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メイドさん入門

若干の遅れ。


日が変わってしまった。


カバンと携帯を忘れ、クラスメイト達から慰められた後、クラスではホームルームが始まっていた。今日の予定は学校の視聴覚室、といっても大学の講義を受けえているような感覚になる部屋だが、そこで新入生に対して一年間の行事予定と来週に予定されている新入生キャンプの説明、学校の校則などが一日話されて終了の予定だった。俺たちは、そこで話を聞いてた。


「ヒロー、教科書とかいらなくて良かったねー」


横で話しかけてくる雫は、俺の事を考えてくれているのか。それとも、バカにしているのか分からない口調で話していた。十中八九、バカにしていると思うが。


「そうだな。てか、今日って本当にこれだけなのか?」


「そうだと思うよ。昨日先生が言ってた気がするんだけど・・・。」


誠司は先生の指示をよく聞いてる。さすが優等生だ。俺達、雫と俺が先生の話を聞いてなかったとき後からよく教えてもらっていた。


「まじか・・・。」


「ちゃんと先生の話、聞いてなきゃだめだよー」


「お前も聞いてなかっただろ!お前だけには言われたくねーよ。」


「確かに聞いてなかったけど・・。あと、お前っていうな!」


「それはすまん。お(・・)相手だとうっかり口に出ちゃうんだ(笑)」


「あっ!また言った!」


「そこっ!!静かに!」


「「はーい。」」


やべぇまた違う先生に眼つけられた。

普通に怒られるだけなら怖くないのにこういう場所で怒られるとビクッとしてしまう。

前のステージでは、来週にある新入生キャンプの説明がされていた。

キャンプの目的は、新入生同士が少しでも仲良くなれるようにするという事だった。

確かに、雫と誠司以外話してないな。そうだ、一組の鈴木さんも話したな。

鈴木さん大丈夫かな?入学式の時、ビクビクしてたからまだ誰とも話してないのかな?


弘成の予想は当たっていた。今、話しを聞いている時も左右の人に当たらないようにもとから小さい体を更に縮めていた。


「うぅ。早く終われ・・・」


しかし、小さくてマスコット的なイメージから一部の男子生徒達が『鈴木さんを守る会』なるものを作っているが。肝心の本人が気づくのはまだ先だろう。


そして、キャンプの時の日程は、午前十時にキャンプ時に泊まる宿泊施設に集合になっていた。

キャンプというが、テントで寝たりするわけじゃあない。ご飯は、自炊だが普通に泊まれる施設に泊まることになる。風呂、というか温泉もあるらしい。勿論、男女別だ。


一日目は、班の中で自由行動をしてから泊まる施設の周りで宝さがし、昼食。宝の回収、集計、結果発表。そのあと、自炊して夕飯、そこから、風呂の時間だ。その時間が終わると肝試しがあるらしい。


一日目はこんなもんだ。

そして、校則の話が始まった。校則は、ほとんど校紀委員が決めているので後で入学式の日に配った校則を確認してほしいとの事だった。


時間は、一時。昼食の時間だ。視聴覚室は飲食禁止なので全員、食堂か教室に向う。

この高校には、大きな食堂があった。

しかし、混むので俺たちは中庭で食べることにした。

中庭の日陰になっている所に移動し弁当を食べ始める。


そう言えば、ルナは昼食食べれるのかな?自由にしててとは、言ったものの、人の家の物は勝手にいじれないのではないか?

