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それから鬼蜘蛛の襲撃は1時間程続いた。
途中蜘蛛の糸を吐き出して直接木塀に取り付こうという鬼蜘蛛もいて少し焦ったが、サンダーボールを撃ちこんだらあっさり地面に落ちてきたのでほっとした。
そしてそれから2回襲撃を防ぐ。
鬼蜘蛛達は夜の10時、12時、14時の3回きっかり1時間の間隔で村を襲ってきた。
その3回の襲撃を皆で防いだ。
鬼蜘蛛のレベルが段々と上がっていったのはちょっと厳しかったが、行動パターンは同じだったので全部の襲撃を同じ作戦で凌ぎました。
ヤトは鬼蜘蛛のレベルが上がるにつれ笑い声が楽しそうになっていったので良かった、のだろう。
さすがヤトさんです。
ご満悦でとても良い笑顔で帰ってきました。
そして今回の襲撃で倒した鬼蜘蛛からはドロップアイテムもたんまり貰えた。
今回ほとんどヤトが倒したので、最後に全部まとめて割り振る事に。まっちゃや私自身倒した分は私のインベントリに入ってるしクオも持ってるだろう。それら全部合わせて割る事になっている。
今回たくさんドロップした鬼蜘蛛の糸というアイテムがある。名前はちょっとアレだけど、見た目サラサラでとても綺麗な糸なんですよ。しかも薬師のお婆ちゃんが言うには魔力の高い糸で錬金術との親和性が高いとのこと。
これ、合成で何か出来ないかな?
という事でヤトとクオに交渉して全部買い取ることになりました。
お金はすっからかんだけどとても満足です。
いつの間にか日が昇り始め朝になっていた。
そのまま村長に報告に行くと、全く損害が出ずしのげたのは初めてだと喜んでいた。
しかし原因となるスモラッグというモンスターを倒さなければ繰り返しだ。
ついに村長から討伐依頼を受けました。
奴らは夜行性だからこの朝の時間帯が一番倒しやすいらしい。
今日はクエストがどのくらいかかるか分からなかったので、皆最大ログイン時間の5時間プレイ出来るように調整してきている。ゲーム内時間ではまだ10時間は遊べる。
ここは一気に倒しに行こう、という流れに自然となり村長からボスの場所を聞いて討伐に向かった。
進む程森は深く、そして暗くなっていく。
道なき道を警戒しながら前へと進む。
今回は採集や採掘はお預けです。
帰り時間があったら採って行こう。
最初は狼や兎等の動物系モンスターばかりだったが、ある一定の範囲に入ったところで出てくる敵は鬼蜘蛛のみになった。
これはテリトリーに入ったってことかな?
鬼蜘蛛がわらわらやってくるのを倒しながら進むと、どうやらボス戦っぽいエリアが見えてきた。
村長から教えて貰った場所にも合致するし、まずは回復だな。
ここまで来るのに戦闘もあった為か3時間ほど掛かっている。お薬配ってHPもMPも皆全回復です。
ついでに数珠の魔法陣も回復しておく。
戦神の舞を踊りタブレットものんだ。
よし、行きましょう!
エリアに入ると体の自由が奪われる。
ヤトに続き歩く。
広場の中央へ行くと女の人が膝をつき、下を向いてしくしく泣いていた。
いや、おかしいでしょう。
こんなところでこんな無防備な格好で倒れて無いでしょう。
女の人は着崩した着物を着ているが、頼りないそれのみだった。こんなモンスターが闊歩する森の深部でだ。
ヤトが跪き、女の顔を覗きこむと女は何処からか出した扇で顔を隠して更に泣く。
「足りない……足りないの……」
何だ?何が足りないんだ?
変な怪談っぽいな。
「そう……若い女の生気が足りぬのじゃー!」
Kyakyakyakyakya!
