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夢見の亡者  作者:
序章
2/37

僕のお試し+

ちょっぴり常識


ステータスは男性の一般人が50前後、女性が40前後と考えてください。これでロウはひ弱な子供ぐらいだね。


いいか!敵はいつ現れるかも分からないのが戦場だ!戦場は我々に何時も降り懸かってくる!そう!我々程ではないにしろ一般人も戦場に参加しているのだ!(by暑苦しい兵隊長視点)

 フラフラと宙を飛びながらフライハンドが入り組んだ細道からでてきた。そいつはこっちを確認するなり、突っ込んできた。

 へへへ。最近覚えたマジックハンドの応用技、食らえ!

 手に纏わりつく魔力を、人差し指に集中させて放つ。


 バン


 思いっきり直進していたフライハンドは、避け損ねて落下する。変わらず経験値四ゲット。


 フライハンドの力が結構強いことがこれで証明できそうだね。こんなに強いのに自分で使いこなせないって...その力で倒されたんだから皮肉だね。

 マジックハンドは使いやすい技なんだけどなぁ。フライハンドが弱い認識の人は、改めた方が良いと思う。

 僕は3の魔力を使うこれを、魔弾とよんでいる。マジックハンドは長いからね。


 使える魔弾は丸い玉を一発放つだけだけ。でも、一発撃って三秒後にもっかい撃てるから強いよね?それにこれから使い方を増やせば良いんだし。




 ゾンビに成ってから早2週間、この身体にも慣れてきた。少し時間が経ったら常識とかを少しずつ思い出せた。未だに思い出せないのは自分について。

 因みに、たった日がわかるのは洞窟から日の出を見て、壁に記しを毎朝つけていたから。それから今まで戦った相手は、フライハンド、ゲル、グルンの三体。


 フライハンドはお察し。ゲルはスライムの亜種で有るが、珍しい事に亜種なのに通常のスライムと比べて、驚くほど弱い。スライムとゲルはランクも性格も違う。スライムが5階級に対して、ゲルは18階級だからね。


 グルンは、強いていえば犬だ。いや狼かな。階級は15。ただ、凶暴で鋭い牙と尖った爪で不意打ちする。まあ、逆に不意打ちしたけどね。


 ちなみに、グルンはスケルトンに総合したけど、ゲルはまだ総合してない。スケルトンの手にグルンの爪が生えてきた、って感じ。爪の出し入れは...いや、出し入れっていうか骨にくっついてる感じだけど。とりあえず可能。目指せ、最強キメラ!


 勿論、この二週間ずっと戦っていた訳ではない。周辺の確認、ここら辺の魔物はどんなのがいるか、住めそうな場所(現在地)探しもした。

 その結果、此処みたいな良い場所を見つけた。岩が丁度テーブルにも成っている上、薬草も近くに生えているし外にも近い。薬草がこの体に使えるのかどうか分からないけど、知識として薬の作り方はある。あと、他の魔物は15階級から13階級までぐらいだった。


 それから、自分はどんな事が出来てどれが出来ないのかも調べた。

 まず、喋れない。実際は喋っても何言ってるのか解らないこと。戦ったりすると段々黒い血が出て来て、深い傷ができること。アンデットっていうから日光で燃えたりするのかと思ったけども、特に問題はないみたい。それから、睡眠はと食事はそこまで必要としていないみたい。睡眠をとれば、魔力の回復が早まって、食べればHPの回復が早まったくらいだ。時間があったら行えば良いかもぐらい。

 そんな所だろう。




 特に何をするでもなく、ただ壁に寄り添って死体の真似をしていたら、それが聞こえてきた。


トントン


 ん?何だろう、何かが近づいて来るような音がする。一応、ショートソードを持っておこう。


トントン


 確かにさっきよりも近くなった音に、身構えた待ち伏せの姿勢で入口の壁に張り付く。

 来る。

 警戒の素振りを見せずに、次の瞬間そいつは僕の隣を抜けた。


「アァァ...ァァァ...」


 少し錆びた二本の剣を持ちながら、ユラユラと歩くそいつは嗄れた悲壮感漂う声をあげた。


 え?ええと、人間?この洞穴に迷ったの?


