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その後も採取ポイントを確実に潰してマップを埋めては下へと向かった。

10階まではやっぱり森の類いの階層が続いた。樹海っぽい暗い森や、ジャングルのようなところもあったけど。


採掘出来るポイントもあってかなり石英もたまった。石英はすぐ使っちゃうからあると助かるんだよね。


そしてボスです。

10階層に降りるとそこにはボスの部屋へと続く扉だけがあった。


いい感じでここまできてます。


なんと各階取得アイテム&撃破モンスター種類パーフェクト!

モンスター、採取、採掘、食物全てクリアです。

各階で一度採取したりモンスターを倒したりすると、その項目の取得可能数がわかるからありがたかったです。あと何種類とかわかるから動きやすいよね。


いやー、パーフェクトの文字が並ぶのを見ると気持ちいいね。


ここまではモンスターを倒すの余裕だったけど、ボスだし一応ドーピングしておきましょう。まっちゃと一緒にタブレットを服用。


よし、と気合いをいれて扉に手をかける。


ゆっくりと重い扉を開けると、そこは岩場に囲まれた広間だった。勝手に体がその中央まで進んだ時、頭上から狼の遠吠えが降ってきた。


さっと顔をあげるとつきだした岩場に黒い毛並みの大きな狼がいた。

ボスの名前はブラックワイルドウルフ、体長3メートルくらいの大きな狼さんでした。口から伸びている牙は大きくて痛そうです。


ブラックワイルドウルフは軽くジャンプしたかと思うと目の前に軽やかに着地する。


Waoooooooooooooon!


戦闘開始です。


「まっちゃ!いつものよろしく!」


「くぅ!」


まっちゃは一直線にブラックワイルドウルフの顔面に飛んでいき目潰しにかかる、がなんとひらりとかわされる。

どうやらこのボスは相当AGIが高いようだ。

その後も顔の周りを飛び回りながら攻撃を仕掛けるもなかなか決まらない。ようやく当たっても次はかわされる、と言った具合だ。


遠目から見るとなんだかじゃれあってくるくる回ってるように見えるけどね。


ダメージは結構きくみたいなのでボスのレベル的にはそこまで高いわけでは無さそうだ。


ここはあれを使ってみましょうかね。


「《守人の舞》」


アーツの名を口にした瞬間、リーン……と何処からともなく鈴の音が鳴り響く。

気づくと手にはいくつも鈴がついた道具が握られていた。

動く度にシャーン、シャーンと鳴り響く鈴達。その音に合わせて舞を踊る。

見たことはないけど神楽とかってこんな感じなんだろうな、って思った。


ダンスとは違う、厳かな舞。


くるりと回ると袖口から垂れる飾り紐が中に舞う。


くるりくるり。


シャーン、シャーン……。


最後は神に祈るように両手で鈴を天に掲げると、それは光となって私とまっちゃを包み込んだ。


と、ここで終わったようで体の自由が戻ってきた。まっちゃと私の体をうっすらと黄色い光が包んでいる。


《守人の舞》の効果はVITとAGIがプラスされるという〈舞〉の初めて覚えたアーツ。10分間だけどなんとVITとAGIが倍になるんだよね!しかも効果範囲はパーティーメンバー全員。クールタイムは15分とちょっと長いけど、十分だよね。


まっちゃも早速効果が現れたのか、攻撃が当たるようになっている。


よーし!速攻で倒しちゃいましょー!


そこからは魔法陣、刀のアーツを合わせてどんどんボスのHPを削っていく。


ボスの素早さはヤバかったけど、それさえどうにかなれば強さはシアに行く前のボスくらいの強さだった。


なのでそこまで 苦労はしなかった。


それに……。


Wooooooooooooon!


最後は刀で真横に切り裂いていた。

ボスはゆっくりと倒れそのまま消えてしまった。


その後には宝箱が。


ふぅ、何とか倒せてよかった。


そして体の自由が戻ったので宝箱を開けてみる。

中からはブラックスターという黒い宝石が出てきた。どうやら素材になるものらしい。


それを取り出すと宝箱も消える。


「まっちゃお疲れー!」


「くぅ~!」


わしゃわしゃとまっちゃを撫で回す。

今回舞のアーツが使えたのはまっちゃがいてくれたからだ。舞のアーツを使っている間も戦闘は続けられていた。もし攻撃を受けていたら、アーツが途中でレジストされていたかもしれない。


