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十二話 蠢くもの

不定期更新ですがよろしくお願いします。もし、良かったら感想評価、ブクマ等もよろしくお願いします。


「グート! 貴様、今なんと言った!?」


「私は何時までも亜人なんぞに媚びを売らず、普人の為に行動して欲しいと申しているのです! やはり、貴方は王国一の愚か者だ!」


「そうか! 今すぐにもラッヘンに会わせてやろう!」


 春の二の月の月例会議で事件は起きていた。会議自体は普段と変わりなく進んだが最後にグートが手を上げて、発言した内容がヴァ―ルの逆鱗に触れた。


 グートは今のクラウト領は亜人ばかりを優遇し、大陸の主たる普人族を蔑ろにしている。その為、今の政策では無く前領主のアイゼンが行っていた領政に戻すべきだと。


 それからは売り言葉に買い言葉、止まることは知らずに言い合いはエスカレートし、ヴァ―ルは手に剣を取って、グートの首を落そうとしたがアルディートに止められた。


「貴様を追放する! どこでも行くがよい!」


「そうですか! では、これにて」


 月例会議では誰も血を見ることなく終わったがグートの意見に賛成したザント・ファータとヴァッサー・ハルプが領地を出た。それに加えて、軍部長であるアルディートが部下の教育がなっていないの理由で一か月の自宅謹慎となった。


 陽気さが売りのクラウト領民もこの話には不安しか覚えなかった。急激な変革を続けて、成功させてきたクラウト領だが陰りが見えてきたと誰しもが考えていた。


「ヴァ―ル様がご領主になられてからは酒は旨くなるし、綺麗なねいちゃんも増えて万々歳だったけどよぉ、これじゃお先真っ暗だぁ~」


「そうやなぁ、昔から知っとるけどよぉ、やっぱりヴァ―ル様もお貴族様なんよ」


「違いねぇなぁ」


 幼少の頃からヴァ―ルを知っている住民は変わりように不安を覚える一方で虎視眈々とクラウト領を狙う輩もいた。


「中央はなんと?」


「クラウト家の最近の行動には目に余るものがある。もし、些細な争いが起き、不幸な出来事が起きても我々は黙祷を奉げるのみと連絡が来た」


「それは僥倖でありますな。四か月後にはディアマント公爵は国王陛下の護衛で教国まで三か月間も不在となります。そこをつけば、クラウト領は簡単に落ちましょうぞ」


「土地はくれてやる。ワシはローゼさえ手に入れば、文句はない」


 それぞれの思惑が蠢く中、平等に時は流れて行くのであったがこの陰謀の果てに誰が生き残り、誰が死ぬのだろうか。


―― 一か月後


 この日も月例会議が行われていた。アルディートも謹慎が開けて、空席は二つ。グートが座っていた席には獅子族のシュロスが座って報告を行っていた。


「領地内での諜報活動は活発化しておりますが殆どが撃退されています。領が居はいつも通り、書面に纏めているのでそちらをご覧ください」


「三人からの報告は?」


 ヴァ―ルからシュロスへの質問が出てきた。他の会議に参加している面々は他に誰が居ると疑問符を浮かべながら顔を見合わせた。


「ヴァ―ル様、答え合わせが早いのではないんでしょうか?」


「いやな、アルトが親友の罪は自分の罪。私が命で償うのでどうかグートを許して欲しいと毎日のように言ってきてな。流石に手薄の状態で警備隊総隊長まで失ったらラッヘンに会うのは俺になるからな」


「アハハ! そうですな。では、三人からの報告ですがグートは教国への潜入に成功したようです。予定通りにシローキー湖の近くの村で冒険者をしています。また、他の二名についても帝国と連邦への潜入に成功し、準備が出来次第に反政府勢力と接触を試みると連絡が来ております」


「了解した。聞いての通りだがグート達は俺の密命で他国に潜入している。前回の会議では俺とグート、アルディートで一芝居をうったわけだ。三人の不敬罪という罪は任務を終えたら全ての罪は消えて、必ず復帰する。


 今はクラウト領には大きな溝があると敵対者に誤解してもらわないと困るから仲の悪いフリをしていてくれ。ちょっとだけなら俺に対する不敬も許す」


「旦那はケチ!」


「クラーターは三か月の減俸」


「はい、記録しました」


「そんなバカなッ」


 当初から計画で外国への派遣は決まっていたが理由も無く、三人が暇を貰って外国で活動してしまったら間違いなく疑われる。そこでグートが問題を起こし、領地から追放される。そして、他の二人もグートに同調したとして追放され、三人はクラウト領の追ってから逃げる為に王国外へ向かうというのが今回の筋書きであった。


 更に長年、クラウト家に仕えているアルディートを謹慎にすることで家臣団との間に亀裂があると見せかけていた。


 この芝居を知らない家臣としては本当にヴァ―ルが変わってしまったと考えていた。その為、連日夕方は仕事を終えたアルトとクルークが三人の助命を求めて、ヴァ―ルに会いに来ていた。


「不確定であるがクラウト領を狙っている輩が居ると情報がある。普段の業務と加えて、準備と警戒を怠ることが無いように」


「「「ハッ」」


 

昨日(2018年1月12日に)に400を超えるアクセスがあって驚きが隠しきれませんでした。また、目標の一つであった毎時一人アクセスが達成していたのでとても嬉しかったです。


 不定期更新となっておりますが出来る限りで毎日更新をしていこうと考えております。


 最後になりましたが、次の目標に向かって頑張りますので今後ともよろしくお願いいたします。


 

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