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運命のカミーリア  作者: 柏木紗月
大学生編
73/136

ラーメン巡り



 クリスマスイブ、今年のサークルはどうなるのかと思ったら最初から休みになった。そういうわけで今度は前に話した通り拓也と智也とラーメン巡りをすることになった。


 母さんとデートに使うならレンタカーでも借りようと思いながら親父に車を借りて良いか聞いた。すると遊びに行くなんて聞いてないけど良いよと拗ねられた。

 もしもの時に連絡先をわかっていたいと思うのは保護者として当然なのかと思っていたけど最近そうではないと気付いた。単に俺がすることを聞いてあれこれ話をしたいだけだ。だから俺はここ最近アバウトな報告しかしてない。今日もいつも通りサークルかもしれないけどどうなるかわからないと伝えていた。

 文句を言う親父と、一緒にぶーぶー言う母さんを放っていたら竜二さんが一喝してくれたらしい。昇さんいわく、遅かれ早かれ家を出て一人立ちするんだから息子の行動にいちいち文句をつけるんじゃない、子離れしろ、と。

 すると親父はずっと実家に住んでる人もいるよ、一人暮らしをしたら自炊もしないといけなくて大変だから隼人もそうしたら良いよと言いだした。これはまずいと思っていずれは家を出る、母さんに料理を教えてもらうと宣言した。2人とも落ち込んだけど俺がキッチンに立ってみると嬉しいみたいですっかり機嫌を良くした。母さんは俺に教えられることが嬉しいようで時間があるたびに教えてあげると呼びに来る。それで2人で料理している写真を親父が撮るんだ。それを聞いた優菜さんと彩華さんも嬉しそうに教えてあげると言ってきたから来年から個人料理教室が始まると思う。

 と、これでは逆に子離れにならないと思ったけど、反面教師という意味では教えられたものの今まで母さんに教わることがなかったから母さんも教えるのが嬉しいんだろうと思ったり、親父が俺の作った作りおきできる料理を詰めたお弁当を昇さんたちに自慢していると聞くと、もうなんでも良いかと思えた。



