黄金のあられ
初心者なもので次話投稿がこれで合っているのかわかりません。
違ったらすいません。
拝啓 息子へ
これは遺書になるでしょう。
長年、私、旭 光は、いい年をして嫁も貰わずに一人暮らしをしていた。光も、もうそろそろ四十だし落ち着いてもいいかな、とは思っていた。
しかし、それには、ある問題をクリアしなければならなかった。
それは、私が友人の借金の連帯保証人になったのが、きっかけだった。噂を聞きつけた友人たちが次々とお金の話を持ち込んできた。私は、その友人たちの話を丁寧に聞き、自分の預金通帳の残高がゼロになるまでお金を貸していった。
私はどこまでも人が良かった。
今になって思います。
そしてお金が足りなくなった光はとうとうサラ金にまで手を出してしまった。
毎日、厳しい取り立てを受けながら私はただ怯えていた。そして、自分のみじめさに涙した。
ある日、私はクリスマスにふらりと街に出かけた。親子連れの人ごみの中を歩いて行くたび、そのみじめさをますます自覚しなければならなかった。
そして、足は勝手にある場所に向かっていった。
そこは、夕日のよく見える小高い丘だった。
私は、小さい頃、よくここに家族で遊びに来ていた。
それは、私が最も幸せな時間だった。
胸の中の温かい思い出とともに沈む夕日を見ていると、まるであの頃に帰ったように幸せな気持ちと一緒に涙があふれてきた。
綺麗な景色に神様に感謝して帰ろうと思った時に、何かがぽつんと頬を叩いた。光はあられかと思い空を見上げた。その途端。
ぽつぽつ、と音を立てて、
黄金のあられが降ってきた。
それは、私の足元だけにたまり大きな金塊を作った。
「な、なんだ。これは」
私は夢かと思い頬をつねった。
痛い。
では、これはいったい?
その時、私の頭上にひらひらと一枚の紙切れが降ってきた。その紙切れを見て。私は驚いた。
紙切れには、つたない字で、こう書いてあった。
“困っている人を助けてあげてください”
それは、小学校低学年の時に私が書いたサンタクロースへのお願いだった。特に欲しいものがなかった私はそう書いたのだ。
でもなぜ今これがここに?
考えて思い当たった。
それは。
私がとても大事に使っていた紙だったのだ。
私の家は貧乏で娯楽らしい娯楽があまりなかった。
そのため私は、この紙に絵を書いたり消したりしてずっと使っていた。
それがあるとき、サンタクロースに願い事を書いた翌日消えていたのだ。
「もしかして、この紙が願いをかなえてくれたのか?」
その後、私は金塊をお金に換金して借金の返済に使ったり、困っているところに募金したりした。そして、残りのささやかなお金は、自分の生活費に使った。
あの時の紙はリビングに貼ってある。それを時々、子供が落書きしたりして遊ぶがもう何も起こらないみたいだ。その紙は、何か重大な役目を終えたかのように時が経つにつれ黄ばんでいった。
私はそれを妻と一緒に微笑みながら見届けていた。
あの紙は私の命の恩人だ。
だから、お前も物を大切にしなさい。
そうすれば、きっと……。
:魔力が宿った紙
大事に使われてきたので紙に魔力が宿った。それは、持ち主の心に呼応するという。