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「初めてにしては良く出来たね。ではこれからも様々な魔道具を作り出してね」


「ありがとうございます!……そういえば魔道具って普通は売りに出されて無いんですか?」


今まで売っているのを見た事が無かったので聞いてみた。


「そうだね。多少卸しているところもあるけど、基本はオーダーメードだから」


「サティア様が持っていた指輪の魔道具もですか?」


「指輪?……あぁ、迷いの森を迷わなくするものだね。あれは何かのついでで作ったんだったかな?ま、簡単な物なので何処かに卸して販売しても良いんだけどね」


「実は迷いの森に入れるのってまだ数人で……その指輪って販売しないのかなと思いまして」


実は未だに迷いの森に入れるのは私達だけっぽいんだよね。もしかしたら掲示板とかで情報が出てないだけかもしれないけど、見かけたことはない。

クエスト報酬だからかもしれないけど、そこへ行くまでのクエストを発生させるのは魔女クエスト以外には分からない。そろそろ迷いの森にプレイヤーが入ってくれないと素材が出まわらないから、私としても困った事になってしまう。全部自分で取りに行くの大変だし。

なのでダメ元で聞いてみたんだけど……。


「んー……販売してもいいよ。ハナさんが僕のお願いを聞いてくれたら、だけどね」


「本当ですか!?でもお願いって?」


「うん、ぜひ〈まじない〉を売って欲しくて。簡単なまじないならこの街でも買えるのだけど、特殊なのってなかなか売って貰えなくて」


「まじない……ですか。どんなまじないなんですか?」


「《大吉》のまじないだよ。《吉》とか《小吉》とかは簡単に手に入るんだけど、なかなか《大吉》を売っているところがなくてね。お願い出来るかな?」


何だその御籤みたいなまじない!


「わかりました。少し時間はかかると思いますが……」


「かまわないよ。お願いね」


----------


クエスト

『ルトシアのお願い』

クエストを受けました


報酬:迷わずの魔道具販売


クエスト出現条件:ルトシアの弟子


----------


さて、とりあえず受けたけどそこまで急がなくても良いだろう。まずは〈まじない〉を取得するとこからだからね。


それよりそろそろいい時間だな。

一度ホームに戻って準備をして屋台を開こう。








今日もありがたいことにどんどん商品は売れていく。まぁ、お薬中心だから需要は高いのだろう。


それにしても……。


やっぱりここで屋台を開くと視線を感じる。久々だったから忘れてたけど、なんとなく視線を感じるのだ。何だろう?こんな事他では無いし、私に視線を感知するようなスキルもない。なにかのイベントとかクエストとかの類かな、とは思っているけど……何かした記憶もないんだけどな。


「いらっしゃいませ。ん?この間の?」


「お、覚えててくれたんですか!?」


「え、ええ、まあ……」


目の前のお客様は大晦日の日にお客として出会ったNPCの人だった。


そりゃ忘れられないでしょ。

ピンクアイコンのNPCなんて、他にいないし。


「また来てくれたんですね。ありがとうございます。今日はどうしますか?」


「あ、えっと、これとこれを……」


「はい……丁度いただきます。あ、良かったらお名前聞いてもいいですか?」


「は、はい!俺、い、いや僕はセインと言います!また来ます!」


そしてセイン君は走って人ごみに紛れてしまった。

見た目中学生くらいの元気な男の子だ。


前回も思ったが、こちらを見る目がキラキラしているのが気になる。魔女になって、それなりに尊敬の対象となってはいるからだとは思うけど、他のNPCよりもその感じが強い。



その後は特に何事もなく全て順調に売り切りホームへ戻ることが出来た。

気になったのは、セイン君が帰った後からいつも突き刺さるように感じていた視線がなくなった事だ。


もしかして、セイン君が視線の正体?








本日2回目のログイン。


ちょっとまじないの事を聞くためにサティア様のところへお邪魔しています。

サティア様が作業部屋を見せてくれると言ったので現在はお部屋を見学中だが、なんだかいろいろ気になるものがある。


その筆頭がこれ、“神秘の甕”。

なんでもこれも魔道具らしいんだけど、なんと大きな水瓶いっぱいに神水が張られているのだ。これにストーンを入れておくと神石を作ることもできるんだって。更にここから神水を掬ってお薬に使うことも出来る。


なにこれ欲しい!


でも作れるのはルトシアさんだけで、作るにも材料が貴重で新しいものは作れないらしい。

いや、でもダメ元で今度お願いしてみよう。


その為にもまじないは必須だね。


「あら?まだハナちゃん〈まじない〉持っていないのかしら?」


「あ」


取得するのを忘れていました。


----------

〈まじない〉

SP:30


取得しますか? YES/NO

----------


………………………………。


え?


