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運命のカミーリア  作者: 柏木紗月
大学生編
70/136

アメリカへ?



 正面にいる木村さんからの無言の焼酎飲んでアピールがすごくて焼酎を飲みながら俺はところで、と聞く。


「優菜さんに付き合えるのは浩一さんだけなのはわかったけどこの話優菜さんも知ってるの?」

「もちろんよ」

「だって私が教えたもの!!隼人がね、優菜の子供だって勘違いした酷いーって」

「え、そっちも?え、みんなも?」


 てっきり優菜さんと村岡さんが付き合ってて不倫になるかと思った話だけだと思ってた。


「みんなにだよー!!隼人は僕と美香の子だもん!!ショックだったからみんなに教えたよ!!」

「なにかあったら全員に一斉連絡が俺たちの決まりだからね」

「ショックなことも悩みもみんなに話したら聞いてくれるから!!」

「重い話も最終的に笑い話になるんだよ、木村のせいでな」

「昇さんの言い方酷い!!僕のおかげでですよ」

「木村が海で10人連続ナンパに失敗した話を笑い話にしたのは俺です。最長記録でした」

「8人だろ!!」

「10人連続ナンパに成功したのが関さんじゃないかな」

「そうだったかな?小林が言うなら確かだと思うけど」

「15人逆ナンにあったのは琉依さんでしたっけ?」

「いや、琉依は暑さで引きこもってただろ。それは竜二さんだ」

「あ!!そうそう!!竜二さんいつの間にかいなくなってましたよね!!なんて嫌な男なんだ!!」

「そうだったか?」

「駄目です。関さんも竜二さんも老化が進んでます」

「1つ2つしか変わらねえだろ」

「隼人くんの前ですよ、化けの皮が剥がれましたね。見てください隼人くん、これが竜二さんの本性です」

「えっと……」

「自分のとこの社員に竜王だって恐れられてるのに片想い中の乙女みたいに隼人くんのこと考えてるんだ気持ち悪い!!」

「肉食動物より強いくせに隼人くんに会いたいってしょぼくれるんです変態です。竜二さんは自給自足で狩りしながら生活してたことがあるんですよ。虎と戦って勝ったこともあるそうで」

「そりゃ嘘に決まってるって。竜と戦ったこともあるって言ってただろ」

「竜はありえねえ」


 村岡さんと木村さんの討論に昇さんが突っ込む。


「けどそういう話をね、本当に戦ったみたいに真剣に話すんだよ。今は奥さんが駄目って言うから戦えないって面白くないでしょ」


 親父が笑って言う。木村さんがそうそう、と話す。


「竜二さんの怖い話もリアルだったんだ。いろんな国で本当に起きたことだって」

「話してる途中で物音もして本気の怖いやつです」

「それ竜二に頼まれた小林がやっただけだから」

「竜二さんに頼まれてやったけど楽しかった」

「僕も脅かし役やりたかったなー」

「琉依は向いてない」

「そう言う昇だって向いてないよ」

「驚いてるの結局木村と村岡だけって少なすぎだけどな」

「嘘です、昇さんだって驚いてました」

「俺はのってやってただけなんだよ」

「どうだか、昇さんが一番怖がってたじゃないですか」

「けどおかしいのは関さんです。怪談してるのに笑ってるってなんなんですか?」

「んー?だって怖がってる木村の後ろにゆ……」

「なんで止めるんですかなんで止めるんですか!!」

「冗談だよ」

「悪趣味です!!」

「……良い年した親父が馬鹿みたい」

「えー優菜ーそんなことないわよーみんな楽しそう」

「大学生の時となにも変わらないじゃん」

「そうなんだ。でも母さんたちだって女子高生みたいに話してるよ」

「あらピチピチの女子高生に見えるって?」

「そういう意味じゃないよ。自分の良いように解釈しないでよね」

「クソガキめ」

「まあまあ2人とも止めな」


 優菜さんといつもの喧嘩になるところを竜二さんに止められる。


「竜二さん邪魔ね」

「煩いよ」


 間に竜二さんがいるから優菜さんが腕を伸ばしてきても竜二さんが止めてくれる。


「まったく、隼人なんて生意気なガキなのに」

「優菜さんはいつもいじめてくる」

「女帝は恐ろしいでしょ!!」

「キムチ煩ーい」

「それで呼ぶな!!」

「最初は木村っちって呼んでたんだけど途中から呼びにくいってキムチになったんだよ」


 親父の言葉に木村っち……キムチ……と唱える。村岡さんは村っちと呼んでたし一番年の近い2人はアダ名で呼んでたんだな。


「隼人くん、次日本酒にする?」

「え、あ、はい」


 疑問に聞こえなかったけどまあ良いかとお互いに注いで竜二さんが買ってきてくれた日本酒を飲む。


「どう?」

「美味しいです」

「はい、もう一杯」

「あ、ありがとうございます。竜二さんが受けてたインタビュー、ネットで見ましたよ。経営って難しいんですね」

「そうだなあ。数百人が乗ってる船の舵を握ってるようなものだから難しいし大変なこともあるよ。規模が大きくなるにつれて全員を見ることもできなくなったし、だからこそ人を育ててそのまた下の人材を育てていくのが重要なんだけど。経営に興味ある?」

