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NEW MYTHOLOGY  作者: 宗緋色
大陸横断編
7/71

一段落と峡谷の主


 クリムゾンの巣窟に強制転移させられてから三時間程が経っていた。レイズという上位魔人との戦いを経て、俺達はロア王国の東にある森でシルフィーの妹、リーフィアを救出する事に成功した。

 とはいえ、『異界門』でシュトロハイムの店に戻った時、ルカがもの凄い形相で店の男に掴みかかっていたのを見た時は、肝が冷えた。

 今にも殺しそうな勢いだったからだ。俺達の姿を見ると、表情は一変。何事も無かったように振る舞いだした。「吾輩は心配など、してはいませんでしたよ?」-なんて言っていたが、ありゃ嘘だ。血相を変えていた事はわかっている。······困ったものだ。

 

 俺はシルフィーに、妹のいる場所を説明するついでに、今回のクリムゾンとの一件を無かったことにする為、そしてクリムゾンを再起不能にする為にアヤという女性を仲間に加えた事を話した。

 ルカは、俺の決めた事なら-と潔く理解してくれたのだが、目を覚ましたミーアが、またもアヤに突っかかり出して中々に面倒を被った。

 

 ともあれ、こうして盛大な寄り道は、無事に事なきを得た訳だ。今も、目の前でシルフィーとリーフィアが再会の喜びに浸っている。

 

 「エトさん、この度は本当にありがとうございました」

 

 リーフィアは、俺に歩み寄ると深々と頭を下げてみせた。まぁ、最初は複雑だったが、こうして彼女達の再会を見守れているのも妹のおかげなのだろう。ちゃんと〝良かったな〟と心の底から思える事が出来ている。

 

 「いろいろと······いや。今回の事で俺に恩を感じる必要は無いからね」

 「そうはいきません! 何かお礼をさせて下さい!」

 

 俺は、リーフィアにいろいろと聞きたいことがあった。多分、というか確実に彼女はエルフの王族···もしくは、高貴な身分だろう。それを確認しようとも思ったのだが、まぁ俺にとってさほど重要な事でも無いので、問いかける事はしなかった。

 お礼はいい-とリーフィアに伝えたが、全く食い下がろうとしない。頑固さは姉に似ている。

 

 「なら、次に会った時、俺が困ってたら全力で協力してくれる? それをお礼と受け取るから」

 「そ、そんな事でいいんですか? もちろんです!」

 「そんな事? まだ協力の内容も言ってないのに即答していいの?」

 「いいんです。どんなことだってさせてもらいます!」

 

 ほう。言ったな? なら、その時は容赦なくこき使わせてもらうとしよう。

 

 「へぇ〜。〝どんなことでも〟···ね。期待してるよ」

 「あぅっ···で、でも······。その···いやらしい事は···ちょっと。その···エトさんの事も〝まだ〟よく知らないし······」

 「へ?」

 

 モジモジと胸の前で、両手の人差し指を合わせながらこねくり回しているリーフィア。一体、何をどう聞いたらそうなる······。俺はリーフィアの身分を盛大に利用しようとしただけなのだが···。

 

 「ちょっとエト様······」

 「なっ······なんだよミーア。俺は悪くないぞ?」

 

 俺の横でミーアが、ぐいぐいっと凄い圧力を掛けて来ている。

 

 というか、これは不信? 疑いの目か? なんでそんなに睨まれなければならないんだ!

