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次の日。
今日からレベルあげの予定でしたが、ちょっと不安なのでその前に新しい特化魔法陣を見つけようと雪原にやって来ました。
ここなら氷特化の素材がみつかりそうじゃないですか?
レベルあげは火山地帯でする予定なので、氷系があれば幾らか楽になるはずです。
ということでやって来たはいいのですが、すっかり耐寒のことを忘れてました。
ホットドロップもあったんだから、耐寒アイテムのレシピも多分あるよね?火山地帯に行く前の街でレシピが手に入ったから、今回も同じように手に入らないかな?
雪フィールドの直前はウォーリアなんだけど、レベルでみた道順的にはアラミアだよね。なので一度アラミアに戻って道具屋へ行ってみました。耐寒アイテムであるアイスドロップはやっぱり売り切れとのことです。
売り切れかぁ……と思ってたら道具屋のザーラさんからクエストをうけた。ウォルターニアで受けたのと同じ薬屋のお手伝いでした。報酬はアイスドロップのレシピです。
やっぱりあったー。
クエスト条件はこっちも錬金術Lv.40でした。クエストを受けてそのまま薬屋さんに直行です。
「こんにちはー。お手伝いに来ましたハナと言います」
「あらあら、まあまあ。可愛らしいお嬢さんだこと。私はイマと言うのよ。お手伝いということはアイスドロップを作るのを手伝ってくれるのかしら?」
「はい、頑張ります」
そしてレシピを渡され覚えたら作業開始です。
クリア条件はrankC30個作成でした。
材料は雪六花という雪の結晶みたいなアイテムとホワイトハニーという白い液体の2つ。
まずホワイトハニーと魔力水20を鍋に入れる。
まっちゃが期待の目で鍋の縁にしがみついています。
いや、今回は多分炎は出ないよ?
しばらくかき混ぜ色が透き通ってきたら雪六花をそのまま入れる。
するとみるみるうちに溶けていき、色が青にかわった。
そして鍋の中からひゅうっとひと吹き螺旋状に雪が舞う。
「きゅう~!」
どうやら今回も気に入ったようです。
消えてゆく雪を巻き上げる風にパタパタと突っ込んでいく。
「きゅっきゅう~…」
しかしたどり着く前に消えてしまった。
残念そうにまた定位置と化した?鍋の縁に戻ってきました。
そして次こそは、という目で鍋を見つめます。
いやいや、まだ作業残ってるからね?
もうちょっと待ってね?
では続きです。
色が変わった液体をまたひたすら混ぜ混ぜ。
しばらく混ぜ続けるとピカリと光って鍋の底に丸いアイテムが出来ていた。数はホットドロップと同じで5個。
一粒つまんで見てみると、中に雪六花の模様が浮かぶ2センチくらいの楕円形のアイテムだった。
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アイスドロップ
rankD
30分間耐寒効果によりHPの減少が緩やかになる
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えー、やっぱりHPは減るんですね。
rankCになればなんとかなるだろう。
やっぱりレベル差があるからか初めから高めのrankが作れたな。よし、頑張ろう。
それから10回くらい作ると問題なくrankCが作れるようになった。やっぱりrankCでHPが減らなくなったので安心でした。
「できましたよー」
イマさんに報告すると問題なかったようなのでそこでクエストクリアになった。ちょっと多めにrankCのアイスドロップ作ったのでこのまま戻りましょう。
では、今度こそ雪原へ向けてレッツゴーです。
まっちゃにアイスドロップをあげて、私も食べてみる。ほんのり甘いミントっぽい味だった。
ではでは行きましょう。
歩いていると採取ポイントがあったので採取していきます。雪六花もとれたよ!雪に埋もれていたのをゲットです。
そしてホワイトベアーという小さいモコモコの子熊のようなモンスターがいたので、試しに倒してみるとやっぱりホワイトハニーをドロップしました。またアイスドロップ作ってみよう。
モンスターは白いものが多かった。雪景色に溶け込んでて気を抜いてると不意打ちされるからマップの確認が大変だったよ。
あとは氷ってまんま氷の塊も見つかったけど……かき氷でも作れるのかな?
他にも氷花というものや氷結晶というのが見つかった。
あとはスノーフルーツという食材が見つかった。真っ白な丸い実でした。やっぱりETは1%回復だったけどね。
食べてみるとレモンの氷菓子みたいな味がした。
そして公式イベント参加に必要な星も1つゲットしました。
採掘してたら突然飛び出てきて、くるくる私の周りを回ったかと思ったら真上へ飛んでいき、その後私の目の前に降ってきた。それを恐る恐る捕まえると力を失い飛ばなくなりました。
流れ星が逃げると思ってとっさにくるくる回る星を捕まえようと奮闘した私はさぞかし滑稽だったでしょう。
まっちゃが、何してんの?って目で見てたもん……。
いや、必死だったんだよ?
流れ星は拳大の大きさの金平糖みたいな見た目で可愛かった。
さっきもてあそばれたので素直に認めるのはちょっと悔しかったが……淡いピンク色でピカピカ光っていて、やっぱり可愛い。
そんなこんなであらかたポイントは巡り終えたと思います。
「うーん?そろそろ戻ろうかな?」
まっちゃは雪が嬉しいのかさっきから楽しそうに飛び回っている。
「よし、帰りますか」
近くにモンスターもいなさそうなので帰りは楽に帰れるかな?