「いや、そうい「なんでだ!?」昇さん?」

「俺も社長やってんだけど!!隼人くんの一番身近に社長いるのに!!」

「ほら、昇は社長の威厳がないんだよ」

「そう言う小林さんも副社長っぽくないですけどね」

「そう言う木村くんは経理部の部長っぽさがないよ」

「琉依は平社員なら平社員らしく俺と小林の席でふんぞり返って堂々とサボるの止めろ」

「はあ……確かに昇さんより竜二さんの方ができる社長感がありますから仕方ないですよ」

「え、別にそういうわけじゃないですよ。昇さんは昔からうちに親父の愚痴を言いにくる苦労性のちょっとガラの悪い人ってだけでしたから。あ、でもちゃんと社長だとは知ってましたよ」

「んー……ま、良いやそれで」

「それで経営に興味があるわけじゃないですけど仕事ってどんなだろうって。塾講師も家庭教師もやりがいはありますけど仕事にするならもっと違う気もして」

「隼人もプログラミ「それは良いや」えー」

「昴の話は理解できるのはできるけどいまいちよくわからないし」

「隼人が仕事の話してるーちょっと寂しいー」

「良いじゃないの、大人になったってことなんだから」

「今なにがしたいって明確に決まってないなら選択肢を広げてみたら良いと思うよ」

「関さんが言ってたみたいにですか?」


 関さんの方に顔を向けて聞いてみる。


「そうだねー。いろんな経験をしてみると選択肢は広がると思うよ」

「例えば隼人くんのそのネイティブな英語とか。もっといろんな人と英語で話してみたいと思わない?」

「んーおばあちゃんと話す時か母さんに聞かせない時に昴と話すのに使うだけでしたからね……。そんなに上手くないと思いますけど」

「いや、帰国子女の関さんでもなかなかあんな風な言い回しってできないから」

「そもそも母さんの早口を一発で聞き取れてるのって隼人だけだよ。僕も優菜も昴も若菜も聞き返してるから」

「もしくは聞き流すか」

「それは優菜だけだよ」

「あれに同じペースで会話してるだけで十分通用するよ」

「琉依の言う通りだよ。試しにアメリカで生活してみたら?」

「仕事の話してるかと思ったら親子離ればなれにさせられちゃうわ、どうしよー優菜ー」

「もう子離れしたらどう?」

「そんなー酷い」


 ちょくちょく母さんが煩いなと思いながら答える。


「けど海外留学はだいたい3年で行くしもう遅いと思いますけど」

「夏休みにささっと1週間くらい行ってみるだけでも良いと思うよ」

「バイト「ささーと1日で良いんじゃないかしらー」」


 関さんの提案に答えようとしたら母さんがスルッと反論してきた。


「1日だけってどうなの?バイト休めるかな……あ、そういえば長期休みに旅行行かないのって塾長に言われてたんだった」

「隼人くん海外行ったことないわけじゃないよね?」

「おばあちゃんの里帰りに寂しいから付き合ってって付き合わされたり優菜さんの韓国のコスメを買いに行くのに付き合わされたりあとなんだっけ……とりあえずなんだかんだで結構あります」

「僕もついていくから休み「とらせるわけねえだろ」ぶー威厳がないくせにー」

「うっせえ」

「なんで親父がついてくるのさ」

「えー駄目なの?」

「行くなら1人で行くよ」

「えー私もー」

「母さんは絶対駄目、無理」

「むー……」


 同じ顔で拗ね始めた両親に呆れていると話のわかる関さんが打開策を出してきた。


「カリフォルニアに琉依のおじさんとかいるんじゃない?」

「母さんの弟の息子さんがいるよ、名前なんだったかな……」

「琉依兄、ニックよ」

「ああ、そうそう。あの子は明るくて良い子だったよね」

「もうあの子って年じゃないけどそうね」

「じゃあそこの家にホームステイなら良いよ。飛行機は……」

「ああ親父!!俺が決めるから放っといてよ」

「えーそうなの?」

「3年の夏休みとかかな。そしたらオーストラリアに行く智也は無理でも拓也には会えるかもしれないし。けど目的がないですよ」

「あ、だったら俺の店アメリカにも出してるから見に行ってよ。そうだ、時期合わせてくれれば俺も行くから合流しよ」

「え!?関さんずるい!!僕もアメリカに出張「する機会ねえよ」昇ももっと働いて海外進出でもしたら?」

「お前がもっと働いてくれたらな」


 ことごとく昇さんに遮られてる親父を見て毎日大変そうだなと思いながら呆れる。

 そのあと母さんがまたついてくと言い出したり煩いから話を変えることにした。


「今度中華街に行くんです。竜二さん近くなんですよね」

「そうだね。友達と?」

「大学の友達とです。来月」

「えー聞いてなーい」

「聞いてないー」

「なんでわざわざ母さんと親父に言わなきゃなんないの」

「意地悪ー」

「中華街……どこ行くか決めてるの?お勧めが「はいはい!!」木村なに?」


 竜二さんの言葉を遮って木村さんが身を乗り出してきた。


「中華街で有名な店が「待ってください」もーなんだよ!!」

「俺の知り合いに中華街で店やってるやつがいます。いつ行くんですか?」

「え、12月8日ですけど」

「席取っておくようにいっておきます。行かなくてもどちらでも良いです」

「え!?悪いですよ」

「平気です。30代の舎弟みたいなものです」

「ええ……行きます行きますよ」

「小籠包がお勧めです」

「あ、ありがとうございます」


 ずるい、飲食店やってる村岡に地の利があった、と口々にみんなが言う。少しこの感じが面白いと思えてきた俺は日本酒を何杯も飲んだあとワインも飲む。


 




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