女はガバリと顔を上げたと思うと狂ったように笑い出した。
び、びっくりしたー。
女の顔はまるで般若のお面を被ったようだった。
身体の自由が奪われてて良かった。
絶対悲鳴あげてたよ。
「どんな攻撃してくるかわかんないからまずは様子見で!外から攻撃頼む!扇に気をつけろ!」
そしてヤトは太刀を手に女に向かって行った。
私も一通りの属性を試してみると、どうやら光と火が良く効きそうだという事がわかった。
人型の敵は初めてなのでちょっと戸惑う。
なんていうか的が小さいから3人一緒には効率悪い気がするんだよね。
ヤトが正面、クオが背後にまわって攻撃に加わる。
私はそのまま側面から魔法陣を放つ。
まっちゃは回復に専念だ。
女は途中から扇をもう1本出して戦う。
しかしどんどんHPは減り、最後は女のHPは1に。
その瞬間私達はまた体の自由を奪われる。
え?
戦闘中なんですが?
「恨めしや……嗚呼、恨めしや……」
ガクンと地面に崩れ落ち、倒れこむ女。
本当に呪われそうだよー。
女の体からは黒い煙がしゅるしゅると湧き出す。
「恨めしや……恨めし……し……し…………」
し?
Syaaaaaaaaaaaaaa!
黒い煙に体が包まれたと思った瞬間、爆発するように女が弾けた。と、次の瞬間には巨大な鬼蜘蛛が中央に出現した。
恐らく女の真の姿、というやつなんだろう。
あーHPバーが全快してるし!
「こっから本番ってか!まずは雑魚をどうにかする!まっちゃは巨大蜘蛛、あたしは右、2人は左だ!」
「キェー!」
「わかった!」
「りょ」
鬼蜘蛛は左右3体ずつ。
さっきまでかなりの数戦ったから行動パターンはバッチリ!ただ、ちょっとレベルが高いからかダメージがなかなか入らない。
「ファイアーボム!」
さっきまで使えなかった火属性は解禁です。
ボスフィールドだから森に燃え移ることも無いだろう。
うん、効いてる。
結構魔法耐性低いかも。
「クオ、もう1回行くよ!」
さっとクオが横に避け、そこめがけて再度ファイアーボムを撃ちこむ。
クオにダメージは入らないけど、避けないとバランス崩したりあるからね。
そして程なくして3体を倒しきる。
既にヤトは巨大鬼蜘蛛と大戦中だ。
「ハナ」
「うん、クオお願い!」
コクリと頷きクオは走りだす。
その後ろを追いかけタイミングをはかる。
「炎龍昆!」
「瞬斬!」
「炎妖撃!」
クオ、私、ヤトとコンボが決まる。
ヤトには何も言ってないのに合わせてくるなんて……もう凄いとしか言いようがない。
アーツのおかげで反対側に来たのでここからはひたすら攻撃するのみ。
「ファイアーボム!」
よし、斬りまくれ!
Gisyaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!
ふう……なんとか終わったらしい。
いや、強敵でした。
「いやーわりぃ!ドジっちゃったな」
実は途中ヤトが糸に絡め取られるという大ピンチがあったのです。
クオが巨体鬼蜘蛛の足で投げ飛ばされて、それにヤトの意識がいってしまった一瞬の隙をつかれてしまった。そこですかさず捕まってしまった、というわけです。
しかもそのままヤトを引きずり寄せ、食べようとしてたんだから焦るよね。
思わずファイアーアローをヤトめがけて放っちゃいました。咄嗟の攻撃だったけど、以前同じような蜘蛛のモンスターと戦った時まっちゃが捕まった事が頭をよぎったのだ。もう反射的なものだったんだけど、無事ヤトに命中し糸は燃え間一髪でヤトは逃げ出した、というわけでした。
いやー焦った。
しかも黒い煙を飛ばしてきて、当たると呪いの状態異常になってしまう。どんな呪いかというとHPドレイン。私達のHPは減って巨体鬼蜘蛛は回復するという。そこで役に立つのが村人に配ったアモイ解毒薬。これで治るので事なきを得た。余計に作った分が10本くらいあったので助かりました。
これで依頼は完了だろう。
まだ時間があったのでちょこっと採集や採掘しながら村へと帰る。しかしあまりにも時間をかけてしまいログアウト時間が迫ってしまい最後は村へ転移。
「おぉー、ありがとうございます!これで我が村も救われました!」
そして依頼完了の判を押した依頼書が戻ってきた。
これをギルド長に出せば依頼完了だ。
時間も無いのでさくっとアラミアへ転移。ギルドに駆け込み依頼完了を告げる。
「ほっほっほ。お主等よくやったのう。村長からの評価も良い。……ではこれで認定試験クリアとする」
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クエスト
『クラン認定クエスト』
クリアしました
報酬:スキル枠+1
EB:SP10
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おお!
