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千代田雪2


今回、俺は『タローさん探し』という名のただのおっかけっこ……のために、準備をしてきたわけだが。

「うーーん」

 感覚が掴みにくい。スケートボートなんて久しぶりだからか。重心の乗せ方を忘れかけていた。

「物を使うっていうのはいい発想だろうけれども、経験の浅い君は難しそうね」

 長峰先輩が笑う。いや、まだですよ先輩。俺にはまだ秘策があるっすよねーーふっふー。


 今日は前方に桜田先輩、進藤先輩。後方に俺と長峰先輩だった。

「菊池君の一人勝ちだねーー。うふふ」

 菊池は始まったとたんにミサイルのように突っ切っていった。

 当初、桜田先輩は変に楽しがっていたが。ふんふんと鼻をならすと。

「そんなわけには行かないわけだーよね。居鳥」

「させない」

 紙がこすれる音がした。ギターがシンと鳴る。

 桜田先輩、進藤先輩の二人が気流に乗って、すっと。

 気が付くと遠い向こうまで行っていた。

 

 そして、進藤先輩がギターをかき鳴らした。

 今回は曲というより、高度なギタープレイのようだ。

 低音、高音、低音、高音を繰り返し、波打たせる。振幅が徐々に広がっていく。

 最後にノイズのような金きり音を鳴らす。

「うぐっ」なんか耳痛くなった。

「千代田君、どうかした」長峰先輩が尋ねる声音で聞いてきた。

「いや、大丈夫っす。今のは」一体何だ。

「居鳥のギターは色んなものを操作できるんだよ。たとえばそう」

 これは後輩への先輩のお返しだ。そういう風にも聞こえた。


「――重さとか」

「タローが重くなるとか聞いてませんけど、長峰せんぱああああああああああああい」

 遠くで菊池の叫び声が聞こえた。

 さっきの進藤先輩のは変に音が振幅したように聞こえた。それで重さを調節しているんだろうか。

「さすがですね」

「さあ、千代田君はどうする」

 俺はポケットに手をつっこんだ。

「これを使います」

 ルービックキューブ。今日の暇つぶしに持ってきたやつ。とりあえず、地面に落とした。

 傍からは捨てた風に見えたらしく、長峰先輩は「え、捨てるの」と。違うっすよー。


「――タローを追え」

 命令してみた。キューブは前方につっこんでいった。

 これで一応、タローとおまけの菊池の前売り券……の整理券程度は確保できただろう。

 なんだか遠かった。

「追跡を増やすのね」

「今、俺にできそうなのはこれだっけっすからねー」

 俺はおどけて言った。

 いや、内心はビクビクしていたんだ。

 え、何がって?

 タローを捕まえられるかどうかに不安だったから?

 残念ながら不正解。そういうのとは、全く違ったんだ。俺は緊張していたんだ。


 なぜかって。

 そんなの決まっている。


 今日、俺は久しぶりに彼女に会う。

 初恋の君に会いに行く。

  



  


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