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運命のカミーリア  作者: 柏木紗月
高校生編
30/136

参考になるのかわからない悩み相談



「今日もカミーリアは可愛かった」

『うんうん、良かったね』


 そっけない昴に椿に映画が面白いと思えないと言ったと話す。


「感受性が低いとかつまらない男だとか言われなくて良かったー」

『良かったね』

「……もっとテンション上げてくれないかな」

『ふふ、本当似てるんだよね。ちゃんと思ってるから良いでしょ』

「まったく……。それで、夏休みにやっぱり探してたって言ってたよ!!昴は嘘つきだ」

『なんで嘘つき呼ばわりされなきゃなんないの』

「探してたんだってー」

『そうなんだー!!良かったね!!……面倒だな』

「え?」

『なんでもないよ』

「せっかく一生懸命探してくれてたのに体育館から出してもらえなかったからさ、可哀想なことをしたよね。でも体育館の周りをうろうろしたり渡り廊下で会った時の再現をしたら会えるかなってやってみたりしたんだって。なんて可愛いんだろう」

『うん、そうだね』

「見てみたかったなー。可愛かったんだろうな。それに公園とか静かな場所が好きなんだって。1人でもいろいろ考えて楽しんでるんだって。やっぱりカミーリアはなんでもない日を楽しめる天才だよ。そうやって小さいことに興味を持ってるところ見てみたいなー。興味を持った話を聞くのはもちろんわくわくして楽しいし好きなDVDをあとから観てみるのも楽しいけど興味を持った瞬間とか楽しんでるその時に一緒にいたらもっと楽しくなる気がする。話だけじゃなくて一緒に見てみたいなーって思うんだ。そっか、それで心が温かくなったのかな。どうしたら見られるんだろう……って昴聞いてる?風邪でもひいた?」


 昴の鼻を啜る音が何度か聞こえて夢中になっていた話を中断した。


『い、いや、風邪じゃないよ』

「おいおい、まさか泣いてないよな?」


 なぜか声が震えてる昴に驚く。


『泣いてないよ』

「いやいや、泣いてるよ?いったいどうなってるんだ俺の周りは。涙もろいやつばっかりだ。断トツ一番は母さんだけど」

『隼人くんのせいでしょ!!』

「なんで今度はキレるんだよ」

『わかんないなら良いの!!』

「よくわかんないやつだな……」

『まったくもう。でもモヤモヤは気にならなくなったみたいで良かったね』

「え、まだモヤモヤしてるけど」

『あれ?坂下さんのおかげで忘れちゃったんじゃないの?』

「んー忘れられないんだよなー。なんかスッキリしない」

『珍しいね』

「そもそも振られた相手と友達でいたいって言われてもこっちはどう接したら良いのかわからないよ。今までと変わらない方が良いの?難しくない?でもだからって浮気相手にするっていうのはもっとないよな。本命と付き合ってないけど。どうするべきなのかわからないモヤモヤが他にもいろいろ……」

『んー僕隼人くんみたいにモテないからわからないけど気にしなくて良いんじゃないの?どうしようも出来ないよ?付き合ってあげられないでしょ』

「それはそうなんだけど」

『本来の優しすぎるとこがでてきてるのかな……』

「もし仮に先に相澤と付き合って後でカミーリアと付き合ったらそのあとどうしたら良いんだろ」

『ダメダメ。その時点で二股だから』

「ああ、そっか。だいたい浮気だ2番目だ二股だって優菜さんたちが中途半端に聞いたら発狂しそうだ。いや、待てよ、優菜さんはしたことありそうだ」

『前にそれはアウトだ、不倫もダメって言ってたよ。どっちにしても不穏なワードだよ。全然僕たちに縁遠い話だし。もうスパッと解決しよう。そんなに気になるならやっぱり聞いてみたら?優菜さんが嫌なら琉依さんとか。優菜さんと美香さんと違って口固いし美香さんに関係することじゃなければノーマルなんだし』