 

 「今のは、そう取られても仕方ないです! エト様のすけこましっ!」

 「なっ、なにをぉ!? 俺のどこが色事師だコラ!」

 

 ついついムキになってしまった。生意気を言うミーアの両頬をこれでもかと引っ張り、発言の撤回を要求した。しかし、引き下がらないミーアは、あろう事か俺と同じように両頬をつねって来やがった。

 

 「ぬぁッ! お、お前っ。主人に対して!」

 「ほーでふよ! (そーですよ!) えほさまは、わはひのごふじんはまなんでふかあえ! (エト様は、私のご主人様なんですからね!) えほさまがえっひなこほをひへいいのは、わはひだけあんでふかあ! (エト様がエッチな事をしていいのは、私だけなんですから!)」

 「何言ってるか分かんねえよっ!」

 

 いやあ······情けない。こんな事で熱くなってしまうとは。ルカが止めに入ってくれなかっなら、スキルを使うところだった。···いかんいかん。

 ともあれ、真っ赤に腫れ上がったほっぺで機嫌を損ねてしまったミーアをこのまま···というのも主人として悪い気もする。

 

 「ったく。······ごめんな、痛かったろ」

 

 そう言いながら、ミーアの頬を摩ってやる。気休め程度にはなるかと思ったのだ。······うん。良かった。ミーアは嬉しそうにしてくれている。

 

 「えへへ〜」

 

 そんな俺達を見て、シルフィーもリーフィアも楽しそうに笑っている。見世物じゃないって言うのに。

 その後、ミーアはルカに説教を喰らっていた。「エト様に反抗とは何事かっ! ましてや手を出すなど!」-と怒りを露わにしている。案の定、ミーアはしょんぼりとしている。まるで子供だ。

 

 「エトさんは、いやらしいんですか?」

 「······お、お前もそんな事」

 

 ふぅ、終わった。-なんて思っていたら、アヤが時間差で蒸し返して来た。面倒な奴がもう一人現れたのだ。こんな会話に入ってくるとは思わなかったので、不意をつかれて、ついついキョドってしまった。

 

 「健全な男性なら当然だと思いますよ。お望みなら、私の体もご自由にして頂いて結構ですが?」

 「からかうのはその辺にしといてくれない? もう疲れちゃったし。っていうか、そんなに畏まらなくてもいいよ? ルカとミーアは立場的にあんなんだけど、アヤは従者とか奴隷じゃないんだから」

 「···よろしいので?」

 「うん。いいよ!」

 「そう。ならそうするわ」

 

 ······いや、切り替え早いな。それに砕け過ぎやしないかい? まぁいいけどさ。

 

 

 

 

 -そして。

 

 「本当にありがとうございました!」

 「エト様、またお会いできる日を楽しみにしています!」

 「うん。またね!」

 

 こうして、シルフィーとリーフィアの二人と別れた俺達は、本来の目的の為に再び歩み出した。

 

 

 

 

 

 当面の目標は、レイズの言っていた西方大陸にあるイシュタル法国だ。そこで、アズールという元クリムゾンのトップに会わなければならない。まぁ、居るかどうかも分からないし、居たとしても何も知らないかもしれない。しかし、レイズの部下が掲示してきた帳簿を見て思ったが、あれだけの支援団体とのパイプをたった五年で築けるとは思えない。きっとアズールという輩も当時からあらゆる面に顔が利いていた筈だ。

 アヤが『記憶操作』によって操っていたのなら分かるが、聞けばアヤは支援団体や取引先相手にはスキルは使っていないようだった。というか、クリムゾン内で使ったことは無いらしい。

 確かにレイズのあの時の表情を見れば頷ける。

 

 「-それでですね、ぐわって魔力が膨れ上がって、エト様がドラゴンになって、私をギュッと···えへへ」

 「ほほう。それはきっと、加護の付与スキル『竜化』ですね。いやはや、吾輩も観たかったです」

 

 俺とアヤの後方で、ミーアがレイズとの戦いを身振り手振りを加えながらルカに熱弁している。······本当に楽しそうに笑う奴らだ。ルカもミーアも、俺の話となると、嬉しそうに笑顔を見せる。どうしてここまで慕ってくれているのか、正直な所分からないが、俺も主として恥ずかしいマネは出来ない-そう思った。

 

 「エト君、東方大陸から出た事はある?」

 「あぁ、うん。一応あるよ? アヤは無いの?」

 「私もあるわ。故郷が南方大陸にある小さな村だから」

 「そっか。ならなんでそんな質問を?」

 「いいえ。〝奈落の峡谷〟を知っているならそれでいいの」

 

