表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夢見の亡者  作者:
第一章
13/37

少しの間

最近、最初の印象が崩れてるね

サブタイトルも僕~みたいなのが崩れてるしね

ほのぼの系と思ったか!

あとダークファンタジーが始まると言ったな


あれは嘘だ

ああぁ、うぅぅ。

辛い、歩きにくい。


私は肩に開いた穴が修復されていくの横目に見つめながら逃げ回っていた。


最初に修復できるのを知ったのはロウ達との生死を賭けた鬼ごっこを開始してすぐだった。

直ぐに血液が足りなくなり、にげるのもままならなくなってきたところに『この腹の傷が治れば...』と言ったのだが、それに呼応するかの如く修復されていったのだ。

これでも血液は作れなかったが、私の魔力を触媒にすれば魔力を血液代わりにする事はできたのでそれを有効活用にしながら逃げている。


そして今は集落からかなり離れた野原に三人。

私に集中的に何時までも真顔のロウと終始辛そうな顔をするオーヅに追いかけられている。


私しかいないのは、オーヅを私が倒したと知って喜びに舞い上がるコボルト達とそれまでしぶとく生き残ったが大将が討たれたと知り戦意を喪失して降伏したオーク達が連れて行かれるはずだったのだ。

だが、突如現れた元大将オーヅの復活にまた戦意を復活させようとしたところオークだったが、遠目でも何時もと違うことくらい簡単に分かる。

勿論、コボルトもあれはどこかおかしいと思い、混乱の渦となったのだ。


そこでコボルト達がひとまず集落に全員入れ、避難させたらしい。

私は注意を引きつけることしかできなかった為、逃げれなかったが。


「ブルアアアアア!」


そしてオーヅは懲りずに私だけを執拗に追いかけてくる。

いや、あの動き方等から想像できるのは、“操られてる″だろうか。

もしそうだとすると親玉は間違い無くロウだろう。

合っていたとしても、間違っていたとしても、このままでは私が死ぬ。

だが私以外でもいくら戦況が有利だとしても容易に死ぬ。

といっても逃げてるだけでは勝機は掴めない。

せめて少しだけ私が休める時間が貰えればいいのだが、いくら足の速いコボルトと言えど、それは短期決戦が一番望ましい。

...まよっていても仕方がない。

大声をあげれば助けが必要な事ぐらいは分かるだろう。

私の見た目が変わりすぎて誰だか分からない可能性もあるが、腹を括ろう。


「援軍!援軍はまだか!」


大声をあげた。

これで少しは誰か来てくれるかもしれない。


それまで、それまで待てば勝機は目に見えてあがるはずだ!

集落の者を信用し、耐えて見せよう。

私は心を入れ替え、更正したのだ。

集落の皆も理解してくれるだろう。







「援軍!援軍はまだか!」


遠くから大きな声でそんな言葉が聞こえた。

誰の声かかも分からなかった。


それでも誰か分かる。

ヤムとロウだが、ロウは喋れないからヤムだ。

いや、戦死している可能性を考えると誰なのか本当に分からない。


戦地に行ったものの話を聞けばヤムが倒した筈のオーヅがかなり強化されて復活したという。

それを黒くなったヤムが囮役となって逃がしてくれた、と。

ヤムは助からないかもしれない。


昨日、いち早くオーク達の襲撃を教えてくれたネメにロウの家にむかわせた。

だがロウは家に居らず、留守だった。

ヴォルはすぐさまロウの元に行こうとしていたが、所詮はマスクリザード。

最終進化者だと言えど元々戦闘を得意としない種なのだ。

他よりも数段上の実力と活性脳ブレインが合ったとしてもこの集落の精鋭コボルト達に圧倒的に下のステータスだ。

無駄死にだけはさせてはいけない。


婆にも爺にも、母にも父にも口を酸っぱくして言われたのだ。

この教訓は絶対に棄ててはならないし緩くするのもいけない。


だがロウはこの集落に知恵を貸してくれる、失えばこの集落を発展させるには本格的な者に魔族共通帝王国硬貨まぞくきょうつうていおうこくこうか、略しては魔帝貨まていかを払わねばならない。

この集落は帝王に狩の成果の一部を税として提出してまともにこの集落に魔帝貨が根付いていないため、集落全体の魔帝貨をかき集めても魔帝金貨数枚、魔帝銀貨数十枚、魔帝銅貨数百枚程度だ。

