近況報告
「で、そういう所をいろいろ見て回ってから関さんにパーティーに連れていかれたんだよ」
「へえ……。っていうかなんで俺たち男2人でこんなおしゃれな店にいるんだろう」
「ニックにハンバーガーのお店を教えてって聞いたらここって言われたんだけど。あ、でもほら男も他にいるから良いんじゃない?」
俺はアメリカ留学中の拓也とロサンゼルスのハンバーガー屋にいる。内観はとてもおしゃれで周りには女の子が多い。と言っても男だって数人いる。
「あれは彼女と一緒なんだけどまあ良いか。だいぶ楽しんでるみたいだな」
「そうだね。子供たちは可愛いし。バイトでも小学生はいるんだけどどうしても生徒と講師になるからね」
「そういうもんか」
「うん。昨日スーツのまま帰ったらみんなまだ起きててかっこいいって言われたよ。アメリカでもスーツを着てる男の人はかっこいいと思うみたいだ」
「隼人だからだろ」
「そうかな?それで、拓也の方はどうなの?」
「俺はいたって普通に学生生活をしてるよ。週末にやたらとパーティーがあるくらい」
「行くんだ?」
「付き合いがあるからな」
「拓也も俺の気持ちがわかったでしょ。ああいうのが子供の時からあるんだ。忙しさを理由に行かなくなったけど」
「ああ。疲れる」
「智也はどうしてるかな?なんかこの前連絡したらコアラと仲良くなったとか言ってたけど」
「智也なら彼女ができただろ」
「……へ?え!?なにそれ聞いてないよ!!」
「そうだったのか?時差があるからグループメッセージでやり取りしないからな」
そう言ってコーヒーを飲む拓也。
「えー!?そういう問題なの?」
「さあな。金髪の美女と付き合ってるんだと」
「そうなんだーえーそうなんだー……」
なんだか釈然としないと思いながら食べ終わったハンバーガーの包み紙を畳む。
「お前几帳面だな」
「そんなことないよ。あ、そうだ。智也に電話しよう」
「起きてないと思うけど」
「あ、出たよ」
思い立って智也に電話をかけるとすぐに出た。
『もしもしー?』
「智也彼女できたんだって?」
『言ってなかったっけ?』
「聞いてないよ!!酷い!!」
『あれ?そっち夜だっけ?酔ってるの?』
「貸せ」
「えー」
携帯が拓也に奪われてしまった。
「智也、俺。……こっちは昼だ。……ああ、ん……じゃあな」
「え!?切っちゃったの?」
通話が終了している携帯を返されてしまった。
「向こうは朝なんだと。彼女と一緒だから邪魔するなってよ」
「えーうそー……」
「本当だ」
「本当なんだー……ふーん、へぇー」
「拗ねるなよ。うっかり言うの忘れちゃったってよ。隼人が動物と仲良くなったのかって聞いてくるから」
「だって出発前に動物と仲良くなってくるって言ってたから。もー良いけどさ」
良いけど友達甲斐のないやつだな。
「……拓也も彼女できたの?」
「俺はできてない」
「なら良いよ」
「なんだそりゃ。お前こそ坂下さんは探してるのか?」
「んー遊んでる合間に探してるんだけどメアリーが遊んでってせがんでくるんだよね。子供は無邪気だよね」
「んー……そうなのか?」
「そうだよ。メアリーは大人になったら美人さんになるよ。金髪美女よりずっと綺麗な女の子なんだ」
「そうかいそうかい。浮気性だな」
「浮気じゃないって」
「そもそも坂下さんと付き合ってないけどな」
「会えばすぐまた付き合えるはずなんだよ」
「だと良いな」
食べ終わったから一旦お店を出ることにした俺たち。
「どこ行く?」
「ちゃんと聞いてきたから任せてよ」
「覚えてるんだろうな」
「平気平気。こっちだよ」
俺は関さんに聞いていたレンタカーで来ていたから停めていた場所に行く。
「車か」
「そうだよ。レンタカーだから」
「わかってるけど?……また関さんって人の真似か?」
「うん、わかる?」
「なにかと関さんとか竜二さんがこう言ってた、やってたって言うだろ」
「そうかな?まあ乗ってよ」
考えてみるとそうだった気もすると思いながら運転席に座って車を出す。
「さっきの話に戻るんだけどさ」
「さっきってどこだよ」
「関さんがいろんな仕事場を見せてくれたとこ」
「だいぶ前だな」
「まあまあ。でね、どれもすごく興味深くてね。こうやって作ってるのかとか親父の仕事とか竜二さんが普段でもメディアに出てる時に着ているのも関さんのとこでオーダーメイドで作ってるやつだとか聞いて仕事ってこうやって繋がっていくんだなって」
「なんかやりたいことでも見つかったのか?」
「んーはっきりとはわからないけど、関さんがそのオーダーメイドを身近だけど最高の1着をってみんなにPRしてるのはすごいなーと」
「宣伝広報とかか?」
「んーもっとこう、ここが良いんですよって自分の勧めてるものがすごい良いものだって言ってるのがかっこいいと思ったというか」
「営業?」
「そうなのかな?」
「お前は坂下さんのことばっかりじゃなくて職業の勉強でもしろ。隼人のことだからすぐに頭に入るんだろうけど」
「そうするよ」
「お前が営業で挫折したりしたら面白いんだけどしなそうだよな」
「やったことないんだからわからないよ」
「隼人が営業で走り回ってくたくたでよれよれの格好してるとことか面白そうだな」
「なにそれ」
「実力主義の会社にしたらどうだ?荒波に飲まれてアワアワしてる隼人を見て笑いたい」
「ねえ、さっきから酷くない?」
「そんなことないって。アメリカで整った顔のやつはたくさんいるのになぜか隼人が一番かっこよく見えるから余計に失敗するところが見たくなった。智也もこの前同じこと言ってた」
「喜んだら良いのかなんなのかわからないよ」
「隼人なんて仕事に忙殺されて坂下さんのことを考える余裕もなくなっちまえ」
「ちょっと……本当にそうなったらどうしてくれるの?っていうかなんでそんなにやさぐれてるの?」
「日頃のストレスかな」
「パーティー疲れ?」
「それもある。だけどやっぱり智也の裏切りがなー……」
「なんだ、拓也羨ましいんだ」
「そりゃ周りがカップルばっかりだし、智也も金髪美女の写真を送りつけてくるし。俺もそろそろ彼女が欲しくなってきた」
「バイト先の子振らなきゃ良かったのに」
「あの子は同じバイトの他のやつと付き合ってるらしい」
「へ!?そうなの?そういうものなの?」
「そういうこともあるんじゃないか?」
「そうなんだー。女の子って難しいね」
「お前は幼い子だろうと女の子だと思った方が今後のためだと思うぞ」
「どういうこと?」
「なんでもない。ん、あれか?」
「うん、天文台だよ。まずはそこから行こう」
そして天文台や美術館とか有名どころをひたすら回って思い付くままにいつもの調子で感想を言い合ったりした。明日は昼前に出発して日本に帰るから今日の夜ご飯は盛大にと言われている。みんなと過ごすのもあと少しだ。