EBついた!
EBとはエクストラボーナスの略で特別報酬といったところ。最近クエストをたくさんやるようになって知ったんだけど、クエストクリアの時間だったり質だったり基準を超えると貰えるらしい。クエスト毎にその基準はバラバラで更に公表されてるわけではないので手探りらしいけど、今回それがついたわけです。
しかもSP貰えるEBでは+10って最高評価だった気がする。ま、これはプレイヤーが検証した結果であって本当はもっと上があるかもしれないが。
でも嬉しい!
「ハナ、クオありがとな。本当助かった!」
「いやいや、私達も得してるしこちらこそだよ」
クオもコクコクうなずいている。
と言うか今回一番得したのは私だと思うんだよね。
結果的にボス巡りも出来たし、スキルレベルも上がったし、いつ取れるかわからないスキル枠取れたし。
うん、絶対得してる。
でもヤトが喜んでくれて良かった。
その後はログアウト時間までクランホームで飲んで食べてのお菓子パーティーでした。
そういえばクランホームのランク制限が解除されたらしくて設備のランクが上げられるらしい。
わたしのホームもシステム的にはクランホームの1部となってるらしく適用範囲内だ。
後で確認しに行かなくては!
でも今日は眠いからもう終わり。
明日は日曜だしゆっくり眠ろう。
おやすみなさい。
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name : ハナ
tribe : ハイフェアリー
level:22 [4up]
HP : 1110/1110 [80up]
MP : 1165/1165 (+185) [80up]
STR : 111 (+55)
VIT : 135 (+115)
AGI : 90 (+70) [3up]
INT : 90 (+35) [5up]
DEX : 126 (+40) [1up]
LUK : 90 (+45) [3up]
AP : 0
SP : 103
【スキル】
〈採師〉Lv.43〈鑑定士〉Lv.43〈魔導陣〉Lv.45〈成長〉Lv.40〈抜刀術〉Lv.39〈二撃流〉Lv.35〈舞踏〉Lv.29〈MP++〉Lv.45〈農業〉Lv.31〈乗術〉Lv.49〈錬金術師〉Lv.☆〈道具師〉Lv.45
[控え]
〈料理師〉Lv.14〈釣り師〉Lv.3 〈細工師〉Lv.5〈鍛冶師〉Lv.5〈裁縫〉Lv.12〈水泳〉Lv.44〈水魔法〉Lv.11〈木工〉Lv.9〈ガラス工〉Lv.13
【称号】
フェアリー族の加護:DEX+10
世界樹図書館を開放せし者:全ステータス+10
本屋の加護:INT+5
魔女の弟子:INT+10・DEX+5
クラフター:DEX+5・LUK+5
主を釣り上げる者:STR+20・DEX+10
職人街を開放せし者:LUK+30
【売買】
商人Lv.48
【装備】
武器:碧魔刀 STR+25
防具頭:紐リボンVIT+20
防具上衣:狩衣(赤紫)VIT+45
防具下衣:袴(赤紫)VIT+40
防具鎧:なし
防具手:なし
防具足:下駄(足袋付)AGI+40
アクセサリー(最大6個):魔法陣ホルダー・使い魔の指輪 ・数珠型グリフォンブレスレットINT+10・疾風の首飾りAGI+20
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name : まっちゃ
tribe : グリフォン〈成体〉
level : 13 [4up]
HP : 1340/1340 [80up]
MP : 1220/1220 [80up]
STR : 30
VIT : 30
AGI : 33 [2up]
INT : 37 [2up]
DEX : 30 [2up]
LUK : 30 [2up]
AP : 0
【スキル】
〈治癒〉Lv.29〈探知〉Lv.47〈牙〉Lv.30〈風魔術〉Lv.26〈縮小〉Lv.26〈水空〉Lv.25〈乗獣〉Lv.49
【装備】
アクセサリー:リボンネックレス
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