「そうかな?父さんは母さんのことがなくてもマイペースでちょっと馬鹿なとこあるよ」

『でもまともな方だよ。こういうのは母さんたちより父さんたちの方が話しやすいよ。っていっても父さんは相談に不向きだし浩一さんはそのワード聞いただけで縁遠すぎて知恵熱で倒れそう。話題に慣れてそうって意味でも隼人くん以上にモテてた琉依さんが適任だよ』

「んーそれもそうかな。わかった」


 そのあともう少しだけ話してから電話を切った。







 そして夜ご飯、いつも通り3人で食べていつも通り話を聞いてみんなが食べ終わった頃。


「父さん」

「なに?」

「このあと聞きたいことがあるんだけど」

「どうしたの?」

「ここではちょっと」


 俺は母さんをちらりと見て言った。


「なにー?内緒話なのー?私はー?」

「そう言うと思った。母さんには関係ないんだよ」

「ひどーい!!」


 酷い、意地悪、家族に隠し事なんて駄目なんだからと母さんの文句が続く。


「全部オープンなのは母さんと優菜さんだけだよ」

「えーそうー?」

「そうだよ。父さん、ちょっとだけで良いんだ」

「うん、良いよ。美香……」

「琉依さん!!」


 俺は見なかった。父さんと母さんはいつでもどこでもイチャイチャするがそれはなにも話だけではない。誰がいても平気でキスするんだ。

 俺は見ないで食器を片付けるとリビングを出て玄関に向かう。


「あれ?隼人どこ行くの?」

「外だよ。そこの公園」

「え……」


 父さんが慌てて駆け寄ってきて、なんなんだと振り向くと肩を力強く掴まれた。鍛えてないはずなのになぜこんなに力が強いんだ。


「な、なに?」

「どうしても外じゃないと駄目?」

「だっていつ母さんがドア越しに聞き耳立ててくるかわからないじゃん」

「そんなことしないよ」

「だから痛いって」


 肩を前後に揺らされて俺は訳もわからずイライラしてきた。


「どうしても駄目?」

「……それ俺に効かないよ?」


 父さんは時々すごくへこんだ表情で訴えてくる。母さんは普段頼りになるのに時々こうやって捨てられた犬みたいな顔をするからギャップでキュンとするというよくわからないことを言う。つまりは母性本能をくすぐられるのだろうと思うがそれを俺にやられてもどうも思わない。


「……ちょっとって言ったのに」

「もう、なにかあるの?」

「あと30分で美香と一緒にドラマを観る時間なのに」

「あー、あれね。……仕方ないな」


 聞かせない方が母さんのためかと思ったけど聞かれたら聞かれただな。母さん馬鹿だから聞いたところで単語も理解できないかもしれないし。


「じゃあ外行かなくても良いよ」

「良かった。じゃあ書斎おいで」

「え!?」


 冗談じゃない、なんで魔の書斎に行かなければいけないんだ。小学生の時の記憶であやふやだけどあの背筋が凍った恐ろしい記憶は残ってる。小学生の時の記憶だけどあの書斎で覚えてるものは確実にあった。忘れてるものが他にあるというだけの違いのはず。俺だってなんでもかんでも忘れるわけじゃない。椿との思い出もまったく忘れないんだから。

 そう高速で思考を巡らせて結論、俺の部屋にしようと決めた。


「そ、それなら俺の部屋で良いよ」

「そう?じゃあ行こうか」


 ふう。一安心だ。あっさりと父さんは階段を上っていってそのあとに俺も続いた。



 そして部屋に入って俺はベッドに座り、いつも昴が座る勉強机の椅子に父さんが座った。


「それでなんの話なの?」

「えっと、父さんって浮気したことある?」

「……へ?」

「あ、別に母さんと付き合ってる時はないだろうと思うから母さんと付き合う前の話で二股とか」


 俺がそこまで言うと父さんは見たことない俊敏な動きで部屋を出た。呆然としてるとすぐ近くで母さんと父さんの声が聞こえてきた。ほら、見ろ。やっぱり聞き耳を立てようとするじゃないか。俺はため息をつく。昔から母さんが馬鹿をやるたびに怒ってきたからどんどん事前になにをしようとするか予想ができるようになった。母さんの思考パターンも行動パターンも推測できる。それでもたまに予想外なことを今でもしでかすから厄介なんだけど。

