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異話 時雨の日常 ~1~

 本編とは違う異話という方向でクラウト領に住む時雨の話をボチボチと書いていこうと思います。後、一人称視点です


 不定期更新ですがよろしくお願いします。もし、良かったら感想評価、ブクマ等よろしくお願いします。


 

 今日から自分がこの世界に生きたことを残すために日記をつけていこうと思います。これは爺様(祖父)が従軍中にしていた習慣らしく、故郷の記憶や家族のこと、部下のことを忘れないようにするためだったと言っていました。


 ヴァ―ル様との面接が無事に終わり、バーンさんの直属の部下として雇われることとなりました。しかし、ある問題に気付いてしまったのです。


 なんと、住む家が無い! そうなんですよ、今まではヴァ―ル様の屋敷に泊めてもらっていたのですがクラウト領の従業員の一人になったので流石に泊まれませんでした。


 考えていたら、バーンさんの屋敷の部屋に泊まらさてくれると言ってくれんたんですよ! それに甘えて、居候生活が始まりました。


「おはようございます!」


「おはよう、朝食は出来ているよ」


 バーンさんは平民出身と言いますがとても大きな屋敷に住んでいます。最初は自宅から通っていたらしいのですが前領主のアイゼン様と軍部長のアルディート様がお屋敷をプレゼントしたらしい。金持ちがすることは理解しがたい。


「今日は提出された書類の確認と陳情の確認だね」


「分かりました」


 朝食を食べて準備したらお城に向かいました。因みにバーンさんがお屋敷に連れてきた女性は初めてらしく、使用人さんたちは非情に喜んでいた。私は部下なんですけど。


「凄いですよね、ヴァ―ル様はお屋敷とお城を持っているなんて」


「お屋敷はクラウト家の所有ですが城自体はクラウト領の所有なんですよ」


 ということは城の主はクラウト家だけど城の所有権はクラウト領にある。なんか、複雑だなー。


「クラウト城には大まかに二つの部署があります。一つが軍部ともう一つが内政部です。因みに私達は内政部に属しており、特に魔法兵隊と仲が悪いです」


「そうなんですね、なんで魔法兵隊と仲が悪いのですか?」


「クラウト領出身の方々は他の領地に比べると魔力量と制御に長けているらしく、使用する魔法の威力が高くて、ため池を壊したり、森を燃やしたりするんですよ。彼らも悪気があってしている訳では無く、後処理や修理代にも払ってくれんですが住民から文句を言われるのは我々なんで少し仲が悪いのですよ」


 わぉ、軍隊が森なんか燃やしたらマスコミが凄く叩くよね。


「では、この計算をお願いします」


「了解です!」


 ふむふむ、売却した小麦の計算かぁ。お金の単位はジルだけど支払いは金貨と銀貨、銅貨が何枚って書いてある。金貨は百万ジルで銀貨がぁぁ、なんでこんなめんどくさい書き方をしてるんだろう。


 あれ、大銀貨五枚も足りない。集めた量を対しての支払われている金額が合わない。もう一回、確かめ算をしてあわなかったら報告しよう。


「やっぱり、合わない」


「どうされましたか?」


「大銀貨が五枚ほど足りていませんね。集めた量も計算を再計算しましたが誤りはありませんでした」


「公金を着服したら死罪であると法で決められているのにも関わらず、着服するのは何故なんでしょうかね? まぁ、関係はありません。すぐに洗い出しましょう」


 バーンさんの笑顔はいつものでは柔和な笑顔では無く、獲物を追い詰める狼のような顔に見えた。


 その三日後には着服をした人と加担した人は処刑されていた。町の人はヴァ―ル様が領主になってからは沢山の人が死んでいると言うけれども罪人が法によって裁かれているだけだと僕は考えていた。


「あの僕はここに居るんでしょうか?」


「分からないけど、ヴァ―ル様の指示でね」


 月一の報告会に僕は参加していた。周りはバーンさんや内政部長のヴァイン様に軍部長のアルディート様もいる。もちろん、上座にはクラウト領主のヴァ―ル様とローゼ様がいらっしゃた。