 後ろから見たそいつは、僕よりも大分背が高い。大人なんだろう。鉄の胸プレートや膝当てを付けた旅の人。しかし、ガリガリに痩せて覚束なく歩く様は迷い人。


 けれど、警戒は緩めない。何故か。身体全体に巻かれた様々な色の包帯が素肌を見せていない事、つまり此奴が人間なら処置は行えるということ、それと怪我人なら安静にしているだろう。こんなにまでグルグルに巻かれているのなら。


 他に理由があるとすれば、色付きの包帯が防具を巻き込んでいる事だろう。支えにするなら分かるけど、やり方も全部出鱈目。流石にどんな阿呆でも包帯を巻くときに防具をはずさずグルグルにしようとは思わないだろう。後は武器を持ってるから念の為、ということ。


 身動ぎ一つせず、相手の動向を確認する。今は相手が敵なのかどうなのかが知りたい。鑑定。

___

ベグィ・マミー LV6

___


 鑑定した直後、ゆっくりと此方を振り返ってくる。確認のため、というような感じの動き。唐突だったから動けなかった僕を、マミーはしかと目に写した。


 顔の右半分は赤やら緑やらで染まった包帯で巻かれ、右目の部分だけを見せている。反対に、左の顔半分は干からびてカラカラになった素肌をさらしていた。


 焦点の定まらぬその紅い目に、全身を舐められるかのように見られた時、その目は剣に移ったのが分かった。


「アァァ...カァ...ァァアア!」


 雄叫びをあげて歩きながら近づくマミー。正面から見たから分かった事だけども、ひび割れた双振りの剣、錆びているのは柄だけだった!


 迷いの無いマミー動きは遅いけど、構えた双振りの双剣は確かに殺しにきている。


 戦うつもりなのは見に見えちゃったよ。

最初からこっちのことを解っていた訳では無さそうだけど、もう回避できる戦いではなさそう。恐怖といえるものは感じないけども、及び腰になる。


 そんな僕を見て、カラカラに干からびた顔を僅かに歪めて更にゆっくり迫ってきた。どんな感情を抱えているのかも分からない歪み方をした表情からは、何も読み取れない。


 諦めろ、逃げるな、武器を取れ。戦わない選択肢は無いぞ、僕。さして強い奴もいない洞穴なんだ。どうせ、此奴もそんなに強くない。


 LV6ならちょっと高いけど、でもLV10になった僕よりは低い。落ち着けば大丈夫。


 ゆっくり近付いていたマミーに、舐めるなよと、左腕を狙った横払いを放つ。

 予期していたのか、先程同様に僅かに顔を歪ませながら左手の剣一本で防ぐ。


 僕には相手の防御は崩せないらしい。ここは一度距離を取ろう。後ろに跳ぶ。

 動く素振りを見せなかったからか、容易に距離を取れた。


 としたら...ここはまず、魔弾を使って中距離から攻撃する。マミーは中距離から攻撃をしてくるとは思わなかったのか驚いたらしく一歩後ずさった。でも、それだけ。ミイラはそれで攻撃を避けた。


 次は...火魔法を使おう。使える魔法はLV1のファイア。どうやら、LV1で使える魔法は一つだけらしく、火も水も一つしか無い。同じくLV1の水魔法に関しては水を作るだけ。戦闘にはあまり向かない。


「gagia」


 嗄れ声で魔法名を唱えれば、瞬く間に火が具現化する。しかし、手から生まれる小さな火は何とも頼り無いもの。勿論二週間の間にこれを使って戦わなかった訳ではない。

 この小さな火の赤い魔力を右手に集中させて、放つ。応用の応用。本来なら飛ばすことのできない魔法を、僕の改造によって飛ばしたこれは、通常の魔弾よりも僅かに高いMPを消費するけども、威力は上がっている。どうだ?


 対してマミーは、飛んできた火を右手の剣で斬り伏せ、更に包帯を使って距離を詰めながら中距離攻撃をしかけてくる。

 まだ、いける。包帯が僕の体を包み隠す前に、右手の剣で包帯を斬る。よし、後は詰めてきたマミー。


 マミーは、斬られた包帯になど気にも止めないで両手の剣を使って僕の切りかかる!

