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じゃぁ、ちょっとだけ魔導陣の試練覗いて行こうかな?やっぱり気になるし。
ということで再び試練の間入口へ来ました。
そして魔導陣を選択です。すると視界が暗転し、気がつくと机がある部屋にいた。
「ようこそ。どうぞお座りになって。私はスミレよ」
「ハナです。よろしくお願いします」
目の前にあったイスに座るとその向かいにスミレさんが座った。見たところ30代後半のお姉様です。
「では魔導陣の試練なのだけど、ここは他と違って私たちから技術を学んで貰います。それが成功出来れば今後も使えるようになります」
ん?どうゆうことでしょう?
「論より証拠。先ずはやってみましょう」
スミレさんがパチンと指をならすと目の前に掌で握れる位の大きさの丸い水晶玉のようなものが2つ現れた。
「これは魔結晶というものです。これに魔法陣を刻印します。紙に魔法陣を描く時には‘記符’と唱えますが、魔結晶の時は‘刻印’と唱えます」
そして魔結晶に手をかざした。
「ファイヤーボール刻印」
ピカリと魔結晶が光り、透明だったそのなかに魔法陣が浮かび上がった。
「これで完成です。ではハナさんもやってみてください」
おお、何かよくわからないけど凄そうな気がする。
スミレさんと同じように魔結晶に手をかざし、同じように唱える。
「ファイヤーボール刻印」
ピカリと光って魔法陣が浮かぶ。
よかった、成功ですね。
「出来ましたね。この魔結晶はアクセサリー等に組み込むことが出来ます。自分のスタイルにあったものを作ってくださいね。では私からは以上です。次の段階へ進みますか?」
「はい、お願いします」
スミレさんの笑顔に見送られ視界が暗転。
次に見えた景色は変わらず同じ部屋のようであったが、目の前にいるのはスミレさんではなかった。
「よくきた。まぁ、座れ。私はスイレンだ」
「ハナです」
スイレンさんは既に座っていたので向かいのイスに腰掛ける。
スイレンさんは20代くらいのお姉さん。なんかハキハキしてて格好いい。
「ここでは魔結晶の再利用の方法を学んで貰う。スミレ殿のところで作った魔結晶はあるか?」
「はい」
ずっと手に握っていたのでそのまま手を開いて差し出す。
「よろしい。では向こうの壁に向かって魔法を放ってくれ」
少し離れたところにある壁を指してスイレンさんは言った。
そして魔結晶を持っている手をあげファイヤーボールを放つ。
ドォォン!
な、なんか威力が高くないですか?
魔法紙(上)くらいの強さの気がする。
「よし、では魔結晶をよく見てくれ」
言われた通り魔結晶を覗き込むと魔法陣の色が変わっていた。さっきまでは赤く光っていたのに今では灰色になってしまっている。
「魔結晶に込めた魔法陣は使っても無くならずそのように残るが、そうなってしまってはもう使うことが出来ない。しかし、手を加えれば再度使用することが可能になる。それが‘リターン’という方法だ。ちょっと魔結晶を貸してくれ」
スイレンさんは私が使った魔結晶を持つと、手をかざし唱えた。
「リターン」
するとピカリと光り魔法陣が再び色を取り戻した。
「この状態になれば再び使うことが可能になる」
スイレンさんはさっき私が魔法を放った壁にむかいファイヤーボールを放つ。
「さあ、やってみてくれ」
スイレンさんから魔結晶を受け取り手をかざす。
「リターン!」
どうやら成功らしい。ピカリと光って魔法陣が色を取り戻し輝きだした。
「よし、成功だな。リターンにはMPが必要になってくる。うまく使いこなしてくれ」
なんかこれ凄くないですか?
魔法紙を作らなくてもいいのはとても楽です。
「次に進むかな?」
「はい、お願いします!」
再び視界が暗転し、また同じような部屋についた。
「いらっしゃいませです~!私はレンゲです~よろしくです~」
「ハナです。よろしくね」
なんか小学生くらいの子がいた。
既にイスに座った状態からのスタートだ。
「ここでは~魔結晶に込めるMPの調整を覚えて貰いますです~」
「調整?」
「はいです~さっきまで使っていた魔結晶を貸してくださいです~」
私は魔結晶をレンゲちゃんに渡す。レンゲちゃんはおもむろに魔法陣を発動した。
「ファイヤーボール!です~!」
私の後ろの壁が凄い音をたてて揺れた。
おいっ!危ないですよ?人に向けちゃダメですからね?
「ではでは~使い終わった魔法陣を復活です~」
レンゲちゃんは魔結晶に手をかざし一言唱えた。
「インクリース!です~」
ピカリと光り魔法陣は再び光を取り戻した。
変わったところは無さそうだが……唱える言葉が違ったよね?
「できましたです~!ハナちゃん調べてみてくださいです~」
調べる?
レンゲちゃんから魔結晶を受け取り触れてみるとウィンドウが表示された。
ーーーーーーーーーー
ファイヤーボール
残り 2回 使用可能
ーーーーーーーーーー
え?何これ!?
「見れましたかです~?」
「え?あ、あれ?これって……?」
「はいです~!‘インクリース’は込めるMPを調整することによって魔法陣の使用回数を増やす呪文です~!」
な、なんだってー!?
いや、分かってはいたけど実際聞くと衝撃半端ないです。
じゃー、魔結晶にMPめっちゃ込めれば魔法陣作らなくてもいいんじゃない!?
「でもでも~魔結晶によって込められるMPの限界数が決められているので無限に込めることは不可能なのです~それに使える回数も限られてるです~」
ま、そんな便利なことは出来ないですよね?
なんとなく予想はしてました。はい。
「ではやってみてくださいです~!」
よーし!
レンゲちゃんから魔結晶を受け取り、後ろの壁目掛けてファイヤーボールを2回放つ。
そして魔法陣が光を失い灰色になった状態を確認し、その上に手をかざす。
「インクリース」
しかし何もおこらない。
光を失った魔法陣はそのままである。
……これって失敗?
「あらら~残念です~まだハナちゃんには早かったですね~?ではまたなのです~!」
そして視界は暗転し、また入口の部屋に戻って来ていた。やっぱりレベルが足りないのかな?
ま、出来たとしても魔結晶がないからどっちにしろ作れないけどね。
これも道具スキルで作れるのかな?そのうちお店で売ってるようになるのかな?まだ見たことは無いんだよね。
うーん……ま、今考えてもしかたないか。
この後は採掘予定だけど、まだそんなに時間たってないしせっかくだから道具師の試練も受けてみよう。
一度出てもう一度試練の間入口へ入る。
そして道具師を選択すると視界が暗転し、またどこかの部屋に飛ばされた。
そこは道具作製セットのような物が置かれている部屋だった。
「いらっしゃいませ、第1の試練を担当するウーナです」
「ハナです、お願いします」
作業着のようなものを着たお姉さんが道具の前に立っていた。
「さて、ここではハンマーのrankAを5つ連続で作って貰います。大丈夫ですか?」
げ、ハンマーなんて作ったことないよ……。
これはまた今度かな?
「すいません、まだ作った事がないのでまた来ます」
「そうですか?ではまたお待ちしていますね」
これはちょっと後回しかな?
だってやりたいことたくさんあって大変なんだもん。




