king of king
「え、え〜っと…どっちが、困ってるの?」
そう言われて私は我を取り戻したものの、男の子は私の声にビックリしたのだろう、話しかけられたというのに、男の子は驚きの格好からピクリとも動かない。
それはそうと、私が驚きのあまり頭で色々と考えていた合間に、ペルセ様は私達のところに歩み寄っていたのだった。
「…で、何があった?」
「あっ、えっと…それはですね…ペル…セさ、さん?」
「だ、大丈夫か?」
「いえいえ、大丈夫です大丈夫‼︎落ち着きますから‼︎ふ、ふぅ〜」
「それでですね、えっと…私が、ペルセさんが王な訳な……」
(いや、ちょっと待て)私は思った。私はついさっき、このペルセさんを王なのか、と思って驚いた。
もしかするとこれは、王への侮辱になるんじゃないのか?このままてでは、この人に牢獄送りにされたりするじゃないか………と
「…で、俺がどうした?」
「いえいえ違います、違います‼︎この子がとてもじゃない程驚くよなことを言ってきたので、それでとてもじゃない程驚いちゃって…とまぁそんな感じです…」
「そ、そうか…ならいいが、そんなことより、君、この村の子じゃないみたいだけど、なんて名前?」
「マイっていいます。今日から旅人になりました」
「へぇ〜、今日からね〜、実は俺も今日城から出たばっかなん…」
「お、おーーーい、みんな避難しろ‼︎か、怪物が出たぞーー‼︎」
1人の村人が、走ってきてそう言った。
「怪物、何処だ、何処に出た?」
「あっ、ペ、ペルセ様、向こうの丘を越えた先にあります民家です。ま、まだあそこには、妻と娘が…」
ペルセさんは少し考えつつも、話し始めた。
「大丈夫だ、そんな心配は無い、俺が今すぐ行く。なぁ、マイ、それなりには戦えるか?」
「えっ、あっ、はい、それなりですが…」
「そうか…なら、付いて来てくれ、怪物ってことなら、今は少しでも戦力が多い方がいい。てことで少し…」
「ひゃ、ひゃい⁉︎いきなり何するんですか⁉︎」
そういうのも無理はない何故なら初対面の人に抱き上げられているからだ。
「すまないな…少し慣れないだろうが、我慢してくれ。じゃあ、このペルセ王、国のため、国民のため行ってまいります!」
「ちょっ‼︎ペルセさん、私のためにも今下ろして下さいっ‼︎」
「分かったからじっとしててくれすぐ着くから」
するとペルセさんの足元が青白く光りだしたのだった。
そして、数秒も経たぬうちに、ペルセさんはものすごい速さで走り出していた。風がペルセさんを避けているのかペルセさんが風を退かしているのか…分からないくらいにペルセさんは、駆ける!
そして、本当にすぐ着いてしまったのだその怪物の元へ。
「なっ!すぐ着くって言ったろ!」
「は、はい、す、すぐに着きました…ね…」
「てことで、じゃあ倒しますか!」
とペルセさんが言ったところで、怪物を撫でながらこちらに話しかけてくる男がいた
「ほほう……倒す…ね、それは困りますね〜実に困る」
見た限りではこの人がこの怪物を従えているらしい、怪物も怪物で、一心不乱に民家に喰らいついているようにみえるが、何処なく強い殺気を感じる
「そうか…でもおじさん、少し提案なんだが、住民だけでも、助けてくれないか?」
「その答えはズバリ…Noなのですよ、残念ながら、それもこの私の、ペットちゃんの大事な餌なんですからね」
男はペルセさんの提案を聞くは全くなかった。
「そっか…そうなのか…」
そこで、ペルセさんは何も言わなくなった。少しの間沈黙が続いた。
怪物が、家を噛み砕く、バリバリという音だけがそこには響いていた。
そして、ある瞬間から、怪物も気づいたのだろうか、それ以上の殺気がそこの空気を上回った、それと同時にペルセさんは、小さく呟いたのだった。
『諸刃の剣エクスカリバー』
とそれと共に、また、物凄い速さで、走り込み、怪物の右足を斬り刻んだ…
「ふぅ〜、これでおあいこだお前が一軒壊す度に身体の部位を切り落とす。そして、1人住民を殺したら、お前を殺す、そして…」
「き、貴様ぁぁ、よくも、よくもこの私のペットちゃんを…や、やれっ!そこにいるふざけた奴を…ぶ、ぶっ殺せ‼︎」
男は、すごい剣幕でペルセさんを見て、怪物に命令を出した。
怪物も、先程とはくらべものにならいほどの殺気でペルセさんに飛びかかったがペルセさんは…
「そして…俺に向かってきたら…殺す…」
怪物の殺気の上昇を気にもせず、怪物を切り刻んだのだった…
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「やれやれ、おじさん、とうとうお前の始末の時間だ。」
そう言ったのは住民に避難させた後。
「ペルセさん、私って今回必要でした?」
「まぁな、でもこいつの見張りをしててくれた、それだけでいいよ」
「そ、そうですか…」
「…で、どうしたい?と言いたいんだが」今回お前は牢獄送りだ、まぁせいぜい牢獄生活を楽しめ」
そう言って、男は牢獄送りとなった。
「今日は散々だったな、初日ってのに」
「えぇ、そうですよ〜、ペルセさんに振り回された気がします、でも、少し、面白かったです…」
「じゃあ、俺と旅しないか?お前がいいならだが…」
ペルセさんは少し照れながらそう言った。そして、私は、すぐに答えが決まっていた。
「もちろん!ご一緒したいです!」
そんなこんなで、私の旅人1日目は王様と旅をすることになり、幕を閉じたのでした。