 この世界には大まかに四つの大陸と一つの孤島が存在し、一つの孤島を四つの大陸が囲むように形どっている。四つの大陸は、輪のように連なってはいるが、安易に大陸を行き来する事が出来ない。

 というのも、大陸の境界線には『アビス』-別名〝奈落の峡谷〟と呼ばれる、底無しの巨大な谷があるからだ。強大な魔獣が住まう場所として広く知れ渡っている。

 

 『悪い子はアビスに放り込む』-なんて情操教育の言葉もあるくらいだ。

 

 勿論、そんな危険な峡谷を一般人が通れる訳が無いので、正規ルートもちゃんと存在している。境界門と呼ばれる場所で、通行手形を支払い、徹底的な身分確認をした上で通行する事が出来る。

 

 「まぁ、今回は『異界門』を使って大陸を渡るから、なんの問題もないんだけどね」

 「なるほど。便利なスキルね」

 「そうだね。一度行ったことのある場所になら、直ぐに行けるからねっ」

 

 あはははっ!-と笑みを浮かべた俺だったが、その時、俺はある事に気付いた。

 

 このスキルを使えば、西方大陸にすぐにでも行けんじゃね!?

 

 そう。何も馬鹿正直に大陸に渡り歩く必要なんて無いのだ。イシュタル法国に行ったことはないが、西方大陸には行ったことがある。なら『異界門』を使って移動すればあっという間に西方大陸だ。

 

 「ねぇ? そのスキルを使えば」

 

 どうやらアヤも気付いたらしい。

 

 「あぁ。イシュタル法国は行ったことがないけど、西方大陸には行ったことがあるから行ける筈だね」

 

 という事で、物は試しだ。早速、『異界門』を使ってみる事にした。

 

 「『異界門』」

 

 クリムゾンの巣窟時と同様に空間亀裂が目の前に現れた。イメージしたのは、西方大陸の北方にある村、コルネルだ。

 

 「おぉ、それが『異界門』ですか! 異様な力を感じますね」

 「そうね。ホントに······〝何者〟なのかしら」

 

 感動しているルカと疑惑の目を向けるアヤ。しかし、俺がその疑いの目に気付く事はなかった。

 

 「···ん? そう言えば先程から何故、アヤ殿はエト様に馴れ馴れしく話しておられるので?」

 

 理由次第じゃ、容赦しないぞ!-なんて思っているのだろう。俺からすれば、ミーアだってルカだって、もっと砕けて話してくれていいのだが、本人がそうしたいのなら強制はしない。ただ、アヤはそういうタイプじゃないと思った。だから俺の方から提案したのだ。

 

 「エト君から許可は貰ったわよ?」

 「なっ!? そ、そうでしたか······。主が認めたと······ぐぬぬ」

 「······?」

 

 アヤの言葉に納得しようと葛藤しているルカ。アヤはそんなルカを不思議そうに見つめている。まぁなんでもいいけど、仲良くして欲しいと願うばかりだ。

 

 「んじゃ、ちょっと様子見てくるよ」

 「はい! かしこまりました。お気をつけて」

 「エト様ぁ、私もいきますーっ」

 「ダーメ。ミーアちゃんはお留守番よ」

 「ちゃ、ちゃん!? ちょっとちょっとちょっと! なんですかっ! 馴れ馴れし過ぎじゃないですかっ!?」

 「ふふふ。〝私は〟いいみたいよ? エト君に許可も貰ったから」

 「なぁんですとぉー!?」

 

 なんだか騒がしいけど、大丈夫だろうなぁ。あんまりミーアを刺激して欲しくはないんだけど···。後々面倒そうだし······。

 

 ともあれ、四人を背に俺は『異界門』を潜ってみる事にした。

 

 

 

 

 『異界門』を潜り、視界に入ったもの。それは見たことの無い空間だった。遥か上空に見える空、そして前方と後方に立ちはだかる岩壁。高さは優に10キロメートルはあるだろう。そして魔素が極端に薄い。ここは一体何処なのだろうか。

