魅せられて…。
夏至君→夏子です。
夏子は、夏至君のお兄さんの冬至が好きで、冬至は温が好き。夏子の実の母の未亡人は、夏至君が好き。と言う4角関係です。
片恋ストーリー
夏至→夏子編。
「夏子ちゃん、おはよう」
小学校までは夏至と冬至と夏子の3人で通っていた。
愛らしい笑顔を夏子に振りまく唯一の存在。
昔から女の子らしい笑顔を振りまいていたと自分で思う。
近所の人や商店街の人は僕を本気で女の子だと思ってよく飴やおこづかいをくれた。
夏子ちゃんは笑いはしなかったけど、とても綺麗だから僕自身もたまに見惚れる。
夏子ちゃんは他の僕に寄る女の子みたいに変に媚びたりは一切無い。
そのストレートな所は僕のお気に入りだった。
「夏子ちゃん荷物持つよ」
「…別に良いわよ」
そう冷たくあしらわれても僕は「お願い夏子ちゃん-」とわざと甘えた声を出して、
ほおっておけなくなった夏子ちゃんから荷物を強奪し、喜ぶ。
でもそんな僕の幸せな時間は夏子ちゃんと兄の冬至が中学生になってから覆された。
それはふと見た冬至と夏子ちゃんが2人で登下校してるところだった。
夏子ちゃんの照れて俯く姿。
馬鹿みたいに話を大仰に話す兄。
そっか、夏子ちゃんは…冬至が好きなのだ。
冬至は夏子ちゃんのお母さんが好きだというのに。
僕は夏子ちゃんのお母さんが好きではなかった。
いつも男に媚びては、「ありがとぉ」と一見可愛らしくお礼を言うが、内心ではさも当たり前。
僕が本気になっても落ちないからやけになってるだけだと思う。
夏子ちゃんには言わなかったが、夏子ちゃんが別室で冬至とゲームをしてるときだと思う。
「おばさんね…ずっと夏至君の事可愛いなって見てたのぉ」
これは危険信号だ。
「夏至君キスしてくれる…?」
潤んだ瞳に上目遣い、甘ったれた声。
娘と友達が来てるすぐ側で言い寄ってくるのが気にくわない。
「結構です」
きっぱり言うと何もなかったかのようにドアを開けて2人のゲームに加わった。
屈辱的だったんだろうなと思う。それ以後も僕は応じたことがなかったが、何度アプローチされたことか。
夏子ちゃんじゃないと意味がないのに。
一体僕達の恋はどこへ行くんだろう。
最初に載せるのはどの順番で載せるか悩みました…。