 そういうわけで親父の車でラーメン激戦区に向かっているところだ。


「本当に隼人ってなんでもできるねー」

「運転ができる男はポイントが高いらしい」

「え、なにそれ。っていうか拓也なに持ってるの?」


 信号で止まったタイミングだったから後部座席に座る2人をミラー越しに見ると拓也が雑誌を広げていた。


「昨日本屋に行ったら見つけた。隼人読むかなと」

「好きな人の運転する車の助手席に乗るだけでも緊張するだって。あと駐車する時に座席に腕をまわされるとドキドキするって。やってみたら?」

「んー親父はよくやるけどかっこつけっぽいよ」

「でも大多数が共感するらしいぞ」

「キザでも隼人がやれば様になるよ」

「そうなのかなー……他にはなにが書いてあるの?」

「お、やっぱり食いついたな」

「あとはネクタイを絞めるとき緩めるとき」

「社会人じゃん」

「良いでしょ。すぐに見つかってもどうせ社会人にはなるんだから」

「そっか」

「あと壁ドン」

「それやる場面がないんじゃない?」

「あってもそんなのできない」

「と言いつつできると思うけどなー」

「あとは?」

「これはネクタイと同じか?」

「違うんじゃない?腕まくりとか肌見せ、だって」

「ちなみに少しだけだからな」

「わかってるよー。間宮さんじゃないんだから」

「間宮さんがなに?」

「海で露出狂なんだって」

「へー……ヤバ」

「いやそれ絶対違うだろ」

「そうかな?けど間宮さんってそもそも話が大袈裟だよ。大袈裟っていうか事実と違う。野口さんに聞いたらそうじゃないって言われたよ。うちの母さんみたいだ」

「それを言うならお前もだけどな」

「あー!!もう着くよ!!」


 智也の言う通り車を停めようとしていた駐車場にたどり着いた。ここから歩いてラーメン屋をめぐる予定だ。


「あ、ちゃんとやってよね」

「え、なにが?」


 普通に車を停めようとしていると智也に止められる。


「ちゃんと助手席に腕まわさないと!!」

「えー……」

「練習だよー!!」

「……こう?」


 騒がしい智也に呆れながら親父みたいに助手席に腕をまわして車を停めてみた。


「うん!!良いねー」

「これが本当に良いのかな」

「女の子には男にはわからないドキドキポイントがある……って書いてあるぞ」

「それなんて雑誌なの?」


 3人とも車を降りて俺は拓也の持ってる雑誌をパラパラと捲る。


「貸してやるっていうかむしろやるよ」

「良いの?」

「隼人が読むかと思ったって言ったろ」

「そっか、ありがと」


 なにもしないよりこれで椿に惚れられる男になる努力をしよう。

 そして椿がいないか探しながらラーメン屋をめぐっていく。


「いないなー……」

「いないねー」

「……そうだな」

「けどラーメンは美味しいよ!!」

「そうだね、ラーメンは美味しい。ラーメンは家で作るより外で食べた方が良いかな?」

「家でも作れるだろ」

「隼人料理まで上手いんだね」

「もう意地でもお前が失敗するとこ見てみたいな。スケートでずっこけるとか」

「面白そうー!!けどなさそうだね」

「ちなみにスケートは?」

「やったことないよ」

「だよねーあ、見てみて近くにあるよ」

「行って転ばせてみようか」

「ええ……?っていうかラーメンは?」

「運動したらラーメンも美味しいから!!」


 というわけでラーメンめぐりの合間にスケートリンクに来た。初めて履くスケート靴に不思議な感覚だなと思いながらスケートリンクに足を踏み入れると案外上手くできた。


「「あー……」」

「なにその顔……」


 スーと滑って戻ってくると2人揃って微妙な顔をしていた。


「いや、わかってはいたさ」

「わかっちゃいたけど面白くないね」

「もう、面白くなくて悪かったよ」


 一周回って椿がいないか探してみたけどここにはいなさそうだ。けどカップルらしき人が両手を繋いで滑る練習をしている姿を見かけた。


「椿とやったら楽しいだろうなー」

「はいはい、そうだな」

「んー……来年のスキーにかけるかなー……あ、そうだ!!」

「どうしたの?」

「知恵の輪とかルービックキューブは?やったことある?」

「多分……小さいときならあると思うけど」

「やってみようよ!!もうなんでも良いからさ、僕の家に人生ゲームあるからそれで勝負!!あと……」

「本当になんでもありだな。隼人ができないことっていうより隼人が負けるところを見たいだけになってる」

「良いじゃんやろうよー」

「すぐ決着ついて終了だと思うけどな」

「良いじゃーんうち泊まって良いから」

「やるだけやろうよ」

「まあ良いけど。隼人泊まりで良いのか?」

「ああ、良いの良いの。この前ので思ったんだけどこれからは泊まりがけでもっと広い範囲を探さないと。3年になったらもっと授業減るしね。親父たちにもそう言ってるよ。親父の友達が喝入れてるから文句言ってこなくなった。陰でこそこそ言ってるけど」

「過保護も大変だな」

「僕の親なんて全然気にしないよ。あ、けど妹には門限がとか煩いけど」

「門限かー……椿は20時に帰ってこないと」

「早まってないか?」

「21時って言ってなかったっけ」

「ああ、けどそれじゃ寂しくなっちゃう……でも夜道は危ないし……」

「駄目だこりゃ」

「次のラーメン屋にレッツゴーだよ」


 防犯ブザーとかたくさん持ってた方が良いんじゃないかな、あとで昴にそれとなく携帯させてあげたらどうかと進言してみよう。

 そんなことを考えながら次のラーメン屋、少し歩いてまた別のラーメン屋と何軒かめぐった。





 


 


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