのだから。


 あーっはっはっは!


 赤山は笑うしかない。

 この奇跡のような巡り合わせに。

 カーテンを開けると、空に星が輝いているのが見える。


 このたくさんの星の中から


 俺を見つけてくれてありがとう。


 これからも頑張るよ。


 だからまた、必ず、どこかで。


 赤山は『prima stella』を口ずさむ。

 自分に勇気をくれる、あのかけがえのない家族の幸せを願って。

 

アフタートーク:「また会いたいな」


お読みいただき、本当に、本当に、本当に!

ありがとうございました!


楽しかったよ!や、お疲れさま!を伝えてもいいよという方は、広告下の評価ボタン【⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎】を押してくださるとありがたいです!さらに感想を書いてくださると作者がとっても喜びます!皆さまに読んでいただけたおかげで無事完結いたしました。ぜひ一言いただければ幸いです!


昨日完結したにもかかわらず、連載設定のままにしてしまい、優しい方に完結設定の仕方を教えていただきました!


初めての連載で完結のさせ方もわからない私に、とても優しくしてくださってありがとうございました。

自分が書いている物語のような展開に胸が熱くなりました!


ここまで読んでくださって応援してくださった皆さまのおかげで、無事に完結することができました。

たくさんの幸せをくださってありがとうございます!

皆さまの幸せを心より願っております!!


最後の最後までお読みいただき、誠にありがとうございました!!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 最初は、キツくあたる夫の声が、大好きな声優さんの声に聞こえるという現代ファンタジーかなと思いながら読み進めました。しかし、ときに、目を背けたくなるような夫婦の壁や子育ての現実などリアルなヒ…
[良い点] 心打たれました。素晴らしいストーリーでした。 夫が家族を諦めようとして、弘美にそんな気はないと知るシーン。大好きです。 また、作中に出るショートストーリーも、一つ一つが名作で、見てみたいと…
[良い点] 赤山さんの声に癒される弘美に、自分を重ねて読んでしまいました。子育て、家事、仕事、妻。女性はたくさんの顔を持ち、使い分けなくてはいけませんよね。だけど、やっぱり疲れますよ。そんな時に、赤山…
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