心配だなぁ


「ヒロ?どうしたの、具合でも悪いか?」


「いや、何でもない、ちょっと考え事してただけだ。」


「そうか、ならいいんだ。」


「どったの?死ぬの?」


「死なんわ!お前はさっさと弁当買ってこい。弁当忘れるとかやばいぞ。」


「カバン忘れた奴にだけは言われたくないな(笑)」


「ぐぬぬ・・・。」


「あはは。雫、早く売店行かないと売り切れちゃうかもよ?」


「そうだね、じゃあ行ってくるわ。」


「行ってらっしゃい。」


雫は売店のある方へ走っていく。雫が居なくなると少し辺りが静かになった気がして木陰で静かな時を過ごす。

少し寝ようと思って横になると奥でキョロキョロ、オロオロ、している人物に気が付いた。

あれは、鈴木さん?かな。

あっちもこちらに気が付いたようでこっちに向かってくる。


「こんにちは、鈴木さん。どうしたの?」


「えっと、どこで食べたらいいか分からなくて。食堂も教室も人が多かったので中庭なら静かに食べれるかと・・・。」


「そっか、よければここで食べる?」


「えっ!いいんですか!?」


「いいよ、ね?誠司。」


「ああ、俺は構わない。よろしくね。俺は、黒岩 誠司。誠司って呼んでくれ。あと、もう一人来るけど来たら紹介するね。」


「はい。私は、鈴木 優菜です。よろしくお願いします。」


おー。噛まないようになってる。成長してるな。そんなことを考えると歩く騒音がこっちに向かってきていた。

歩く騒音と言っているが時と場所は少し、本当に少し考えていると思う。


「んー?その子は・・・あっ!昨日、ヒロと話してた子だ。どうしたん?」


「昼飯食べる場所なかったらしくて、一緒に食べてもいいか?」


「いいよー。私は、佐藤 雫。雫って呼んで。よろしくね。かわいい子は歓迎だよ!」


「えっ!かわいい・・・。」


あーあ。赤くなって固まってるじゃん。これでも結構、時間食ってるからこのままだと昼飯食えなくなるぞ。


「鈴木さん、早く食べないと昼休みおわっちゃうよ?だから、早く食べよ。」


「は、はい!失礼します」


そう言って鈴木さんは俺の隣に腰を下ろすと弁当の蓋を開けて食べ始めた。その弁当は、とてもきれいに盛り付けされていた。鈴木さんは、その弁当を急ぎめで食べる。


「それ、鈴木さんの手作り?」


「グフッ!ゲホゲホ・・・」


「ああ、ごめん、ごめん。はい水。」


鈴木さんは、驚いてのどに食べ物を詰まらせてしまった。俺は、すぐに水を手渡す。危機を脱した鈴木さんは、


「水、ありがとうございます。すいません。驚いてしまって。」


「いや、こちらこそごめん。食べてる途中に・・・」


「大丈夫です。あと、この弁当は私の手作りですよ。」


「へぇ、そうなんだ。めっちゃうまく作れてるじゃん。」


「ありがとうございます。」


四人は急いで弁当を食べながらも色々とおしゃべりをして昼休みを過ごした。鈴木さんもこのメンバーには慣れたようだった。

それから少したって昼休みが終わろうとしていた。


「そろそろ視聴覚室に戻らないと。」


誠司が時間を確認し皆に伝える。


「そうだね、戻ろうか。鈴木さん。また何かあったら俺たちの所においでよ、歓迎するよ。」


「いいんですか?私なんかが行っても」


「全然いいよ。いいよな?雫、誠司。」


「いいわよ。歓迎しちゃう。」

「俺も構わない。」


「というわけだから、好きな時に来て。それじゃあ視聴覚室に行くからまた今度ね」


「はい!今日はありがとうございました」


鈴木さんと別れて俺たちは視聴覚室に向かう。視聴覚室にはすでに多くの人が座っていた。

午後の予定は、班決めだ。ある程度、人数がそろった班は下校時刻前だが帰ってい事になっていた。しかし、今日中に決まるとは思ってないらしく。キャンプの三日前に決まっていればいいらしい。上限は、六人。最低でも四人だ。ひとまず、誠司、俺、雫で三人だ。