 横に二文字で迫る刀身を、縦にした剣で受け止める。

 もう一度顔を歪ませながら、重くなっていく力に、僕は勝てなかったらしい。手から飛んでいった剣は、遠くから地面についた音を鳴らした。


 ヒヤッとした冷たい空気が耳を撫でる。悪寒が過ぎった。

 一拍置いてから立て続けに振るわれる双振りの煌めきに、逃げるように後ろに跳ねる。


 もっと、剣の練習しとけばよかった。マミーの攻撃を甘くみ過ぎていた。物凄く不味い、相手は近接多段攻撃タイプ。防御は必須なのに肝心の防御が無い。そんな、負の思考にかまけていたら当たり前に殺されるのに、後悔が幾つも頭の中を駆け巡る。


 絶体絶命、此処からの逆転なんて、そうそうできやしない。それでも覆せる手が一つでもないか探す。


 そんな足掻きを笑うかの如くじりじりと詰められる双振りの双刃。当たり前のように打開策の一つも浮かんでこない。


 ミイラは二本の剣を前方に向けながら走ってくる!遅いとも速いとも言えない速さだけど、僕よりも速いのは確か。それに構えがさっきよりもはっきりしてる。


 最初は小手調べのつもりだったのか!マミーが二本の剣を上段に斬り掛かって来る!


 獣の唸り声のような風切り音を出しながら、マミーが振るう刃が徐々に近付いてくる感覚に、僕は反射的にしゃがんで回避した。


 危なかった。上手いことに回避できたのは良いけれど怖くて、息もしてられない。


 再び構えられる刃を見て、ふと思った。攻撃だけを行う玩具のような此奴を倒すには、相手の思うことの範疇外からの迎撃なら効果があるんじゃないか?


 少し怖いからあまりやりたくは無いけれど、覚悟を決めろ。ようやっと見つけれそうな希望だぞ。


 二本の剣をそれぞれ左右に構えながら、両腕から包帯を僕に向けて発射する。多分、あれで僕を捕まえるんだろう。

 マミーの手足の如く動く二つの包帯は、上に下に右に左に不規則に揺れた。何処を狙っているのかも分からない動きに、視線までもが揺れる。


 不規則な包帯の動きに、僕はあっさりと両足を固定された。何処までもやりづらい奴だ!でも、かかったな!


 僕の動きを封じたマミーが、僕の目前に来たときこそが終わりだ。

 声に出さず、詠唱も省いて無音によって放たれるそれに、マミーは、首筋に朱と透明が線を円を作り、空を舞う。


 僕が使ったのは水、ウォター。火の魔弾が手に火属性の魔力を溜めて放つなら、それを基に水の魔弾を使ったって可笑しくないだろう。倒れるマミーに向けられた右手の一差し指の先からうたれたんだ。


 マミーの首元、膨らんだ所に空けられた穴より零れる赤い滴。力でも無くしたかのように膝立ちになるマミーを注意深く眺める。


 マミーはもう一度顔を僅かに歪ませて、その目からは「迂闊だった」「見事だ」とでも言いそうなものを浮かべた。

 そしてその口からは、こう、確かに言った。


「...ミゴト...」


 それから、二本の剣を自らの腹に突き刺して倒れ伏した。

____

経験値6入手した。

ベグィ・マミーに変身可能です

____


 そしてマミーの首の丁度空けられた場所が見えた。どす黒く変色したよくわからない水分と朱い液体が飛び出し、僕の身体を汚く染める。


 そして、僕の身体を汚く染めた水分が、一つの恐ろしい考えを僕に渡す。何で最後に、自分に剣を突き刺したのかなんて、今はどうでも良かった。


 こいつ、喋ったよね?技能擬態変身(変わり者)の能力は、魔物のとかの生物の能力を吸収、自分の力にする能力。つまり自分の物にすることができるスキルなのだ。


 だったら、発声器官をなんやらこんやらしたらなんらかの称号を手に入れて、その内喋ったりできるようになれるかもしれない。どうなるかは解らない、けどこいつの発声器官が手に入れば少しは僕の精神が落ち着くかもしれない。復活してからずっと怖かったし淋しかったのを、無理矢理知らないふりをするのも限界が来る。


 まぁ、細かいことは、気にしない!

 今からやる事は人として絶対にやるべき事じゃない。けど僕は人間じゃないから誰だって異論はない!法律も無い!誰も僕を縛らない!ゾンビでよかった!!!あれやこれ気にせず生きていきましょうそうしましょう!


 うぅ...でも、一度死んで死体として二度目の生を与えられた人を食べて...きっと大丈夫だ!僕はもうゾンビだ、人間じゃない。さっき自分で自問自答した言葉を思い出せ。


 まずは深呼吸。大きく吸って、長く吐く。チラッと...気にしない。気にしちゃ、いけない。

 つ、次は、マミーの包帯を取ってから...あれ?取れない。なんで?くっついちゃってるよ!外してお願い!


