アメリカに到着
「やあ!!ようこそ!!」
「ニックー!!」
「アンナ!!康介!!久しぶり!!」
空港を出ると車の前ですごい手を振ってる人がいると思ったらこの人がニックという人らしい。
「隼人ー!!覚えてないと思うけど久しぶり!!」
会ったことがあったらしい。
「お久しぶりです。お世話になります」
「楽しんでいってね。さあまずは家に行こう!!そしたら夢の国へ出発だ」
「ちょっと待ってください。初日はフライトで疲れてるから家でゆっくりのはず」
「もう!!しおりを読んでって言ったでしょ!!良いから車に乗って。行きましょ!!」
おばあちゃんに車の中に押し込められる。動き出す車の中で鞄からしおりを取り出す。
「おかしい。さっき眺めたのに初っぱなから思ってたのと違う」
「まったく、どういう見方をしてるの?ちゃんと書いてあるじゃない」
「不思議だ。とにかく今読むよ」
そう言ってしおりを隅から隅まで読む。これと違った動きをしたらしおりと違うじゃないかと言うんだ。
「飛行機に乗ってる間に何してたのよ」
「甘ったるいチビザル妖怪の退治の仕方を考えてたよ」
「……若菜ね」
「さすがおばあちゃん。おばあちゃんもそう思ってるんだね」
「違うわよ。隼人がそうやって言うの若菜くらいじゃない。駄目よ、女の子には優しくしないと」
「あいつは別なの」
「もう、相変わらず仲の悪いこと」
「話に聞くだけでも邪魔なのに実際に会うとより存在が邪魔なんだよ。最近やけに色気付いて優菜さんに似て化粧も濃いし香水はきついし」
「まったくもう……。おしゃれしてるのよ」
「何事も程よくってことだよ。ああ、椿はきっとしてるかしてないかわからないくらいのお化粧をするんだろうな。可愛いんだろうなー」
「あらあら」
椿のことを考えると甘ったるいチビザル厚化粧妖怪のことなんて頭から吹き飛んでいった。
「あー椿アメリカにいないかなー……」
「いるかもしれないわね」
「そうだ、おばあちゃんとおじいちゃんは味方なの?敵なの?どうせ若菜とかから聞いてるんでしょ」
「ええ、そうね。私たちは……中立かしら」
「なんだ、親父と同じか」
「だって若菜も可愛い孫だもの。ね、あなた」
「応援はしてるし協力もする」
「じゃあどこに「それは聞いてないわよー」村岡さんたちと同じか」
「若菜に絶対教えちゃうから絶対教えないって言われちゃったわ」
「そうだろね」
だけどこの一週間は優菜さんたちに意地悪されずに済むと思えばハードスケジュールでも乗り越えられそうだ。
「そうだ、おばあちゃんとおじいちゃんも敵じゃないからパンダうさぎを見せてあげる。今日からアメリカの特別仕様なんだよ。あれ?母さんたちからメッセージが……あとで良いや。見て見て」
携帯を取り出してメイン画面をおばあちゃんとおじいちゃんに見せる。
「まあ可愛い。これがパンダうさぎなのね」
「上手だ」
「他にもあるんだよ」
そうやってパンダうさぎコレクションを見せていると車が停まった。
「さあ着いたよー!!」
車を降りると海の匂いがした。少し先に海が見える。
「んー!!日本は好きだけどこの空気は懐かしいわねー。隼人、向こうの海には「明後日でしょ」そうよー!!覚えてるじゃない」
「さっき覚えたんだよ」
「3人とも早くー!!」
ニックに急かされて家に入るとドタバタと子供たち4人が駆け寄ってきた。
そのうちの2人が一斉に喋ってきた。おばあちゃんもニックも早口だけど子供たちも我先にと捲し立ててくる。ちなみにアメリカに着いてからおばあちゃんともおじいちゃんとも英語で喋ってる。
「こんにちは。俺が隼人でこっちが康介、そっちがアンナだよ」
とりあえず名前を聞かれたからそれに答えると1番年上らしい7才くらいの男の子が言う。
「初めまして。この家の長男のエリックです。こっちが妹のメアリー」
これが血筋なのか、若菜の幼い時に少し似ているけど大人しそうな女の子がエリックの手を握りながら小さな声で初めましてと言う。
「初めましてメアリー」
あ……。恥ずかしがりやなのかな。俺が声をかけるとメアリーはエリックの背中に隠れてしまった。
「私はマーガレット!!ニックの弟の娘なの。それで、私の弟のジョン」
「ジョンだよ!!遊ぼう!!」
さっきペラペラと喋ってきてたのはこの2人。えっと、ニックはおばあちゃんの弟の息子でマーガレットとジョンはその弟の子供……。わかりにくいけどまあ良いや。とりあえず子供は子供だ。
「遊びたいけどあとでね。これからおばあちゃんの現実逃避に付き合わないといけないから」
「「「「現実逃避?」」」」
「なによ隼人、夢の国でしょ。それにこの子達も一緒に行くのよ」
「なんだ、そうなの?それを早く言ってよ」
「隼人は面白い人ね!!さあ、上がって早く行こう!!」
マーガレットに急かされて家に上がってささっと支度をするとすぐにまた家を出た。
そして車に乗り込むとなぜか隣にマーガレットとメアリーが。
「メアリーは隼人を気に入ったみたい!!いつもは初めて会った人に近付かないのに」
「え、そうなの?」
マーガレットがそう言うからメアリーに聞くとコクリと頷いた。
「……可愛い」
塾にいる子供たちとは違った様子に思わず呟く。
「あ、駄目駄目。椿一筋なんだから」
「椿?隼人のガールフレンド?」
「んー元かな?でも近い将来またガールフレンドになる予定だよ」
「まあ!!」
恋愛の話が好きなのは日本でもアメリカでも変わらないようだ。
マーガレットに矢継ぎ早に質問されてそれに1つ1つ答えていたら目的地へと到着した。
車を降りた途端にジョンが背中にぶつかってきた。
「僕とも喋ってー!!」
マーガレットとばかり喋っていたから拗ねてしまったみたいでジョンは背中にへばりついたまま離れない。仕方ないと思いながらおんぶして立ち上がる。
「おー!!たかーい!!」
「ジョンのお父さんだって同じくらいじゃないの?」
想像だけどアメリカ人はみんな背が高そうだ。
「お父さんよりも少し高いよ」
「少しかー……えいっ」
「わー!!」
肩車してみるとジョンはすごく喜んで今度はマーガレットもやってと言ってきた。
「女の子は危ないよ」
「じゃあお姫様抱っこ!!」
「えーそんなのやったことないよ」
「平気よ!!隼人ならできるわ!!」
「なにそれ」
滅茶苦茶だなと思いながらマーガレットを持ち上げてみた。
そしたら服の裾を掴まれて顔を向けるとメアリーが物言いたげな目で見てくる。
「わかったよ。メアリーもね」
そうやって自分がアトラクションになった気分だと思いながら3人にせがまれて何度かやってから本来の目的地に入った。
その日の夜そういえば写真を撮るの忘れたと思っていたら母さんと親父からメッセージが届いた。
『小さい子と仲良しの隼人可愛い!!』
『母さんから写真が届いたよ。明日は忘れないでね』
一緒に送られてきた写真には俺が3人を肩車したりお姫様抱っこをしたりしている姿が写っていた。もちろんおばあちゃんにどういうことだって詰め寄ったけどどうせ忘れてると思ってーと受け流された。
明日は自分で風景の写真を撮って送ろう。




