六話 内乱の兆し
あけましておめでとうございます。
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三か月が経ち、国王との謁見やローゼとの結婚式を終えたヴァ―ルは領主としての生活を始めていた。
直轄領の経済と領軍は掌握することは出来たが少し面倒くさいことが起きた。クラウト領は領主直轄の町が三つと分家が代官として統治してる町が二つ、後は大小様々な村が存在している。
領軍は領主直轄であるが税を徴収したり、運ぶのは代官の仕事であった。代官である分家の当主たちは前領主のアイゼンを恐れていたがヴァ―ルに代替わりしてからは好き勝手やり始めていた。
農家以外の税は毎月徴収していたのだが、一か月目は前年度と同額であったが段々と少なくなり、四か月目には届なかった。
「これは明確な反逆行為でございます。どうされますか?」
「奴らの戦力は?」
「各町に配備されている警備隊も加わっていると考え、村からも徴集していると総勢四千から五千が予想できます。同じ条件だとこちらは防御を考えずに攻勢をしけますと六千、警備隊を残すとしたら五千五百が集めれてると思います。籠城戦となると数は足りないですが」
会議室にて、新たに筆頭領主補佐となったクルークと軍部長のアルディート、内政部長のヴァインが集まり、分家への対応を決めていた。
「ディアマント領に援軍を頼むも一手と思いますが?」
「しかし、お家騒動にご婦人の生家といえ、巻き込むのは大きな貸しを作ることとなります」
ヴァ―ルは考える。アルディートが言う通り、アングリッフに頼めば援軍は送ってくれると思うが自分自身の統治能力が低いと判断されて、中央から何か動きがあるかもしれない。また、分家は黒だが警備隊は全体が黒なのか一部の隊長達が黒なのかで大分、方針も変わってくる。情報の無さが一番の問題であった。
「グートからの連絡は?」
「まだ、来ておりませんが二三日で伝えられると言っておりましたのでもう少しで来ると思います」
「そうか。では、偵察の結果が分かりしだい、もう一度集まろうとしよう。ヴァインは兵糧や経費を提出、アルディートは警戒を怠らず、一軍は何時でも出陣を出来るようにしていてくれ」
解散となり、ヴァ―ルは執務室に戻るとシオンに質問をして、返事を聞くとニンマリとした笑みを浮かべた。
――二日後
グートの部下が現れ、偵察の結果を報告した。情報によると警備隊長たちは事前に暗殺されており、今は分家の意向に従う兵が隊長を務めており、他の警備兵も家族を人質にされて従わせていた。
「問題だらけですな」
「隊長達を失い、更に警備隊員まで失うとなると損失は計り知れない」
前回の会議に参加した面子がまた、会議室にて頭を悩ませている。帝国と国境を接していて、治安が良いのは高度に組織されている警備隊の存在があるからである。
「簡単な話、暗殺だな」
「我が軍にはそういう手を得意とする部隊はおりませんぞ?」
「いや、居るだろう。クラウト領は諜報部の長がグートをしていることは知られているがどのくらいの規模で暗殺部隊が存在するのかまでは確認されていない。まぁ、長が目立つ野郎だからな」
「……」
「俺、小さい頃に森の中で迷子になってたら村を見つけたんだよ。そこには王国じゃ奴隷と扱いを同じにされている獣人の村でな。
そこで居ないはずの人を見たんだよ。父上とグートが普通に獣人たちと話して、酒を呑んでいたんだ」
土人と呼ばれているドワーフは高い鍛冶師としての能力が買われて、平人と変わらない扱いをされている。また、森人であるエルフも魔法の扱いに長けているためにドワーフと同じ地位にあり、更に自分達の国を持つ種族である。
獣人は聖教の経典に忌まわしき獣神の子である獣人は生まれながらにして罪深い生物であるという一文で大昔から迫害の対象となっている。
「父上に話かけたら鬼の形相でこっちに来て、誰と来たと聞かれた。迷子になっただけと言うとグートと獣人が周囲に人影無しと伝えると村を案内してくれた。
そこの村は諜報隊員達を教育しているらしいが諜報と防諜を担当している部隊と暗殺や攪乱を担当している部隊が居ると教えてれたんだ。まぁ、いつの間にかに寝てしまって、起きた時には馬車の中で父上に領地を継ぐ時までこの村のことは忘れろと言われていてな。
軍部や決済をしている部門長の二人が知らないわけがないだろ?」
「そこまでご存知でしたか。でしたら、作戦はどうされますか?」
「まぁ、俺に策がある」
会議室に集まった四人はとても悪い顔をしながら策を練っていった。
短いですね