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運命のカミーリア  作者: 柏木紗月
大学生編
82/136

サーフィンと散歩と水鉄砲



「お散歩!!」

「サーフィン!!」

「お散歩!!」

「お散歩なんてつまんないって!!」

「お散歩!!」


 アメリカ旅行3日目、おばあちゃん、おじいちゃん、ニック、ニックの奥さんのソフィアさん、エリック、メアリー、マーガレット、ジョン、総勢9人で近くの海に来た俺。海がすごく綺麗だなと思い写真を撮って昴にメッセージと一緒に送った。送って携帯をしまうと同時にメアリーとジョンが喧嘩を始めてしまった。


「喧嘩しちゃ駄目だよ」

「隼人とお散歩するの!!」

「サーフィンするって聞いてるよ!!」

「えっと、ニックはサーフィン教えてくれるって言ってたんだけど……待ってメアリー!!」


 メアリーが泣きそうになって慌てて言う。


「サーフィンしたらお散歩しよう」

「……」


 目に涙をためるメアリーの頭を撫でる。


「ね、同時にできないし俺もサーフィンするつもりで来てるし」

「……うん」

「うん、ありがとう。メアリーは良い子だね」


 笑顔になってくれたメアリーをもう一度撫でてから俺はニックにサーフィンを教えてもらった。エリックもジョンもサーフィンができるみたいだからみんなで海に入った。今までやってきたスポーツの中で結構苦戦してこれは智也と拓也が探してる俺のできないことになるのでは、と思っていたらニックに上達が早い、さすがだねと言われた。何度かやってみると波に乗れるようになって、これはできないことにはならないなと思った。別に俺もできないことを見つけようと思ってるわけじゃないけど2人がすごく熱心にこれはどうとやらせてくるから。


「隼人、楽しかった?」

「結構ね。おばあちゃんはただ寝そべってるだけで楽しいの?」


 海から上がっておばあちゃんたちがいるところまで戻った。


「楽しいわよ、のんびりできて」

「のんびりしたいならハードスケジュールやめたら?」

「そんなにハードかしら。その場所にあったことをしているだけよ。ビーチだからのんびりしてるの」

「ふーん」

「隼人、お散歩」

「あ、うん、そうだね」


 メアリーに言われて海辺を散歩することにした。


「あれ?そういえばソフィアさんとマーガレットがいなかったけど」

「ママとマーガレットはシュノーケリングよ」

「そうなんだ。メアリーはなにをしてたの?」

「康介と本を読んでたの」

「メアリーは本が好き?」

「好きよ。本はいろんな場所に連れていってくれるから。本を読んでいると物語の中で一緒に体験しているような気がするの。そこでは私は主人公に愛されるお姫様になったり勇敢な女冒険家になったりするのよ」