 俺は、一応『異界門』を閉じて少し歩いてみる事にした。

 

 「······確かにコルネルをイメージしたんだけどな」

 

 ここが西方大陸の北方、コルネル村じゃない事は明白だった。『魔力感知』で辺りを調べてみると、離れた場所に〝化物並〟の異様な気配を発している存在が二つ感じ取れた。

 

 「···ちょっとやばそうだな」

 

 そう思った俺は、何が起きても大丈夫なように抑えていた魔力を全解放した。

 

 すると-

 

 「おっ···。動き出したな。魔力に反応してんのかコイツら」

 

 『魔力感知』によると、全解放した俺の魔力に食いついたように、二つの存在は異常な速度で接近して来ている。

 

 速い。······というか〝速過ぎる〟!?

 

 「うぉっ-!?」

 

 そう思った時には既に〝遅かった〟。その存在を見ること無く、俺は〝吹き飛ばされた〟のだ。別に警戒しなかった訳でも、手を抜いていた訳でも無かった。ただ、その存在が速過ぎたのだ。

 

 数キロメートルも吹き飛ばされた俺は『超即再生』で人としての原型を取り戻した。『超即再生』が無ければ、今の一撃で〝死んでいた〟ところだった。

 

 「···おいおい。嘘だろ。なんだよあの反則野郎共は」

 

 マジでやばいんですけど!?

 

 俺の『魔力感知』では、さっきの化物共は動きを止めているようにみえる。さっさとここから出ようとも思ったのだが、姿くらいは確認しておきたい。ここがどこかも分からない。······いや、なんとなくは察していた。

 この断崖絶壁と遥か上空にある空。多分、ここが〝奈落の峡谷〟なのだろう。何故、コルネル村に空間を繋げられなかったのかは分からないが、何かしらに妨害されたと考えるべきだ。だったら、ここから素直に出れるかも分からない。

 『異界門』を通ったら、また奈落の峡谷-なんて事もあるかもしれない。永遠ループの可能性も十分にあり得る。

 

 「···はぁ。まるで〝あの人〟と出会った時みたいじゃん。勘弁して欲しいんだけど」

 

 なんて過去の思い出に浸っている暇はない。俺は『竜化』と『吸血鬼化』を同時に発動し、『纏雷』を身に纏った。これで、とりあえず雷撃の速さと『反魔法障壁』による防御、そして『魔力吸収』での無力化が可能になったわけだ。『竜化』と『吸血鬼化』の同時しようは初めてやってみたが、まんま二つの特徴を合わせた感じのような姿になってしまった。

 

 「ったく。絶対ぶっ飛ばしてやる!-ゥオラッ!」

 

 準備が出来た俺は雷鳴を轟かせ、ものの数秒で奴らの姿を捉えた。捉えたのだが······。

 

 「···え? なっ······鉱石の塊? いや、金属の塊か?」

 

 そこにいたのは様々な形の金属が合わさった二つの巨大な塊だった。当然、こんなものは見たことがない。

 

 というか、生きてんのか?

 

 そんな疑問を他所に、俺の姿を捉えた二つの塊がすぐさま攻撃を仕掛けてきた。腕のようなもので殴りかかってくる。

 

 「っの! コイツらなんで俺の速さについてこれんだよ!?」

 

 間一髪、塊の攻撃を回避した俺は度肝を抜かれていた。光速にも近い今の俺を確実に視界に捉えている。縦横無尽に動き回ろうが、塊共の目は赤く光り輝き、とてつもないスピードで俺を追って捉えている。

 

 そんな化物共に驚愕していると、隙をつかれた俺は、腕で繰り出された攻撃をモロに受けてしまった。

 

 「がハッ!?」

 

 殴られた勢いで岩壁に叩き込まれる。瞬時に『超即再生』が自動的に働き、またも再生する。というか、『反魔法障壁』が展開しなかったという事は、魔法攻撃では無く〝ただの〟物理攻撃という事だ。

 

 ふざけんな。ただの物理攻撃で弾け飛ばされてたまるか! そんなの俺の魔力値を〝上回っている〟って事じゃねえかよ!