 いやいや、恐れるな恐れるな恐れるな。こ、これは逆に都合が良いはず。きっとマミーはガリガリしてて怖いはず。取れないのならいっその事このまま食べてしまおう。それだったら手に入れたと同じはず。


 気にしたら負けだ、い、頂きます!


ボキ ボリ ゴキ ゴリ ガキ ガリ バリ バキ


 死体の肉を喰らい、邪魔な骨を砕く。黙々とそれを繰り返す。大きさ的な問題と、要点だけの取り出しのため、首と胸辺りだけにしておく。




 マミーを食い尽くせたよ。気分的にも、味的にももう食べたくないです。


 ...やっぱり。なにもないよね。


 泣きたい、ゾンビに涙が有るか知らないけれど。溢れ出る後悔に押しつぶされそうだ。

___

称号 悪食あくじきを手に入れた。

称号 危険生物を手に入れた。

危険生物の称号により、狂気魔法のスキルを取得しました。

___


 あぇ...?はい、えっとあの...多くないかな?泣いていい?孤独な子供にこの仕打ちは酷くないかな?僕に恨みでもありますか?それとも、子供を虐めるのが好きなんですか?気持ち悪い趣味ですね。


 悪食って言う言葉聞いたこと有るよ。誰も食べない様な物進んで食べる人なんだって。


 僕は違うよ?


 危険生物...。なんでこんなのが僕のところに回って来るの?危険じゃないよ、見た目で判断しちゃいけないと思うよ?

 多分、あれはしょうがない事です。間違った見方をする人がいるからダメなんです。危険じゃないよ安全だよ?

 はいはい。ステータスで称号を確認しましょうね。

___

悪食 

誰しもが忌避するものを進んで食らいつくものに贈る称号

効果無し


危険生物

道徳心から外れた行為を進んで行ったものに贈る称号

種族の境界線を越えて切り替え可能な危機感を与える

取得スキル 狂気魔法

___


 え、えぇ?

 僕はそんな扱いに困る恐ろしい者として扱われたくはないんだけども。

 僕には僕の僕なりの目的があってベグィ・マミーを食べたんであってだね。それから、死体を食べることに忌避感が無かった訳じゃないからね。それと...はぁ、もういいや。


 えっと、気落ちしそうだけど...狂気魔法はどうだろう。

___

狂気魔法

狂気の詰まった恐怖の魔法

使用するごとに狂気の進行度が上がる

最大LV10

LV1使用可能魔法

マッドドレイン

狂気に震わされながら何かしらを奪う吸収系統の魔法

何を奪い取るかはランダムで決まる

使用MP1000

___


 えっと、何とも微妙な魔法だなぁ。

 この魔法、普通な思考で判断しても怪しさ満点だ。足下掬われる覚悟で使わないといけない。その上、狂気の進行度が上がるだなんて、自爆する匂いが強すぎる。

 しかも、MP1000だなんて多過ぎでしょう。これから生きていく上で頼りにするわけが無い事に加えて持ってるだけで負の匂いが強いんだ。はっきり言って返品したい。

 まあ、保留でしょう。どの道MP1000も無いからね。全く、ふざけてるとしか思えない。


 その時、考え事に思いふけっていたら、足を噛まれた。

 痛い、急になに?

___

グロント・ディエカルリザードLV12

___

 うわぁ、なんだこいつ!僕よりもLVが高い。僅かな差だけども、僕の方が少し低い。

 安全を求めて逃げなきゃ!


 直ぐに背中見せてしっぽ巻いて逃げ出す僕に、グロント・ディエカルリザードは背中にぶつかってきた。

 痛い、でも逃げなきゃ。


『まぁ、待て若造』


 ふぇ、何?誰?何処にいるの?この、頭に響き渡るこの声は?


『お前の足の近くにおるであろう。我だ』


 足の近くにいるのは、一匹のグロント・ディエカルリザードだけ...つまり、そういうこと?

 この蜥蜴が我だなんて一人称を使って本当に喋ってると言うのなら、僕の常識は崩れ去るだろう。

 嗚呼、きっと夢だろう。ベグィ・マミーとの一戦の後で手に入れた照合とスキルによって、きっと僕の頭に深刻な傷を負わせたんだろう。きっとそうだ。

 そういえば、確かディエカルリザードの造る仮面は質がとても良いらしい。でもグロントがついたディエカルリザードはさて本当に質の良い仮面を作れるんだろうか。


『若造、落ち着いたか?』


 目をグルグル回していた自信がある僕を見て、大体落ち着くまで待ってたらしい。なんて事だ、頬をつねっても僅かに残った痛みしか分からないぞ。これじゃあ夢なのかどうか分からない。でこ、多分現実なのは理解しているけども。


『おい、若造。お前は人間...いや、ゾンビだな。ゾンビに成ってからいくら立つ』


 人間かと思ったらしいけども、直ぐにゾンビだと気づいたらしい。一応、見てくれは人間だから間違って声を掛けたんだろう。

 となると、このディエカルリザードの目的は何だ?

