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それから町の人達に話を聞きながらハイフェアリーの人を探し、課題をクリアして、光の種の場所を聞いて、取りに行って……と今まで行ったことのある色々な街やフィールドを駆け巡りました。
いやー大変だった。
本当に転移があって助かりました。
行きは大変だけど帰りは一瞬だもんね。
課題の内容も様々で、アラミアの南の森最奥で取れるキラキラを取ってこいだとか、火山地帯にいるモンスターを50匹倒してこいだとか、ハイポーションの納品だとか。
そうそう意外とキツかったのが畑のお手伝い。
ひたすら畑を耕して肥料をまき種を植える。水をあげて収穫までしてクリアです。
なんてったって広さがホームにあるものの5倍はあったんです。いやいや、ホームの畑の広さでも結構大変なんですよ?
これが一番時間かかったかも。
どの課題もとにかく面倒だった。そしてその後の光の種を探すのも大変だった。
ハイフェアリーの人達は光の種が飛んでいった場所を感じられるらしくて、課題をクリアするとその場所を教えてくれた。だけどその場所がまたてんでバラバラで……。集めるのも苦労しました。
既に試験を初めてから5回目のログインですが、やっと最後の課題に挑めそうです。
「いらっしゃいませ。中で族長様がお待ちです」
儀式の間に戻ってきました。
これでやっと最後です。
扉をくぐり部屋の中心まで進む。
「よくここまで光の種を集めました。あと1つで最後ですね。それでは私から課題を与えましょう」
そして両手を広げ呪文を唱え出した。
それが終わると私とフェリアさんの間に黒い球体が現れた。
結構大きくて直径1mくらいはあるんじゃないかな?
「現在魔人達の動きも活発になり、これから先貴女が進む道は更に困難なものになっていくでしょう。その道を閉ざされない為にも、貴女はまだまだこれから成長していかなければなりません。この球体に触れると、とあるダンジョンに飛びます。そのダンジョンを見事クリアして私の元に戻ってきてください。それが課題です。貴女のタイミングでこの球体に触れてくださいね。幸運を祈ります」
前回のログインで魔法陣やお薬なんかも補充したので準備はばんたんです。まっちゃも元の姿で私の横で座っている。
よーし!行きましょう!
黒い球体に触れるとずぶずぶと腕が沈むように球体に入っていった。そして肘まで入ったところで急に何かに引っ張られるように球体に入り込んだ。
急なことに目をつぶってしまったが、その途中ダンジョンに飛んだ感覚があった。
ぱっと目を開けると既にダンジョンのなかでした。まっちゃが足にすりよって来たので頭を撫でてあげる。
どうやら洞窟の中のようです。至るところに水晶が光りながら生えているので視界はクリアだ。
何があるかわからないから慎重に進みますかね。
「まっちゃ、気を付けてね?」
「くぅ~!」
まっちゃが先行し、後を追うように着いていく。
モンスターは初めて見るものばかりのようでマップには写らなかった。
道があるのでとにかく進まないとね。
少しずつマップを埋めて進んでいく。
マップを全て埋め尽くして分かったのはそこまで広い空間では無いってこと。それにモンスターも強くなかった。ウォーリアの周りと同じくらいかな?
でもボスの部屋は見つからなく、代わりに下へと続く階段が見つかりました。
降りろってことですね。
またまた慎重に降りていき洞窟内を進む。
さっきの階より少し敵が強くなったような気がする?それにフロアも若干広くなってない?
そして見つかったのは下へと降りる階段。
……え?何階まで続くんですか?
そこから下へ下へと降りていきました。
下へ行く度にモンスターは少しずつ強くなって行き、フロアも少しずつ広くなっていく。
更に地下5階を過ぎた辺りから罠が設置され始め、地下9階で一度最初のフロアに戻された。地下9階に降りてすぐの床を踏んだら魔法陣が現れて避けることも出来ず視界はブラックアウト。
さっきまでの苦労が……。
まっちゃのお陰でマップがあるから最短距離で戻りました。
あんなの避けれるわけないよ!
掲示板では種族クエストの始め方と、
その後の課題が大変ってことくらいしか調べなかったんだよねー。
最後はボス戦があるってのは知ってたんだけど、その前のダンジョンがこんな面倒だったなんて……。
地下5階から現れ始めた罠も結構厄介でした。
地下5階はダメージ与える床くらいで目に見えて分かるので避けやすかったんだけどね。
床のタイルの色が違うし、明らかに危なそうな放電がおこってるし。
その後から段々罠の質が上がって行って、地下8階での罠はキツかった。小部屋に入って宝箱開けたらいきなり扉がしまってモンスターが降ってくるんだもん。しかも10匹以上!