一年である四百日滞在して貰うのに魔帝金貨二枚は最低いる。

集落の者は楽観視しそうだが魔帝貨が無ければ魔帝国に入れず、税を払えない。

払えないとなると帝国が強奪に来る。

しかも何も言わずに税を払わなかったのだ。

払えなかった税の三倍、いや、その時にはこの集落が地図から消えている可能性も出てくる。


ヤムもそうだ。

クムやドゥ等を差し置いて、もうジェネラルに成っても可笑しくない技量を持っている。

集落が生き残るには絶対に必要だ。

いや、ヤム程の実力ならば帝国直々の子飼い騎士団である、忠誠アイネ騎士団という血統関係無しの騎士団にスカウトされるかもしれない。

こちらとしてはそれは頂けない。

騎士団にスカウトされるという事はとても名誉なことで、それを拒否するという事は反逆を意図していると上層部が脅しに来る可能性は否定できない。

故に拒否権は無いのだ。


どちらも手離せない人材だ。

だが、だからと言って集落の皆をみすみす危険にさらすわけにはいかない。

二人が居なくとも集落は廻っていけるのだ。

居た方がいいと言うだけ。

集落の長としてはこの集落が歴史に残れるほど古く根付いてくれればいいのだ。


今、ヤムの声でどうするか話し合っている集落の者には悪いが彼等は助けることはできない。

ヤムが稼いでくれている時間を無駄にはしてはいけない。


「みんな!聞いてほしい!」

「なんだ?」「どうした?」「...」「...戦死者のことか?」


みんな口々に言い合う。

だがこれでは進まない。

まずはみんなを黙らせなければいけないようだ。


「静粛に」


漸く静かになったみんなを見、私の考えを伝える。


「これから言うことを噛み締めて聞いてほしい」


様々な場所から生唾を飲み込む音が微かに聞こえる。


「先の戦い、皆はよく頑張ってくれた。だがこれで戦いは終わっていない。みなも知っているだろう」


みんな苦虫を噛み潰したような顔をする。

ヤムのことを気に病んでいるのだろう。


「暴れているオーヅをヤムが囮になって我々のもとから遠ざけてくれている」


その言葉で一斉に引き締めた顔になるみんな。


「助けなきゃ」「束になればなんとか」「せめてどこか遠くに撃退できれば」


思い思いに喋り出すコボルトのみんな。

オーク達は迷っているようだ。

それはそうだ。

ついさっきまで自分達の親玉を私の指示一つで倒しに行かねばならないかもしれないのだ。

複雑だろう。


「静粛に。これから私の考える方法を伝える。無論、強制はしないが反対する場合は私も安全を一切保証できない。それを踏まえて考えてほしい。妻子持ちは話をしてきても構わないが、多くはとれない。よくて十分だ」


私の意見は狼のように絆の堅いみんなは拒否するだろう。

だから先に言っておく。

反論するならば命は保証できないと。


「私の考えは、ヤムを見捨てる」

「「「「!?」」」」


みんな驚き、目を見開いた。

当たり前だ。

目の前で堂々と仲間を見捨てるだなんて言ったのだ。

コボルト達の目は「お前は仲間を見捨てるのか?」「お前は本当に同じ種族なのか?」「恥曝しめ」と言った批判的な目と態度と言葉が私に襲ってきた。


「言っただろう。反論するのは構わないと。私の意見が気に食わないなら自分で考えて行動しろ!他の者に頼るなど、只の他力本願にすぎん!仲間が大事なら命を賭けろ!命の保証ができないとお前等はまともに動かんのか!」


もうみなと話すことはない。

私はここで朽ちるとしよう。

もう永くない命。

若造を逃がすくらいならできるだろう。


「お、おい!そりゃどーー」


若いコボルトの言葉を遮り、話す。


「現集落長ニメはここで辞任する!後継者は自分達で決めろ!私はこれから政治には口出しを一切しない!この赤きディアレが沈むように私は蒼きジェディナのように沈もう!」


思いっきり驚き硬直するコボルト達。

赤きディアレが上るというのはそれを始める時を意味する誓いで、蒼きジェディナが沈むというのはそれを終わるときのコボルト独特の誓いだ。

これを破ることはかなり重い重罪だ。

ふふふ、今は気分がいい。


「おい!何身勝手な事を言っているんだよ!俺は認めないからな!」

「そうだ!どういうつもりだ!」


いつの時代にも面倒事を嫌い、人に擦り付ける事しか考えていない者は多いようだ。


「私は本来ならもう長など止めている年だ。そして掟の中には、規定の年齢を超えて職に付いている者は何時でも辞任しても良いことになっている。つまり私は何時でも辞任して良いことになっているはずだが?」


まさにぐぅの音も出ないだ。

ここで愉快愉快と笑いたいが、私にはまだやらなければいけないことが山盛りだ。

順次消化していかなければ。


「そ、そんな掟は知らん!いや、本当にその掟が合ったとしてもそれは責任から逃れるための只の言い訳だ!俺らに面倒事を押し付ける気だろう!」

「そうだ!」「そいつの言うとおりだ!」


何と。

今まで掟には厳しくしていたつもりだったから知っていると思ったのだが?

そんな私の心の嫌みなど知らず、私の愚痴を言い合う若者達は馬鹿が多いようだ。


「黙れ。これは私が決めたことだ。私はやることが多いのだ。此にて私からの話は終わる」


さて、まだまだ私にはやらねばならないことが多いのだ。

早く終わらせなければ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