 しばらく経って父さんが戻ってきた。


「だから言ったじゃん。っていうか父さんもわかってたでしょ」

「んー?忍び足で階段を上がってる美香可愛かったよ」

「……もう良いよ」

「こっそり聞いてても可愛いんだけど話題が話題だったから駄目だったよ」

「で?あるの、浮気」


 どれだけ母さんと早くイチャイチャしにいきたいんだというほどそわそわしてる父さんに呆れながら、それならそれでサクッと聞こうと思った。


「ないよ」

「ないの?」

「当たり前だよ」

「言われたこともないの?」

「それはあるよ。ああ、そういうことね」


 苦笑いしながら答えていた父さんは合点がいったと笑った。


「誰かに言われたんだ?」

「言われたというか本人はすぐに冗談だって言ってたんだけど。中学の時から結構話してたからこれからも友達でいてほしいって。でもモヤモヤしてずっとスッキリしない」

「そっかー」

「今までだったら気にしなかったはずなのに。他の人が好きな男と付き合ってその子は嬉しいのかな、とか振られた男に友達として仲良くしてほしいものなのかな、とかどうするのが良いのかよくわからないんだ」


 父さんは俺の話を聞いて少し目を瞑る。これも昔からの父さんの癖だ。少し考えてから目を開けた。


「隼人は付き合ってあげるのがその子のためになると思う?」

「それは思わないけど、でもずっと好きでいてくれて俺に好きな子ができたってわかってて振られるってわかってたのに告白してきてくれて、なにもできないのかなって」

「きっとけじめをつけたかったんだね。人それぞれだから一概には言えないけど振られても友達のままで仲良くしたい人もいるし2番目でも良いから付き合いたいって思う人もいるよ。でも本当に好きな人とそういう関係を続けてていつも幸せでいられるかって聞かれたら答えはノーかな。少なくても僕が知ってる人は結局苦しくなって泣いてたよ」

「じゃあ相澤は本当に冗談で言ったのかな?そういうことになるってわからないやつじゃないし」

「どうだろうね。その子がどんな気持ちで言ったのかまではわからないけどわかっていてもそういう関係を求めたいっていう場合もあるかもね」

「父さんはそうやって言われたことある?」

「んー……そうだね」

「でも父さんは根っから良い人だからだよ」

「その子はちゃんと隼人を見てくれてたんじゃないかな?わからないけど。だからこそ隼人はその子のためにできることがないのか悩んでるんでしょ」

「んーそうだね」

「その子のためにできること……。さっきも言ったけど人それぞれだからこの人はこうだからってそれが他の人もそうだっていうものじゃないんだよ。人によってこうしてあげたら良くても、別の人にそうしてもうまくいかなかったり。だから難しいんだ。そういうのをいろんなことを経験して学んでいくものなんだけど……。大人に聞くっていうのもまあ正解かな。僕はその子がそうしてほしいって望むことをすることにしていたよ。もちろんこれは駄目だって線引きはあるよ。付き合ってる子にはちゃんと向き合ってあげたかったから同時に他の子と付き合うのは考えられなかったし。不幸になるってわかっててそうしようとは思えないし。と、やっていて僕も長続きしてなかったから参考にはならないんだけどね」

「……聞く人間違えた?今さら……」

「まあまあ、みんながみんな好きな人とうまくいくわけじゃないってことだよ」

「わかった。父さんはそうやってお人好しをやってたから振られてたんでしょ」

「え、うん、まあそんなとこかな」

「やっぱりだ。とんでもない女たらしだね」

「もう、僕のことは良いから。でもその子にとってどうするのかわからないならその子がしてほしいようにしてあげたら良いんじゃない?お友達」

「けどこっちがどう接したら良いのかわからないよ」

「普通にしてたら良いんだよ、今まで通り」

「それが難しいのに」

「少しずつで良いんだよ。それでその子が新しく恋して幸せになることを祈ってるくらいしかできないよ。振った方は告白してくれた子を幸せにはできないんだからね。案外そういう良い子にはその子を見守ってたナイトがいるものだよ。突き放すみたいだけどそういう人とうまくいくのを祈ってたら良いんだよ」

