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運命のカミーリア  作者: 柏木紗月
大学生編
85/136

アメリカ旅行からの帰国



「隼人……行っちゃうの?」

「メアリー……」


 おばあちゃんもおじいちゃんも誰もが予想した通り、俺はニックの家の前でメアリーの小さな手を離せずにいた。


「これは浮気じゃないよ、椿。メアリーはたった6才の小さな女の子なんだから」

「どんな言い訳してるのよ。椿は別れた元カレがどこでなにしてようがどうでも良いと思うわ」

「おばあちゃん、椿はそういう子じゃないんだよ。それからそういう問題じゃないんだ。俺は椿だけの「行っちゃうの嫌!!」わー!!泣かないで!!」


 いったいどうしたら良いんだ。


「メアリー、隼人が困ってるわよ。メールや手紙を送ったらどう?」

「ママ、携帯を買って」

「メアリーにはまだ早いと思うわ」

「メアリー、ソフィアさんが言う通り手紙を送るよ。メアリーも手紙を書いてくれる?」

「……わかったわ」

「うん、良い子だね」


 頭を撫でてあげると口元が緩むメアリーが可愛くてもっと撫でてあげた。


「隼人、私若菜よりも椿よりも綺麗な女の子になるわ」

「今のままで若菜よりずっと綺麗だよ。将来は美人さんになれる」

「もう……仕方ないわね」


 やけに大人っぽい仕草で呟くメアリーに苦笑いして言う。


「帰ったらすぐに手紙を書くよ。待っててね」

「わかったわ」


 ようやくさよならをする勇気が出てきてみんなにも挨拶する。


「エリック、バスケ上達したね。他のやつらがなんて言おうとエリックはエリックなんだから自信を持つんだよ」

「ありがとう、隼人。ちなみにメアリーには内緒なんだけど」


 エリックはこそっと耳元で言う。


「来月僕携帯を買ってもらえるんだ。パパに連絡先を聞いて良い?」

「そうなんだ。もちろん良いよ」


 メアリーには悪い気がしたけど手紙というのも良いものかもしれないと思ってなにも触れずに承諾した。


「隼人、また遊びにきてね!!」

「遊びにきて!!」


 マーガレットとジョンが元気に言う。


「うん。マーガレットもジョンも日本に来てよ。楽しめると思うよ」

「うん!!僕とマーガレット日本語勉強するんだ!!」

「へえ!!すごいね」

「もう覚えた日本語があるんだよ!!」

「そうなの?なんて日本語?」

「ようかい」


 ジョンの片言の言葉に首を傾げるとマーガレットも言う。


「あとはね、あつげしょう」

「ああ、若菜のことだね。日本語で言ったことあったっけ?まあ良いか。甘ったるいチビザル厚化粧妖怪だよ。せーの」

「「あまったるいちびざるようかい」」

「そうそう。上手い」


 どうにか英語で表現してみてたけどしつこくかかってくる母さんと親父からの電話では日本語で喋ってたからその時のどこかで言っていたのを偶然聞いていたんだろう。


「隼人……変なこと教えちゃ駄目じゃない」

「マーガレットとジョンが覚えようとしてるんだから良いでしょ」

「まったく……」

「アンナ、隼人、そろそろ時間だ」

「うん。じゃあみんな、またね」


 来た時に持ってきたお土産よりも多くなった荷物を車に積んでくれていたおじいちゃんに声をかけられて俺たちは車に乗った。





「じゃああの話進めておいて」

「わかったよ」

「え!?私は嫌よー!!」

「なんの話?」


 空港に着いてニックとも挨拶をしようとするとおじいちゃんとおばあちゃんが不思議なやり取りを始めた。


「アンナは里帰りって言ってもいつも2、3日で日本に戻って来てたからゆっくり1年くらいアメリカで過ごしてみても良いかと思って」

「私ははんたーい!!隼人にもみんなにもめったに会えないじゃない!!」

「今でもそんなに頻繁に会ってないんだし良いんじゃない?」

「がーん!!でも同じ日本にいると思うのと外国にいるのでは気持ちが違うのよ!!」

「生まれ故郷は大切にした方が良い。この年になるといつまた帰れるかわからないから」

「もう!!年年ってあなたまで!!」

「肩が上がらないとか腰が痛いとかよく言ってるだろ」

「しくしく……。隼人助けて。離れ離れになっちゃうわ」

「アメリカに住むことになったらさっきの言い方から考えるとニックの家に?」

「そうだよ。アンナが好きな海もあるし!!」

「良いじゃん、おばあちゃん。毎日寝そべり放題だよ」

「本当に隼人は意地悪だわ。優菜たちを味方につけるから話は日本に帰ってからにしましょ」


 おばあちゃんはどこにいても楽しそうだからおじいちゃんとアメリカでゆっくり過ごすのも良いと思うけどおばあちゃんは日本が好きだし日本にいるみんなが好きだから離れたくないんだろうな。実現するのかしないのかわからないけどいつでも連絡とれるんだから大袈裟に騒がなくても良いのに。