まっちゃ様々ですね。


そして今回比較的楽にボスを倒せたのは、碧魔刀の力が大きいと思う。

きちんとした比較はしてないからわからないけど、一回のダメージがかなり多かった。通常のダメージに加え、追加の固定ダメージがあるのはやっぱり大きいよね。


最後の方はダメージが入るのが嬉しくて刀だけで戦ってたもんね。クリティカルも入ったりしてちょっと調子に乗りました。魔法陣ちゃんと使えばもっと早く終わったんだろうけど……反省。


宝箱のあとには転移陣が出ていたのでHPMPを回復してからまっちゃと飛び込む。


視界が開けた先は、なんと白銀の世界でした。


いきなりの雪原フィールド。


そして転移した場所には石碑があって、調べてみるとどうやらここからダンジョン外へも転移出来るらしい。外からも次はこの石碑に飛べるようなので、出ても再度10階層進む必要はないので一安心。それは助かるんだけど……。


「アイスドロップ残ってたかな?」


雪原ということでゆっくりではあるがHPが減ってきている。インベントリを確認するとあと4つだけ残っていた。


けど絶対足りなくなるよね。


ここは材料を集めて一度帰還かな?


まっちゃと1つずつ食べて地下11階を探索する。思った通り雪六花とホワイトハニーが手に入ったので、材料はなんとかなりそうだ。とりあえず限界まで探索して一度帰還しますか。


ということで、地下11階をくまなく調べ終わったところで、アイスドロップの効果が切れたので帰ってきました。


モンスターの強さ的にはウォルターニアの先の火山入口くらいだからまだ何とかなりそう。ホワイトベアーもちょっと強くなってました。イベント仕様ですかね?


そしてこの階層も取得アイテム&撃破モンスター種類パーフェクト!


……といきたかったのですが。


なんとパーフェクトならず。


イベント用のページのアイテムやモンスターの一覧を見ると、モンスターと採掘アイテムが足りない。


採取や採掘出来るポイントは全部回ったはず。


モンスターの方はもれがあるかもしれないけど、採掘は全部とりまくった。


おそらく、いや絶対、採掘師じゃないと無理なんじゃないですか?


なんてこと……。ここまで頑張ったのに……。


「くぅ~?」


がっくり肩を落とした私を心配するかのようにまっちゃが覗き込んでくる。


「ごめんね、大丈夫。とりあえず戻ろっか?」


「くぅ~」


そして転移ポイントから街へと戻るのでした。




視界が一瞬暗転し、次の瞬間には目の前に街並みが広がっていた。

さてどうしようかと思った時、メールアイコンが点滅した。


まっちゃを小さく戻して頭に乗せ、その場から移動しながら邪魔にならないところでメールを開く。


「はやっ」


なんと地下20階のレイドボスが倒されたらしい。

私としては助かるけどね。

今は丁度1日目の7時を過ぎたくらい。

ダンジョンが何階まであるかわかわからないけど、1日目で地下30階まで行っちゃうんじゃない?


と思ってると、転移ポイントからゾロゾロ人が出てきた。タイミング的にこのチームがレイドボスを倒したのかな?


どうやら補給に帰ってきたらしく、一時解散となるようだ。


ぼーっと人が過ぎ去るのを見ていると、中に見知った顔を見つけた。


「おっ。ハナじゃん!」


「やっぱりヤトだ」


ヤトの声につられて何人かこっちを向く。ちょっと恥ずかしかったので視線を逃れるようにヤトに近づく。


「さっきメールきたレイドボス倒したのってヤト達のチーム?」


「そうそう。イベント限定レイドボス攻略のチーム募集があったからさ、参加したんだ。あ、そういやハナは初めてだったよな?」


「ん?」


「こいつリア友のクオ。たまにパーティーくんでんだ!」


「初めまして」


「あ、初めまして、ハナです」


ヤトに隠れるように立っていた小柄な女の子、クオはひょこっと顔を出してペコリと頭を下げた。


全く気づかなかったのでちょっと驚いたが、何とか返事を返す。


「あなたがハナ?会えて感激」


「え?な、何で?」


「あー……ハナは掲示板見ないからなぁ。ま、気にすんな!」


「いやいや、気にするって!」


そんな可愛そうな人を見る目で見ないで!


「ハナ様万歳」


「え?え?クオさん今何て?」


「ふふ……」


ぽそりと呟いた言葉は良く聞こえなかったけど、何だか不吉なものを感じましたよ?