「そっかそっか」

「隼人は……キャ!!」

「っと、大丈夫?」


 俺を見ながら歩いてるから危なそうだなと思っていたらメアリーが転びそうになり慌てて手を取る。


「平気。ありがと」

「前を見て歩いたら?」

「ううん、手を繋いで」

「え、うん」


 メアリーの小さな手を握ったまま歩くことにした。心なしか機嫌が良さそう。


「ただのお散歩なのに楽しいの?」

「楽しいわよ、隼人と一緒だもの」

「そういうものなんだ」

「隼人は?楽しい?」

「うん、いつもは母さんとか若菜とか騒がしい人たちが一緒だから怒ったりしてるからね。こんなに穏やかに過ごせるなんて」

「もう!!そういうことじゃないのに!!」

「え、そうなの?」

「仕方ないわね。ねえ、隼人はどんな女の子がタイプ?」

「一昨日も言ったけど椿は純粋な心を持っていていろんなことを楽しめて見た目も可愛いけど内面も素敵な女の子だよ」


 俺がそう答えるとメアリーは頬を膨らませる。可愛いと思いながらその頬に指を当ててみる。


「メアリーはほんの少し若菜に似てるのに全然違って可愛いね。メアリーは甘ったるいチビザル妖怪みたいになったら駄目だよ」

「甘ったるい……?若菜って誰?」

「若菜は俺の従妹だよ。あ、そうだ、写真があるよ。少し雰囲気が似てるんだ」


 俺は中学の時という昔のだけど俺と昴と若菜が写った写真を見せてみた。


「こっちは俺の弟兼親友兼幼馴染みの昴だよ。すごく良いやつなんだ。今は椿に関することだけ意地悪なんだけど。それでこっちが若菜。少し似てるでしょ」

「そう?でも可愛い子」

「可愛くないよ。椿がこのくらい可愛いくて若菜は地下」


 手を伸ばせるところまで伸ばしてから地面を指差した。


「この子よりもそんなに可愛いのね。椿の写真はないの?」

「椿の写真はないんだ。昴に取られちゃって」

「そうなの?どうして?」

「いかがわしい……ううん、本人の知らないところで自分の写真を持っていられたら嫌でしょって昴に言われたんだ」

「そうなの。あ、そうだわ。私は良いわよ。ね、写真を撮りましょ」

「え、うん」


 メアリーに急かされて携帯のカメラを起動してメアリーとツーショットを撮った。


「これで良い?」

「うん。隼人は写真を撮るのも上手ね」

「そう?ただ撮っただけなんだけど」

「ね、隼人。椿のことをもっと聞かせて」

「え?えっと、良いよ」


 どうして椿のことを聞きたいんだろうと思いながら椿のことをたくさん話した。理由はなんであれ椿のことを考えるのは好きだからいろいろ話していたらもう帰る時間になったとエリックが呼びに来てくれた。


「もうそんな時間か」

「もうおじいちゃんたち帰ってきてるんだって。昼ご飯にピザを頼んだみたい」

「へーそうなんだ。じゃあ早く帰ろうか。メアリー行こう」


 家に帰るとぼんやりと覚えていたおばあちゃんの弟と奥さんがいて家を出る時にはなかった大量の荷物があった。


「ヘンリー久しぶりねー!!」

「アンナー!!元気そうだね」

「あなたもね!!」


 一番におばあちゃんと挨拶したヘンリーおじさんは大量の荷物の中から日本の水鉄砲みたいな物を取り出した。


「バーン」

「……」


 反応に困っているとカウボーイみたいな帽子をかぶってもう一度ピストルを打つ仕草をしてきてとりあえずスルー。


「お久しぶりです」

「久しぶりだね隼人。前に会った時はこんなに小さかったから水鉄砲で遊ぶかと思ったんだけどすっかり大人になっていたんだね」

「小学生の時もこういうので遊んだ覚えはないです。反応に困ります」

「そうかいそうかい!!けどジョンはどうかな?」

「やりたーい!!遊びたーい!!」

「ほら、外で遊びたいだろ」

「うん!!隼人もやろう!!」

「うーん……ま、いっか」


 帽子を取って昼ご飯を食べながらヘンリーおじさんの話を聞く。


「そこで蛇が出てきて戦ったんだけど噛まれた跡が残ってるんだ」

「あいかわらず危ないわ。エマもよくついていけるわね」


 エマと言うのはヘンリーおじさんの奥さんだ。なんだかとても逞しそうな風貌をしてる。


「私なんてジャングルみたいなところで育ってるしね。たいしたことないわ」

「冒険する?」

「まあ可愛らしいメアリーは冒険に興味があるの?」

「やめなよメアリー。冒険は物語の中だけでしたら良いよ」


 メアリーが冒険家になったらどうしよう。いや、メアリーがなにに興味持ってもメアリーの人生なんだから……けど……。


「なんで隼人がそんなに困ってるのよ」

「だっておばあちゃん。メアリーが虎とか竜と戦ってきたって言い出したらどうするのさ」

「なによ虎とか竜……ああ、竜二のことね」

「そうだよ、竜二さん」

「竜二……アンナ、それは竜二神崎のこと?」

「ええ、そうよ。琉依の友達なの」

「わお!!見てごらんよ!!」


 ヘンリーおじさんが荷物の間から取り出したのはアメリカの新聞。その新聞には竜二さんが写っていた。


「すごい、竜二さんアメリカでも有名人なんだね」

「彼もあらゆる獣と戦ったハンターなんだ」

「え、そっちの意味で?っていうか本当だったの?」

「竜はさすがに聞いたことはないけどね」

「事実も紛れてたのか」


 どうやら竜二さんはアメリカでも有名な経営者だそうだけどヘンリーおじさんにとっては同志みたいなものらしい。

 そのあとも冒険の話を聞いたけどメアリーが楽しそうで少し不安になった。おてんばなのは良いけど若菜みたいに破天荒な台風女にはならないでほしいと切に願う。



 それから水鉄砲で遊ぼうということになって子供たちみんなと家のそばで遊んだ。日本でもこんな風に遊んだことがなかったのに大人になってこんな遊びをするなんてと思いながらも結構楽しんだ。

 写真を撮っていたおばあちゃんから写真を送ってもらい母さんや親父や昴に送った。それから可愛いメアリーとのツーショットも送って若菜もこのくらい可愛げがあれば良いのにとメッセージを送った。




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