 

 「はぁ···はぁ···。って事は『魔力吸収』も意味が無いってわけ? もう嫌だ······」

 

 本当に勘弁して欲しい。これでも〝いろいろと〟経験して来たつもりだったが、その遥か上をいっている目の前の存在に泣きそうになる。イルミに助けて〜-と叫びたいくらいだ。

 

 ···いや、実際問題、本当にどうしよ······。

 

 「とりあえず〝本気で〟殺るしかないよな」

 

 そう決意した俺は、『竜化』と『吸血鬼化』を解くと、両手を天に突き出した。

 

 久しぶりに〝本気の一撃〟を見舞ってやるよっ!

 

 「至高の力(マスタースキル)···【神羅万象(エル・デウス)】-『天運万雷(ママラガン)』ッ!」

 

 その瞬間、遥か上空の空から絶大な規模の雷撃が目の前の化物共を呑み込む。これは〝大陸をも〟消し去る程の威力を持っている。

 雷光の中で化物共はギシギシと鈍い音を出しながら必死に動こうとしている。

 

 ······まだ動けるのね。マジでなんだよコイツら。

 

 一瞬にして全てを灰に帰す『天運万雷(ママラガン)』を喰らっても動けるとは流石に思わなかった。これは更に攻撃した方が良さそうだ。

 

 「勘弁しろよ。至高の力(マスタースキル)の同時発動なんて〝全魔力〟吹っ飛ぶってのに···」

 

 とはいえ、『天運万雷(ママラガン)』だけでは動きを止めないようなので、加えて【神羅万象(エル・デウス)】の力の一つである『地核変導(トラソルテオトル)』を発動する事にした。

 

 「っ···きっつい。畜生、さっさとくたばれ!」

 

 俺は両手を左右に広げた。瞬間、両手の掌から銀色の糸のようなモノが周囲の岩壁に触れたと同時に大きく地鳴りを響かせる。

 

 そして-

 

 「『地核変導(トラソルテオトル)』ッ!」

 

 パンッ!-と両手を合わせた瞬間、岩壁の一部が化物共を挟み潰すように動き始めた。大地を操る『地核変導(トラソルテオトル)』。これにより、轟音の中、ようやく化物共は動きを止めたのだった。

 

 「はあぁぁぁ······。疲れたァ〜···」

 

 多分、周囲では結構な規模の地震が起こっているだろう。申し訳ないとは思うが、それどころではなかったので、是非とも許して欲しい。

 

 俺はその場に力尽きるように倒れ込んだ。【800,000】もあった魔力が、ほとんど尽きてしまったからだ。何度でも言おう。本当に勘弁して欲しい。

 

 「『魔力吸収』が加護の付与スキルで良かったよ」

 

 そう言いながら、俺は『吸血鬼化』をして『魔力吸収』を行った。加護の付与スキルは、所持しているスキルと違い、魔力を消耗しないようなのだ。まだ全ての付与スキルを試した訳では無いので、確信はないが、とりあえず今までに使ったことのある付与スキルは魔力を消耗しなかった。

 

 俺は寝転びながらゆっくりと『魔力吸収』によって魔力を回復させていく。とは言っても、この場所は魔素が極端に少ない。もうしばらく時間がかかりそうだ。

 

 

 

 

 -一時間後。

 ようやく、動けるくらいの魔力が回復した俺は、『異界門』を発動した。そして、一応化物共の安否確認をした後、空間亀裂を潜った。どうやら化物共は完全に沈黙したようだった。とはいえ、死んだかどうかは分からない。というか、〝生きている〟かどうかも怪しい。あんな金属の塊が生物だなんて思えない。

 

 「はぁ···。もう本当に嫌だ······」

 

 そう思いながら俺は仲間達の元へと戻っていった。ちゃんと戻れると願いながら-。

 

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