「そういうもの?」

「そうだよ。そう思ったらその子のためにできそうじゃない?」

「うん」

「……」

「なに?」


 父さんが無言で笑ってるから訝しげに聞く。


「隼人が素直に僕の話を聞いてくれるなんて……」


 今度は俺が絶句する。そうだ、親バカなのは母さんだけではなくて父さんも同じくらい親バカだ。だからってそんなに感動しなくても……。


「美香に教えたいけど教えられる話じゃないね」

「うん、そうだね。……まだモヤモヤがあったのに」

「うん、なに?」

「もう時間じゃないの?」

「録画してあとで観ようってなってるから大丈夫」

「なんだ、そうなの?」


 そしたらなんであんなにそわそわしながら話を聞いていたんだろうと思うけどまあ良い。俺は次のモヤモヤを話す。


「この前告白してくれた子以外にも告白してきた子たちは俺のことを好きになってくれたのにちゃんと話も聞かなくていつも父さんが前に言ってた台詞を言うだけで酷いことをしたと思うんだ。……父さんはどうしてあの時こう言えば良いって教えてくれたの?面倒だからあしらい方を教えてくれって言ったのに」


 あれは確か1年くらい前に家で夜ご飯を食べてる時ちょうど電話かなにかで母さんが席をはずしたタイミングで聞いたんだった。

 父さんは首を傾げて苦笑いして言う。


「なんでも良いから別に良いんだけどそれを答えたのは3人で買い物に出かけた時の美香が服を試着してる間にで、父さんは告白された時なんて答えてたのって聞かれて例えばこうって言っただけだよ。告白が面倒だとは言ってたけど」

「……そうだっけ?」

「うん。でも僕もそんな感じで言えば良いと思うって言ったから」

「そうだったっけ……」


 そう聞くとそうだったような気もしないでもない気がしてきた。


「まあでも隼人が今まで女の子にしていたことを考えると良いことではなかったね。だけど本当に酷い人は呼ばれても応じないしラブレターをもらっても見ないで捨てちゃうものだよ」

「え、そうなの?」

「そういう人もいたよ」

「父さんの知り合いっていろんな人がいるんだね」

「顔が広いとそうなのかもね。だから隼人はとんでもなく酷いっていうわけじゃないよ。昴が言ってたよ、呼び出されて一度もすっぽかしたこともなければ言われた時間に遅れたこともないって」

「いや、忘れそうになることは何度もあるんだけど」

「それでも直前には思い出してるでしょ。昴が隼人のすごいところは野生の勘みたいにちゃんと間に合う時間に思い出して、さも忘れてませんって感じに待ち合わせに行けるところだって言ってたよ」

「それ褒められてないよね」

「まあ、ある意味すごいってことだから。それにちゃんとラブレターに返事書いてあげるでしょ」

「それは昴が書くまで見張ってるからだし俺が考えてるわけじゃないし」

「昴が言うことを文句言いながらちゃんと自分で書いてるでしょ。便箋を買ってくるのも女の子に渡すのも昴だけど」

「ほら、そう考えると酷い気がしてくる、自分で言うのもなんだけど」

「まあ他所から考えればなんでも話してラブレターを人に見せちゃう時点で少し問題がある気もするけど隼人と昴だからね。昴は隼人と一心同体みたいなものだもんね」

「そうかな?俺は昴と似てないと思うけど」

「そうだね。だけど優菜は昴は隼人の影武者みたいだって言ってるよ。素の昴は隼人とまったく違うのにやろうと思えば声も仕草もそっくりだからね」

「そうかな……?」

「そうなんだよ。それで、だから隼人は確かに他人からしたら酷いことをしてるけどなんだかんだでちゃんとその子に向き合ってあげてたんだから、反省するのはすごく良いことだけど気にしすぎなくても良いんだよ」