「ローゼ様が参加されるも初めてですね」


「そうなんですか?」


「はい、女性がこの会に参加するのもローゼ様とシグレさんが初めてのはずですよ。その証拠にクルーク様が渋い顔をされております」


 ギスギスした雰囲気では無いが緊張感が部屋を支配してる。でも、集合時間が過ぎているのに一つだけ空席があるが来る雰囲気も無い。


「すいませ~ん、遅れました~」


「遅れるなといつも言っているだろうッ!」


「いや~、女の子が離してくれなくて」


 なんか、金髪碧眼でホスト風の人が入って来た。服は(はだ)け、割れている腹筋がチラチラと見える。後、首筋にはキスマークが堂々とついてる。


 こっちをチラッとウインクをしてきたけど悪寒がした。


「前回も言ったが減給処分だ。クラーター・シュタインハング」


「待ってくださいよ~ 旦那、これ以上給料を減らされたら生活できないですよ!」


 この人凄い。領主のヴァ―ル様を旦那とフランクに話している。この世界では領主の機嫌一つで人の命が無くなる。なのに、クラーターって呼ばれた人はずっと口調も雰囲気も変えてない。


「会議が始まらないから一回、座れ。金は少しは工面してやる」


「流石だぁ! アルディートの叔父貴~!」


 アルディート様を叔父貴と呼んだということは親族なの!? でも、血の繋がりは無くても叔父貴と呼ぶ人は居るしね。


「今回は俺から三点、通達がある。一つは俺が遠征などで領地に居ないときに嫡男か分家の当主が領主代行を務めるが分家を多く処刑してしまった為、その役割を果たせるもの居ない。そこで不在の時の領主はローゼにしてもらおうと思う。 


 ディアマント領でも領政を手伝っていたらしく能力も問題ない。今日から領政に携わってもらう。

 二つ目はそこに居るシグレという渡界人を保護した。今はバーンの下で働いているが他の部門でも知識を活かし領地に貢献して欲しいと考えている。何か、知恵を借りたいときは相談すると良い。だが、女性(笑)(じょせい)なので遅くまで付き合わせず、遅くなったらバーンの屋敷まで送るようにしてくれ。


 最後にだが、領地周辺の支配権は王国と帝国を度々行き来しており、町に確かな名前がなかった。だが、クラウト家が統治を初めて百年が経ち、町や村に固有の名を付けたいと考えている。


 それで皆にも考えて欲しい。来月のこの会議で思いついた名前を報告して欲しい。俺からは以上だ」


 分家さんは最近、反乱を起こして殆どが処断されたらしい。やっぱり、男社会である政治の世界で女性が参加することは珍しいだなー。


 てか、私の紹介の時、なんか馬鹿にされたのような気がする。今はバーンさんの下で働いているけど、他の人の所に派遣されるのか。一応、銃から軍艦までの知識はあるけど、あまり命を奪うものは作りたくないな。


「では、内政部から報告をお願い致します」


「はい。先月の収支からですが……」


 なんか、物凄い場違いな気がめちゃめちゃする。周りは部門や一軍の長が集まっているから無役の僕は非情に浮いているよね。ちゃっかり、クラーター様も弓兵隊の隊長なのね。


「全体の報告は終わりますがもうすぐ春が終わり、雨期が近づいております。その為、例年通り、ブィストロエ川の氾濫が予想されております」


「これまでも策を講じてきていたが全てが無駄になってるからな。あの地域の開墾が進めが領は更に安定するんだがな」


「「「ウーム」」」


 ブィストロエ川の形が書いている地図を見るとあれが使えるかもしれないが費用と時間が無いかも知れない。


「何か、知恵は無いか? シグレ」


「あるのですが費用と期間が足りないかもしれないです」


「言ってみろ」


「では……」


 こうして、僕の忙しい異世界生活が始まりました。神様、せめてハム吉とハリーをこの世界に送ってください。お願いします。


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