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13

結局、赤井君を連れて部屋に戻った俺は何故かアドレスを交換した萌ちゃんと一緒にいたりする。


萌ちゃんの見事な狼狽えっぷりに頭の冷めた俺は萌ちゃんに牛乳が入ったコップを手渡す。



「牛乳?」


「うん、カルシウム」


いぶかしげに俺を見上げていた萌ちゃんだが、暫くするとコップに口をつけた。


綺麗な喉が上下に動く。


俺はそれを見つめながらにやりと笑った。



「なんかやーらし、ちんこ勃ちそ」


「ゴボッ」


「うははは」


小豆のセクハラ発言に噎せる八重を笑いながら小豆は八重の近くに腰をおろした。



とりあえず放置プレイされたと思っている赤井君は俺の部屋のベッドを占領して悶えている。


人のベッドでマスかかないように両手両足はタオルで縛らせてもらった。


(どうせ興奮を煽らせるだけだろうけど…。)


まぁ、どうとでもなるでしょう。


「で、え、何?なんなの萌ちゃん、懐かれる不良はもう赤井君だけでいいんだけどー…てか赤井君もいらないんだけどテイクアウトしていく?」


「絶対いらねぇ、死んでもいらねぇ、あんなドMいらねぇ」


「…はぁ、志摩にあげるかなぁ…」



ポツリと呟いた俺の言葉に八重は耳をピクリ、と動かせた。


「!!」


「おい志摩とあのドMは仲がい」


「ちょっとまって、あのさー…狼的不良は皆耳動かせんの?ピクピクなんの?どうやって耳動かしてんの?」


ズイッ、と近づくと萌ちゃん君は「は?」と顔をしかめた。


赤井君同様、萌ちゃんのピアスが沢山開けられた耳がぴくりと動いたのだ。


「耳…動いてっか?」


「無意識なの?へぇ~すごいねぇちょっと触っていい?」


「ふざけっ」

「うわー穴だらけ」


咄嗟に体を引く萌ちゃんに詰め寄り無遠慮にぶに、と耳たぶを触った時だった。


「っうわあああ」


大げさな程、ビクッ、と萌ちゃんの体が跳ねたのだ。


「え」


「ちょっばっ耳さわんじゃ」


「オイ今の声なんだ?」


「あ、赤井君ー萌ちゃん耳…ぶはっ、、敏感!」


「ぎゃああああああああ」



一匹狼の名が折れまくっている。もちろん俺は楽しんでいるし、赤井君は楽しんでいる俺を恍惚と見ている。


「ばっテメェ殺す!!!!」


「耳たぶこりこりしちゃうよー」


「うぎゃあああっ」


ば、と馬乗りになった小豆を必死に押しのけながら弱点の耳をつかまれて八重は思うように動けない

赤井はその光景が面白いのか芋虫のように動きながらソファに座った。


綺麗に色の抜かれた銀髪がぱらぱらと手をくすぐる。

地毛のようだなんて思いながら小豆はピアス穴があきまくった耳たぶを触った。


俺は丁度腹の辺りに座って、押し倒してるっていうか、なんというか。


「だぁぁぁあっテメェ重い!!!」

「おもっ…今のへこんだわー…」

「……俺はお前等のその現状にへこむがな」


「「「あ」」」


ガチャリ、とドアが開いた事に気づかなかった俺達は突然現れた声に驚いた。


「……てっ哲平…と…!」


授業があるはずの哲平が佇んでいる。そしてその後ろにいるまさかの…。


「……なんでいるの」


「そんな言い方ないだろ!!!萌人がここにいるって聞いたから連れて帰ろうとしたんだよ!!!」


―――神田…。


よくよく見れば哲平の目が据わっているではないか。一気に雰囲気の重くなった部屋で赤井だけがタオルを解こうともがいていた。


「休憩時間になってすぐコイツの所にファンクラブの奴らが来たんだ…八重なら猫田と一緒にいるよってな」


「それで哲平に言って連れてきてもらったんだ!」


「だから名前勝手に…チッ」


(うおー怒ってる怒ってる…。)

ここに来るまでに一体何があったのかは知らないが哲平が珍しくマジギレしかけている。


玄関にいた哲平はさっさと中へ入ると神田から距離をとった。


バタバタと近づいてきた神田は俺を押しのける。



「萌人!!心配しただろっごめんなさいは!?」


(いやいやなんの心配だよ。)


意味不明のごめんなさいを言わされそうになっているのに八重の顔は緩んでいる。

結局の所、神田は甘やかされオーラでもでてるのだろうか。


「悪ィ」


「よし!!」


「勝手にやってろアホ……ん…?」


ぼそっ、と呟いたが神田ワールドに侵された空間では無意味だった。

ふと、哲平の頬が赤い事に気づく。


「哲平…頬っぺた赤くね?」


「んあ?あぁ、まぁな」


「どしたの?」


哲平は頬を撫でると何でもないように目を細める。


「猿に殴られた」


「猿…猿って…ぶふっ」


「笑うな馬鹿」


ケラケラと笑う小豆の頭を叩く哲平。


(猿ねぇ……。)


俺の中では猿は神田なのだが、もし神田が哲平を殴り付けたというならば…。


チラリと神田を見下ろす。


すると後ろから頭を軽く叩かれた。


「違ぇよ」


「そ?」


災難だったなー、と笑う小豆の背中をトン、と神田が叩いた。


「?」


おず、おずと上目がちに俺を見上げる神田に首を傾げる。

萌ちゃん見つけたらもう用ないのになんでまだ居るんだろうか。


「あの…さ、この前はごめん!!つい言い過ぎたんだっ」


(この前…あーあれか。)


この前、とはおそらく保健室での事だろう。

自分より低い位置にあるつむじを見つめながらゆるーく返す。


「別に構わないよ…」


本当か?、と聞いてくる相手に本当本当、と頷いた。


「じゃあ仲直りだな!!あっ、ネコタ俺の事は秋って呼べよな!」



いやなんでだよ。


「っあ゛ーー…やっと取れた…流石だぜ猫田…この感じで俺のチン

「黙れ変態小豆にプレイ求めんな」


「テメェが黙れ」


「秋…俺達がいんだろが…猫田も三山もほっとけよ」


「嫌だ!!俺はネコタと哲平と仲良くなりたいんだっ」


宥めようとする八重に駄々をこねる神田はガシッと俺の腕を掴掴んだ。


あれ、なんで?

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