こ、これ本当?


見間違い……じゃない…………。


はい、YESですよー。とらないという選択肢は残されていないからね。

わかってますよ?わかってはいるけど……SP貰えるクエスト今度探しにいこうかな……。


「……大丈夫そうね。因みにハナちゃんはどんなまじないがしたいの?」


「えっと《大吉》のまじないです」


「あら、それは大変ね。それにまだハナちゃんには早いわね。最低でも〈まじない師〉にならないと作ることが出来ないわ」


「ランクアップかぁ……。というか、まじないって作るものなんですか?」


「まずはそこからね。まじないとは願いを付与するもの。アクセサリーだったり食べ物だったり、使うまじないによって変えるのだけれど付与する媒体は人それぞれね。例えば《祝福》というまじないがあるわ。効果はパーティー全員の体力を回復、というものよ。それはストーンやジュエルに付与する人が多いわね。使う時は手に持ってまじない名を言葉にすればいいの。使いきりだから使ったら壊れてしまうのは気を付けないといけないけれどね」


全体回復!なにそれ凄い!

魔法系には全体攻撃とか全体回復はあるけど、まだアイテムでは見たことなかった。

魔法陣では全体系のものはなかったし。もしかしたら免許皆伝で自分で作れるのかもしれないけど。


SP30するだけはあるな。これは使える!

……ランクアップ、免許皆伝の時はどんだけSP要求されるのか恐怖でしかないわ。


足りないー!

SPが圧倒的にたーりーなーいー!


まずは〈まじない〉のレベル上げだけどね。


どうやらまじないはスキルのレベルを上げる以外に、魔導書を読んだり他の特集な方法で覚えることが出来るらしい。

ルトシアさんが必要としている《大吉》は特殊な取得方法らしいんだけど、ランクアップする力量があれば誰でも覚えられるそうなのでランクアップしたらまたサティア様に会いに来る予定だ。その時教えてくれるらしい。

サティア様にまじないの作り方を簡単に教えてもらって、その後は今の状態でも覚えられるまじないの魔導書を読ませて貰ってお暇した。

魔導書は基本師匠の所で見せてもらうか、ダンジョンで探すらしい。ま、ダンジョンは必要になったら行けばいいか。


うーん。でもまじないの媒体は食べ物でもいいなら、そういうの作ってお店で置くのもいいかもしれない。

NPCの人も買いにきてくれそうな気がするし。


大晦日の日に言われて知ったけど、まじないを望んでいるNPCの人って結構いたんだね。

ウォルターニアに魔女がいないってのは知らなかったけど、私だけだとしたら魔女としての商売もうまくいきそう。


よし、ホームへ戻って〈まじない〉のレベル上げをしようか。サティア様にお話聞いて、やる気も出たのでホームへと帰還しすぐ作業部屋へとうつる。


まずは〈まじない〉をするのに必須のまじない布を作る。これは〈まじない〉スキルをとった時に一緒に覚えたレシピだ。〈まじない〉ではアーツではなくレシピを覚えていくらしい。


で、このまじない布を使ってこれから覚えるまじないを付与するらしい。なのでまずは作ってみる。


必要なのは、布・天の雫・魔の鱗粉の粉の3つ。天の雫はうちの畑でとれるし、布は自分で織れる。魔の鱗粉とは魔蝶というモンスターからドロップするアイテムだ。これは無かったのでクオに後で売ってもらおうと思う。クオが育てていたリストに居たはず。魔の鱗粉は鍛冶に使うと効果がつくことがあるらしく需要が高いと前言っていた。今はログインしていないようなので後で売ってもらう交渉をするとして、今はバザーを回って買ってきた。


「よし、準備出来た」


えーと、まずは布を広げます。次に魔の鱗粉ひとつまみをその布の上に振りかけます。その上に手のひらを翳します。で、手の甲に天の雫を垂らします。最後に……。


「ウィッシュリング……おお!?」


レシピ通りに唱えると、布の上にふりかけた鱗粉が舞い上がり、キラキラと輝く。そして天の雫がふわりとそこに溶けピカリと光ると布に魔法陣が浮かび上がっていた。


「これで出来上がり、かな?」


-

まじない布

rankF


まじないをかける布

ほぼ失敗する

残使用回数 10回

-


おお!久しぶりに酷い出来。

それにしても布も消耗品だとは……。


とりあえずランクを上げる前に、Lv.1で使える《幸せ気分》というまじないを試してみようではないですか。




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