そして一歩踏み出す。
踏みしめた足はずぼっと雪に埋まり、埋まり……?
「な!?」
気づいた時は既に遅かった。
踏み出した足は踏みしめるはずの地面が見つからず、私は雪と一緒に暗い洞穴に落っこちて行ったのだった。
「きゃー!あ、あれ?」
心臓がきゅっと縮こまるような浮遊感が襲っていたが急に重力が戻ってきていた。
気づくと足はしっかりと地面を踏みしめ立っているようだ。
おそるおそる目を開けると、目の前にはジャングルのような密林が広がっていた。
なぜ?
「あ!まっちゃは!?」
「く、くぅ~……」
ずしんと急に頭の上から重力がかかる。
まっちゃも落ちたらしい。
今は戦闘もあるので元の大きさに戻っていたので結構重かった。
「ま、まっちゃ重いー」
よっこいしょ、と頭の上からおろす。
「ここは、どこ?」
雪景色から突然の密林。
ふと目に入ったマップが表示されてないのを見つけて、あっと気づく。
「もしかしてダンジョン?」
でもあんな入り口があるなんてびっくりだよ。
とにかく、このダンジョンクリアしないとフィールドに戻れないから頑張ってクリアしないと。
「まっちゃ大丈夫ー?行けるかな?」
「くぅっ!」
「では、しゅっぱーつ!」
まっちゃに続き密林の中に入っていく。
勿論折角なので採取や採掘は忘れない。
いやいや大漁だね!さすが密林!
嬉しくなってどんどん採っていく。
種も結構手に入ったので大満足です。マジックリーフの種も手に入ったのは大きかったよね。
ここのダンジョンは植物系のモンスターが多いようだ。
あの憎たらしいどくどく草もいた。ニヤニヤがムカつくので出会った瞬間切り伏せる。ま、ドロップの毒粉は毒液の材料になるからいいんだけどね。
ダンジョンのレベルもそんなに高くないようで私でも余裕を持って進めるので安心だ。
モンスターも倒しつつ余すとこなく採取していく。
分かれ道もきっちり踏破し、遂に最後の扉へとやって来た。
そう、ボスの扉です。
多分大丈夫だろうけどまっちゃと一緒にドーピングです。
HPもMPもMAXなのを確認していざボスへ!
ぎい……と扉を開けると緑の草が絨毯のように広がった広場だった。
何故か不自然に真ん中にちょこんと赤いチューリップが一輪咲いている。
……が、いつまでたっても何もおこらない。
体も自由に動かせる。しょうがないので完全に怪しいチューリップに近寄って触れてみる。と、いきなりドンッと地震のような揺れが起こり、足の下の土が盛り上がっていった。
そこで体の自由が奪われ勝手にくるくると回転して安全な地面に着地する。
そこには巨大化したチューリップがいた。そういたのだ。いつの間にか花びらが開きそこから牙がはえ、真っ赤な舌を垂れ下げていた。
な、何これ!?気持ち悪……。
TyuuuuuuuuuuuuuuR!
戦闘開始です。
2枚ある巨大な葉を腕のように扱い打ち付けてくる。
更に茎?をしならせ頭をぶんっと振るって頭突きをかましてくるチューリップ。
あ、あぶなっ!
ってかチューリップの顔きもっ!
巨体の割には動きが早く、反動もつけしならせて来るのでタイミングが取りづらい。だってしなり具合が一定じゃ無いんだもん!
とりあえず魔法陣いってみよー。
「ファイヤートルネード!」
大きな炎を巻き上げ竜巻状になった炎がチューリップに向かって命中した。
植物なので火はよくきくのかな?
HPは1割も削れている。
一応ボール系で比較してみたがファイヤーボールの方がダメージを与えていた。
うん、魔法陣の効きもいいのでどんどん撃ちましょう。
そして怯んだ隙に接近だ!
まっちゃとはもうツーカーです。私が走り出したらタイミングよく魔法を放ちチューリップを引き付ける。
うまく近づくことが出来たので刀のアーツをうまく使いながら魔法陣を撃ちまくっていく。
そして……。
Ippppppppppuuuuuuuuuuu!
よし、倒せたかな。
レベル的には格下だったようなので余裕をもって倒すことが出来ました。
あ、なんか宝箱出てきた!
イベントアイテムはもう出ない筈だから、なにかアイテムもらえるのかな?
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精霊石の欠片
すべての欠片を集めると何かがおこるらしい
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何だこれ?
たしかスキルに〈精霊魔法〉っていうのがあった気がするな。
それに必要になるのかな?それとも錬金術とかの素材?
ま、後で調べてみよう。
帰還用の転移陣が出たので帰りましょう。
転移陣に乗ると次の瞬間雪山に戻ってきていた。
少し離れたところに私が落ちた穴らしきものがある。
何とか帰って来れました。
必要なものは揃ったし。
よし、ではとっとと帰宅です。
お読み頂きありがとうございます。
お詫びなのですが、私のミスによって若干70話の内容を変更させて頂きました。すいません。
お話の流れは変わりません。
SPの計算が間違っていまして、本当は料理と鍛冶どちらかのレベル上げをすれば細工を取れる状態になっていました。無理矢理直したので違和感ありますが……許してください。
これからもよろしくお願いします。