いや、マジで焦ったよね。
本当もう終わったと思いました。
一斉に飛びかかってきたので、思わず頭に浮かんだ《桜咲》を発動。
私自信もモンスターに向かって行って、その中心でクルクル回りながらモンスター達を回転斬りです。そして最後の一閃でモンスター達を部屋の端に吹き飛ばす。
まっちゃと背中合わせになって必死で戦いました。
必死過ぎてよく覚えてない。
なんか途中でモンスター追加されてたし。
途中まっちゃのMP回復したり自分のHP回復したりとお薬が宙を舞っていたのはよく覚えている。
奇跡の命中率でしたね。いや、当たるように補正かかってるのはわかってるんだけどね。
最後の敵が倒れた時には私もまっちゃもHP1割くらいしか残ってなかったからね。本当よく生き残ったと思う。
意外と活躍したのが転移。
戦闘中に使うと転移ポイントが現れて意識することで選ぶことが出来る。それで敵の後ろ側に飛んで攻撃!後ろからの攻撃は不意打ちになるらしくダメージ量が上がるのだ。
ま、必死でそれ以外の場所を考えて選ぶ時間なんてなかったんだけどね。
そんな感じで魔法陣と刀で斬りまくってなんとか乗り切りました。
そして再び地下9階。
慎重に転移陣のあるタイルを避ける。
そのまま進むとボスの部屋が見えてきた。
ここまで一本道でしかも敵はなし。
転移陣の他は罠もなし。
……怪しいよー。
壁から毒矢が飛んできたり、床が抜けたり等色々あったからね。
そうそう、床が抜けた時は驚いたね。
目の前を歩いてたまっちゃが消えたんだもん。
まっちゃは飛べるからとりあえず何とかなったけど、私が落ちたらどうなっていたことやら……。
そして慎重に進んでいたのだが、ボス部屋の前までたどり着いてしまった。
いや、たどり着けたのは嬉しいんだけど。
このタイルがまた転移陣とかになってたりしない?
そう思っていらないアイテムとかを転がして確かめたが反応なし。
意を決して扉を開く。
……。
必死で押す。
………。
「うそー」
まさかの入れないですか。
最後の罠ってことですか?
とりあえず扉を調べてみるが鍵穴らしきものは見当たらない。が、怪しいものが目についた。
とっての付け根がダイヤルになっているようだ。クルクル回して見ると数字が変わる。これが鍵?ダイヤルの周りを5つの星が囲んでいる。
でも数字なんて……あれ?
そういえばここまでくる道に不自然に数字が書かれたタイルがあった気がする。
もう一度階段まで戻ってみる。
そこからこの扉までにあった数字は……。
右端 3
右端 6
左端 5
左端 7
小さく書いてあったり偽装してわかりにくくしてあったが何とか読み取れた。
これは右回しで3、6左回しで5、7ってことですか?そうですよね?
くるくるくる、取っ手を回す。
……。
あ、開いたかな?
何も変わらないけど取りあえず扉を押してみる。
……。
「やっぱりあかないー!」
うーん……ダイヤルを回すのは合ってると思うんだけどな。
後はこの不自然な星のマーク?
こんな装飾今までの扉でも見たことないし。
星が5つあるってことは……数字が足りてないってことかな?
もう一度通路を戻って調べてみる。
が、やっぱり見つからない。
「うー……首が疲れたー……」
下をずっと向いていたので首が痛くなってしまった。
扉の前で上を向いてぐぅっと伸びる。
「あぁー……ゲームの中でも肩凝るのか……な?ん?」
ぐぅっと上を向いて伸びていると天井の右端に数字らしきものを見つけた。
「あぁー!!」
最後の数字みーつけた!
右端 3
右端 6
左端 5
左端 7
右端 8
ということは右回しで3、6左回しで5、7右回しで8ってことですか?そうですよね?
くるくるくる、取っ手を回す。
カチッ
お?
「これでどうだ!」
ぐっと扉を押すと……何故開かない!?
さっきカチッていったじゃん。
期待しちゃったじゃん。
「くぅ~?」
パタパタとまっちゃが飛んで取っ手をくわえて引っ張った。
ギギー……
開きました。
あ、押すんじゃなくて引っ張るんですね。
「まっちゃ天才だよー!」
私がうちひしがれてる間にまっちゃが解決してくれました。
ぎゅーっとしてなでなでです。
今まで全部押す扉しかなかったから完全に引くという考えがなかったね。
まっちゃ様様です!