 そして俺たちは飛行機に乗って日本に帰った。空港に着くと日本を出発した時と同じような光景にため息が出る。


「隼人ー!!」

「疲れてるから攻撃してこないで」

「しないわよー!!おかえりー!!」


 してるじゃないか。抱き締めてきた母さんをすぐに剥がす。


「ただいま」

「おかえり」

「ただいま、親父」


 なぜかそわそわしてる親父を怪訝に思いながら答える。


「どうしたの?」

「隼人だー!!」

「親父まで抱きついてくる気!?禁止!!」


 空港だから大人しくすると思ったのに抱きついてこようとしてきたから慌てておじいちゃんの後ろに避難する。


「まったく、落ち着いたらどうだ?」

「だって1週間隼人がいなくて寂しかったんだよ」

「私もー!!毎日優菜とか村岡さんとか呼んだけど!!」

「なんだ、楽しく過ごしてたみたいじゃん」

「そんなことないわよー!!」

「あーもう久しぶりに煩い。疲れてるんだってば」


 長旅に加えてこのめんどくさい親たちの相手なんて疲れることこの上ない。


「ほら、琉依も美香ちゃんも隼人は疲れてるんだから静かに」

「はーい」

「はーい。お義父さんもお義母さんも写真たくさんありがとー」

「ところで母さんはなんで不機嫌そうなの?」

「琉依も絶対行けって言うわー」

「なに?」

「おばあちゃんおじいちゃんと一緒にアメリカに住むかもって」

「えー!?お義母さんアメリカに行ったきりになっちゃうのー?」

「行ったきりなんて嫌よー!!」

「1年でどうかなと思ってるところ。このまま生まれ故郷に帰らないというのもどうかと思って。西海岸は懐かしかっただろう」

「それはそうだけどみんなと離れちゃうわ」

「今でもそんなに頻繁に会ってないし良いんじゃない?」

「琉依!!隼人と同じことを言わないで!!優菜や若菜を味方につけるの!!決着はまだよ。ね、美香」

「うん!!お義母さん行かせないんだから!!」

「どうでも良いから早く帰ろうよ」


 座ってスーツケースに寄りかかりながら俺が言うと母さんは慌てて寄ってくる。


「あらあら大丈夫ー?お熱?」

「違うよ馬鹿」

「でも早く家に帰りたいよね」

「そうよね。おうちが恋しかったでしょ。さ、帰りましょ」

「そういうことじゃないんだけど……もうなんでも良いや」


 ようやく帰れることになった俺は親父の運転で家まで帰った。




 次の日から俺は竜二さんには送ったけど他のみんなには手渡しでお土産を渡した。まずは昴に渡しにきた。


「昴。お土産だよ」

「なにこれ?」

「水鉄砲だよ。写真送ったでしょ。ちゃんと新品のをお土産として買ったんだ」

「それは見ればわかるよ。なんでこれ?」

「遊ぶかなと」

「……バーン」

「うっ……」

「隼人くんは古典的な遊びを学んできたみたいだね」

「他にもお菓子があるよ。俺は食べれないけどすごーく甘いらしいんだ。若菜と食べたら?」

「ふふ、ちゃんと若菜の分も買ってきたんだね。ありがとう」

「ついでだからね」


 それから昇さんたちはせっかくだからと家に遊びに来てもらったけど沙織さんのことが心配だから村岡さんには後日自宅に行った。初めに母さんが呼びつけたことを謝るとそれは別に良いと流されて部屋に誘われる。


「さあ、どうぞ隼人くん」

「散らかっていてすみません、隼人くん」

「……お邪魔します。けどすぐ帰りますんで」

「え、そんなこと言わずに!!ご飯作ったんですから!!」

「わ、わかりましたから母さんみたいに騒がないでください!!赤ちゃん平気ですか!?」

「そんなに神経質にならなくて大丈夫です」

「そうなんですか?っていうかそれを村岡さんが言います?普通旦那さんが心配するんじゃ……」

「甥っ子がいるので」

「そうなんですか。いや、でも手伝います」


 そしてお土産を渡しに来たはずがご飯をいただいたあと皿洗いをしてリビングの掃除も少しして帰った。




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