 ...人間の村とかを襲う、とか?ゾンビになってから長いとしたら未練が大きいみたいな、何かしらを元に考えているとしたら僕の恨みだか何だかも晴らすだとか言っておけばすんなり動くとか思ってるのかな?だとしたら凄い楽観的思考だなぁ。


 そんな考えを巡らせた途端に、即座にグロント・ディエカルリザードが無数の仮面を地面から展開する。仮面には棘だったり刃だったり何とも危険な何かしらがくっついてた。


 え、え?武器?一体何処から?というよりもこれは脅し?


『そんなことは聞かん。しかしまぁ、未練が大きい奴であるのならば遠慮するがな。まあ、それは別にいい。どうやらぬしは理知的であるようだしな。それとは別に、独り旅だと老いぼれには心細くてな。旅は道ずれ世は情け。そのような言葉を主等は言うのじゃろう。どうだ、我のような老いぼれと行動を共にするのは?』


 グロント・ディエカルリザードが武器の代わりだと思う仮面を地面に落とした。それらが土に埋もれていく。


 えっと、何だか良く分からないけれど...この爺とこれから一緒に動くということ?一人よりも複数人で動く方が良いかな。それに寂しいのも事実。だとしたら、願ったり叶ったり?


『うむ。しかと我は聞いたぞ。では行動を共にさせてもらうぞ』


 是の答え代わりに、首を頷いておいた。それよりもどうして心が読まれているんだろうかね?何かしらのスキルの力かな。


『うむ、素直でよろしい。して、主はこれより何処へ向かうのだ?』


 いや、僕はここら辺で魔物を倒して、のんびり暮らすこと以外に目的も何もないけど。


『む?そもそも目的が無いときたか...』


 今の所はね。何時かのことはその時に託せばいいからね。


『まあ、それもそうなのか。しかし如何せん楽観的ではないか...。まだ子供故仕方ないのか?全く人間については分からん。そうだ、主のステータスを見せてはくれんか。代わりに我のスキルも見せよう。どうだ?』


 いいけど、どうやったら見せれるの?


『なんだ、そんなことも知らんのか?ステータスの回覧は、選んだ者に容易く見せれるぞ。頭で念じろ。それでよい』


___

     LV12 76歳 7

グロント・ディエカルリザード

HP283 MP506 SP283 攻撃能力210 速度能力368 防御能力250

スキル 変温無効 衝撃耐性LV4 念話 透視 読心 肉体連劇LV6 大地魔法LV3

個体別スキル 彩変化インビンジブル 仮面生成クリエイティブマスク

称号 活性脳 仮面蜥蜴 最終進化者 枝分かれ故の殺め

___

 76歳だなんて、凄い年取ってる!想像の遥か上を行っていた。精々40歳ぐらいだと思ってた。


『ふむ、まあディエカルリザードの年齢など、長くてそれくらいだろう。だが我は活性脳グースじゃぞ?普通のそれと比べてもらっても困るものだ。主等人種と同等の知能は得ている。これを使ったから我はきっと生きていたのだろうな。何せ我の活性脳グースは質が良いからのう。...それはさておき、枝分かれ故の殺めについては何も言わないのだな』


 気にしないよ。それについてどうこう言うなら僕は危険生物の称号について弁明ができないからね。


『弁明が必要なのか...』


 考えのためには避けれない道だったんだ。その事について聞くなら、僕だって枝分かれ故の殺めについて聞くよ。


『どちらも同じか。それで良かろう。然りとて我も詳しく聞く気はない』


 はてさて、これからどうなるのかな。

ファンタジー物の定番、ランク。ここでの強さはこんな感じ。モンスター&冒険者(上が強い)


1

S 2

3

4

A 5

6

7

B 8

9

10

C 11

12

13

D 14

15

16

E 17

18

19

F 20

21


実際はアルファベットは省略されます。まぁ、イメージとしてはこんな感じでしょうか


経験値


フライハンド 4

ゲル 2

グルン 4

カラーマミー 6

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