「んーだけどなあ……」

「ほら、本当に酷い人はそうやってその子たちのために悩まないから。もう済んじゃってることを気にかけても仕方ないよ?その子たちも今頃彼氏ができてるかもしれないんだから」

「そうなのかな?」

「女の子は意外とタフだからね」

「そういうものか……。でも酷いことしてるって思ってるのにどうして父さんは止めなかったの?」


 気付いてなかったけど俺はちゃんと告白してきてくれた子に応えられていたことも、過去のことを気にしても仕方ないということもわかったけどまた疑問が湧いてきた。普通の父親なら叱ったり説教したりするんじゃないだろうか。


「んー、だって自分で気付かないといけないことだと思ったからね。子供たちで解決できないことならどうにかしようと思うけどそうじゃないなら例え傷つけられた女の子たちに逆襲されて隼人が怪我してもそれも経験かなって。昴がいるからそんなことにはならないって確信してたけど。基本的に子供たちの世界に深入りしないっていうのが僕たちの教育方針だから」

「はあ?いやいや、深入りしすぎでしょ。母さんとか優菜さんとか」

「やり過ぎたら止めるよ」

「父さんの許容範囲広すぎる!!介入しすぎ!!」

「まあまあ、楽しいから良いんじゃない?」

「その方針すぐ撤回しないといけないよ」

「けど介入しすぎないっていうのは本当だよ。相談されたらこうやって話を聞くけど自分たちで解決するのを見守ろうって。昴は知ってると思うけどな」

「え、そうなの?」

「小さい時はわからなかっただろうけど今なら察してると思うよ。若菜だって幼稚園や学校でいじめられて1人ぼっちなら乗り込んでいっていっただろうけどそうじゃなかったからね。ちゃんと周りの子が遊ぼうって誘ってくれたのに若菜がきついことを言ってみんなが離れちゃうのを毎日優菜と美香はヒヤヒヤしながら見てたんだよ。どうにか自分で気付かせようとおままごとで友達の役をして遊んでたけど上手くいかなくてね。小さい頃昴はいろんなことを僕たちに聞いては自分で考えていたから僕たちがやきもきしながら見守ってたのも気付いてるんじゃないかな」

「つまり昴は優秀で俺はそんなこと気にもかけない馬鹿だってこと?」

「ふふ、そんなこと言わないよ。だいたいこの話だって聞かれなければわざわざ言わなかったし」

「ふーん……」


 でもやっぱりその方針は間違ってると思う。明らかに俺と椿の恋物語に介入しすぎている。見守るならもっとなにもしないで見守ってほしい。


「それで、他にモヤモヤはある?」

「あるんだけどなんていうか言葉にできないモヤモヤでなんでモヤモヤしてるのかわからないことなんだ」


 相澤が最後に泣いていた時俺はこういうの嫌いだよねと言ったことなんだけどなんでそれでモヤモヤしてるのかがいまいちわからない。俺は泣いてる女の子に困ることはあるけど泣く女なんて嫌いだなんて言ったことはない、はず。なのになんでそんな風に思ったのか、そして俺はなんでそれに引っ掛かってモヤモヤしてるのか、こうだからと言葉が出そうな気がするのに喉に魚の骨が詰まってるような感じ。


「そうなの?ちょっと休憩する?水でも持ってこようか」

「あ、それなら俺も行く。ちょっと動いたらわかるかもしれないし」


 そう言って俺は父さんと部屋を出て階段を降りる。


「ねえ、父さん」

「んー?」

「最初の話、母さんと付き合ってる時もしてたでしょ」

「え、えっと……」


 というか父さんは浮気はしてないと言ってたのに振った子の望んでることをしてたら浮気になることもあるんじゃないかと思う。


「線引きってどこまでがセーフだったの?」

「えっと、2人で遊園地とか水族館はアウトだったかな」

「2人でご飯とか買い物とかはセーフだったんだ」

「恋人限定のパンケーキを食べてみたいとか言われたから……」

「母さんが今でも父さんに好きでいてほしくて必死になってるのがなんでか少しわかった気がする」

「う……」


 言葉に詰まる珍しい父さんはをちらりと見てリビングに入る。







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