「鈴木さん誘ってみる?」


「そうだな、いいと思う。」


「私も賛成!」


「じゃあ、俺。誘ってくる。」


人の隙間をするりと抜けていって一組の生徒が座っていた辺りにたどり着く。


「鈴木さんはどこかなぁ・・・っていた!」


鈴木さんは、席に座ったまま固まっていた。こういうイベントって話すのが苦手な人が残ってしまうんだよなぁ。


「鈴木さん、俺達の班に入らない?三人しかいないから鈴木さんが入ってくれたら知り合い四人で固まることが出来るんだけど。」


「ええっ!その班にも入っていいんですか!?昼休みの事だと思ってました。」


「で、どう?入ってくれる?」


「勿論!喜んで入らせていただきます。」


「分かった。報告するからついてきてもらってもいい?」


「分かりました。」


弘成は、鈴木さんを連れてさっきまで三人で座っていた所まで帰ってきた。


「連れてきたよー」


「おっ!来てくれたか」


「ふふっ。また会ったね。」


「これで四人だ。班としては問題ないよな。あと、班長だが、誠司でいいか?」


「私は異議なし」


「私も大丈夫です。」


「まぁ、いつもの事だね。」


「よし、先生に報告して帰ろうぜ。」


「そっか、もう帰れるんだ。」


「早いですね。」


「楽でいいと思う。」


誠司は先生のいるステージの方へ報告へ向かった。そこから四人は、学校最寄りの駅まで一緒に行った。

「鈴木さんはどっち?」


「私は、こっちです」


「あー。俺達と逆か、それじゃあここまでかな、鈴木さんまた明日ね」


「また明日ー」


「さようなら」


「さようならです。」


皆であいさつを交わし別れる。今日は、みんなばらばらで帰った。今日は、早く帰れたので周りは明るかったので雫とも駅でさよならだ。

俺は、心配な家へ急いで向かう。玄関前で深呼吸して鍵を開け。扉を開ける。

そこには、朝と同じ格好をしたルナが立っていた。


「おかえっ・・・」

「ちょ!早く中に入って!!」


何か言っていたがそれを遮って家の中に入る。

家の中ではあるので、恐らく外からは見えないがこんな格好の女の子が家に居たらご近所さんに勘違いされる。

ルナを押して家の中に入ると、リビングがいつもよりきれいなことに気が付いた。散乱していたゴミは捨てられ本はまとめてあった。溜めにためた食器の全部、綺麗に洗われている。


「おかえりなさいませ。マスター。」


「ああ、ただいま。これ全部、ルナがやったのか?」


「はい、マスター。マスターの部屋にあった本に書いてあった『メイド』というものは掃除洗濯をするものだと書かれておりましたので、そして、ご主人様に奉仕するものだとありましたので。」


「そ、そうか。ありがとう。ルナ」


「いえ、気にしないでください。マスター。」


「でだ、確かに感謝しているが一つ質問させてくれ。ゴミがなくなっているが家から出て捨てたのか?その格好で?」


「はい、マスター。しかし、誰にも見られていません。光学迷彩で姿を隠していたので。」


「そうか、見えてないならセーフなのか?いいか、家以外で絶対服を脱ぐなよ。」


「ん?マスター。私は、服を脱いだりした覚えはありません。」


「あー。あんまり肌を見せるなという意味だ。」


「分かりました。マスター以外には絶対に見せません。」


「ちょっと違うが、まあいいだろう。俺は、シャワーを浴びてくるからゆっくりしてて。」


「はい、マスター。」


俺はバスルームへ向かう。服を脱ぎ風呂場のドアを開けるとお湯が張ってある。いつもは、めんどくさいと準備していなかったけどルナは準備してくれていたみたいだ。しかし、すぐに風呂には入らず。シャワーでからだを洗う。こうすることで風呂を綺麗に使える。


「マスター。失礼します。」


突然後ろから声が掛かりドアが開けられる。


「えっ?どうしたの?」


「お背中をお流しします。ご奉仕はメイドの仕事?」


「なぜに疑問形っ!」


しかし、俺に後ろを向くという選択肢はない。もし、ルナが何も着ていなかったら裸を見てしまうからだ。

俺はおとなしくルナに背中を洗われる。そして、背中が終わりルナは、前を洗おうと腕を回してくる。


「ちょ!!前は、自分で洗えるから。もういいよ」


「分かりました。失礼します。マスター。」


そう言って立ったルナは、前にある大きな鏡に映っていた。


「お、おいっ!!ルナ!わざと・・やって・いるの・・か?」


弘成は、つい振り向いてしまった。そこには、人間の少女の裸体・・が・・・。


『ない!』


ルナは、腕の付け根や足の付け根、心臓部分が機械の様になっていた。

少女の体というより機械の体?


「ルナ、お前・・・。」


「ん?どうしました?」


「すぐ出るからリビングで待っててくれ。」


「はい、マスター。」


これは、話し合わなくてはならない。今思い返せばおかしなところが一杯あるのだ。

例えば初めて会った時飛んでいなくなったこと。夜に窓から侵入できたこと。ゴミ捨ての光学迷彩とやら。そして、普通の少女にあるはずの羞恥心が無い事。さっき裸を見られたのに。何も感じていなそうなところ。


話し合いというか、AIの二人に色々聞いて確認しなくてはいけないな。


ルナに背中を洗ってもらった時の感覚が背中に残っているが、弘成は、パッパッと頭を洗い、風呂から出て、リビングに向かうのだった。


誤字脱字あったら教えてもらえると助かります。


今まで普通に接していた弘成ですが、今までよく気づかなかったなと感心します。普通は、初めて会った時に気づきそうですけどね。

朝のバタバタで気づかなかったのかな?


次回もできるだけ早く上がられるようにがんばいます。


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