「ハナ、クオでいい」


「あ、うん、わかった」


何だか良く分からないが、これ以上踏み込まない方がいいのかもしれない。


「そういやハナは一人でダンジョン潜ってたのか?」


「そうなの。11階まで行ったんだけど、耐寒装備もアイテムもないから帰ってきたんだ」


「あー……確かにあそこから5階層くらいは雪フィールドだったな。因みにその後は火山フィールドだから耐熱がいるぞ?」


「え?本当に?」


「本当。そんで21階層は海だったな。そこで一度帰還したからその後はわかんないけど」


「そっかー……。どうしようかなー」


するとヤトが不思議そうにこっちを見てきた。


「何を悩んでるんだ?」


「あぁ、実はダンジョンの階層毎で全種類のアイテム見つけたりモンスター倒すの目標で頑張ってたんだけど、11階層で行き詰まっちゃって……」


「そんなことやってたのか?」


そんな不思議なもの見る目で見ないでよヤト……。


「コレクション?」


クオがちょっと体を乗り出して聞いてきた。


「ま、そうかな?メニューにイベント用のページが追加されてるでしょ?」


「ある」


「あるな」


2人とも自分のメニューを確認している。


「それでモンスターとか自分が倒したのと、未見のものがわかるでしょ?」


「あぁ、1階層のはコンプリートって出てるな」


「私も」


ま、1階層はモンスター1種類だけだもんね。


「でね、モンスターとかアイテムとかその階層の全部手に入れるとパーフェクトって出るの」


「「え?」」


あ、やっぱりそこまでは知らなかった?


「そもそも、モンスターの数しか載ってないんだけど」


「同じ」


え?


「何で?」


「いやいや、こっちが聞きたいって!」


質問に質問で答えたらヤトに勢い良く突っ込まれた。


「私たち、採掘も採取もしてない」


と、何事か考えていたクオが唐突に口を開く。


「そういや、進むの優先で何処も掘ってないな」


確かにスキルを使わないとページに載らなかったよね。


「ハナ、パーフェクトとれなくて悩んでた?」


「そうなの!私スキルを採師にしちゃったから、どうしても手に入れられないアイテムが出てきちゃってさ」


それを聞いて何故かクオは黙って考え込んでしまった。

そして急に顔をあげこう告げた。


「ハナ、パーティー組む」


「え?」


「あー……多分クオはハナとパーティー組んで一緒にパーフェクト狙うって言ってる」


「え?え?」


「クオってこういう収集するの好きなんだよね」


クオはその通り、というように頷いている。


「採取師取得済」


イエーと突きだすピースサインは幼く見えるクオにはとても似合って可愛かった。笑えばもっと可愛いだろうに。


「パーティーアイテム共有」


あ、なるほど。

これは私にもわかった。

つまりパーティーメンバーが取得したものはパーティー全員に適応されるのか。


ということは、パーフェクト狙える!?


「いいの!?ぜひ!!」


そして2人してヤトを見る。


じー……。


「うっ……。いいよ!付き合うよ!」


「やったー!」


「よし」


ヤトは採掘師のスキル持ってるし、これでパーフェクトは夢じゃない!


「あ、その代わり戦闘は一人でやっていいか?」


「え?いいの?逆に助かる!」


「もち」


なんて素敵なお願い。

戦わなくていいなら採取とかもはかどるし。


「これだけ人数いれば敵も沢山出てくるよな?ヤバい!燃えてきたー!」


ヤトもスイッチが入ったのかノリノリになっていた。


「じゃ、チーム組んでた奴らに抜けること言ってくるわ」


「あ、そうだった。チームの方は大丈夫?」


「ああ、元々チーム組み直す予定みたいだったから大丈夫だろ」


「そっか」


その言葉にほっと胸を撫で下ろす。


「あ、私これからアイスドロップとか作ってくるから出発は1時間後くらいでいいかな?」


「いいぞー」


「了解」


「それと、火山行ったなら炎の種と赤い樹液持ってない?」


「そういやマグマーとファイヤーツリー結構倒したなぁ」


よかったー!

これで材料何とかなりそう。


「買い取るから売ってー!材料なくてホットドロップ作れないの」


「あー、じゃぁやるよ。その代わりうちらのも作ってくれない?」


「え?いいの?お安いご用だよー!」


その後トレードで素材を貰い、1時間後に石碑の前集合ということで2人と別れた。


さっきまでは諦めてたけど、パーフェクトも夢じゃないよね?

こういうのって何でか集めたくなっちゃうんだよね。


じゃ、さっさと作ってきますか!


地図で生産設備があるのを確認する。一直線に進んで料金を払って入った。

簡易錬金セットを出して、さぁ、始めましょう!





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